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梅雨の庭先

 雨が降ります。じめじめしています。

 庭先。ほら可愛いナメクジ、カタツムリ。

 ナメクジだー、と喜び戯れる息子に食べるとヤバいよと声を掛けました。そう、ナメクジをそのまま食べてはいけません。カタツムリのほうが少しばかり安全で、しかし温暖化の影響で彼らの生息域が拡大していますから、野生のカタツムリもナメクジも、もし食べるなら十分に火を通すべきでしょう。

 彼らとは、寄生虫のことです。

 広東住血線虫かんとんじゅうけつせんちゅう
 
 それはドブネズミと貝類の間にライフサイクルを形成する寄生虫で、貝類といってもアフリカマイマイ等の大型カタツムリや、ナメクジを宿主にすることが知られています。

 彼らは脳を好みます。

 彼らが終宿主たるネズミの体内に侵入すると血管や神経を経由して脳に至り、再び静脈系から肺動脈に寄生し産卵します。虫卵は肺毛細血管に塞栓し、孵化した幼虫は肺胞から気道を経て消化管に移動し、糞便として野に放たれます。これを食べたり触れたりしたナメクジやカタツムリに感染し、幾らか成長します。次いでヒキガエルや陸生カニがそれらを食べて、寄生されることがあるようです。ネズミが感染したナメクジ、カタツムリ、カエルなどを食べると、ライフサイクルの完成です。これら固有宿主と呼ばれる動物たちは、寄生虫に感染しても特別な被害を受けず、共生関係が成立しています。

 広東住血吸虫がヒトの体内に入ったら?

 脳が大好きな彼らは、こぞって脳に向かいます。しかしながら脳に到達して漸く気付くのです。ここネズミじゃねぇ、と。それで彼らは死に絶えます。死骸に過剰な反応を起こした好酸球によって好酸球髄膜脳炎を発症し、やべーことになるのです。治癒例もある一方、重篤な神経系の後遺症や死亡例が報告されています。治療法は確立されていません。奴ら既に死んでいるので抗寄生虫薬など効きません。

 だから、ナメクジを食べるとヤバい。

 息子にそんな話をしたところ、その恐ろしさが伝わったようで、念入りに手を洗っていました。洗浄不十分なサラダが感染源と考えられる症例報告もありますから、恐ろしいことです。無農薬有機栽培って聞こえは良いし美味しいけれど、衛生管理は別問題。手のかかることですから、高価格帯になるのも必然なのでしょう。


 さぁここで本日のまとめです。

 洗えば良かろう、生野菜。

 火を通せば大抵のものは喰える。


 色々と書きましたが、私はナメクジもカタツムリも大好きです。あの粘液を纏いヌメヌメと蠢くフォルム。食べちゃいたいほど、とは言いませんが、可愛いなぁと思います。え、可愛くないですか。



 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、過剰な衛生管理を声高に叫ぶよりも、自分の手で洗って調理して食べる暮らしの豊かさを。




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