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漢方と感染症

 先日、軽症から中等症1(肺炎はあっても酸素投与を必要としないもの)の新型コロナウイルス感染症に対して、漢方治療が有効であるという研究が日本の医療機関から報告されました。

 漢方の急性期治療の方法であり、当然有効だろうという感想ですが、西洋医学の土俵でしっかり結果を示しているのは素晴らしいことと考えます。

 しかし、幾つか懸念事項があります。

 ひとつは、漢方の不適切な濫用による副作用への懸念です。漢方薬は比較的安全性の高い治療薬ですが、使い方を誤ると命を奪う危険性もあります。

 もうかなり前の話になりますが、「慢性肝疾患に小柴胡湯が有効だ」というデータが示された直後に、全国的に肝疾患の方々に小柴胡湯が多く処方された時期がありました。体質に合わなかった人や、併用する西洋薬との相互作用によって、致死的な副作用が頻発したことは消えない事実です。
 漢方も薬ですから、気をつけねばなりません。

 コロナに有効と報告されて処方は「葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏」です。含まれるサイコとオウゴンの組み合わせは免疫に作用するため、もともと慢性間質性肺炎を罹患している方の場合には極めて慎重に投与の是非を検討する必要があります。


 もうひとつは、急激な需要増大によって本当に必要な人の所に薬が届かなくなる可能性です。
 今、風邪薬が全国的に不足している傾向にありますが、一部の漢方薬も供給制限がかかっています。
 別の疾患に必要な処方が手に入らない状況が、もう訪れているのです。


 情報はじっくり吟味したいと思います。


 乱文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の健康を。


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