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『マレフィセント』とは何か。

 フィリップ王子を敬愛する息子と一緒に、実写映画『マレフィセント』を観ました。

 ディズニー映画『眠れる森の美女』とは切り口の異なるストーリー展開で、綺麗な映像や音楽と共に織りなす人間模様は、善悪が混在し、二元論に疑問を呈する内容のようでした。

 マレフィセントを主役に据えた作品ですから、基本的には彼女の生い立ちやオーロラ姫に呪いをかけるに至った背景が繊細に描かれ、極めて同情的な構成を成しています。

 一方のフィリップ王子はディズニーアニメ版より遥かに空気であり、王は狂気の暴君、そして3人の妖精は相当のポンコツとして描かれています。


 語り部を考えると、やはりこれは一側面あって、アニメや原作の眠れる森の美女と併せてひとつの作品なのだろうと思います。

 この物語が仮に史実だとしたら、
 全て事実で、全て事実ではないのでしょう。

 それが主観的事実というものです。

 立場や視点が異なれば、見える世界も異なります。それは認知世界の問題であって、認知の歪みは主観的事実を歪めます。


 ヴィラン、すなわち悪役として描かれた彼女が善であり悪でもある姿で描かれる『マレフィセント』という作品。そもそも善も悪もないような、それぞれの立場があるような、そういう感想を抱きます。

 一貫して残念なのは、現国王。

 人間には分相応というものがあります。その人の器を超えたものが与えられたとき、その内容に関わらず何かが崩れていくように感じます。

 権力は人を狂わせる。

 それは現実世界でも同じことでしょう。


 鑑賞を終えて息子をみますと、神妙な顔をしておりました。

 しんじつの、あい…。
 マレフィセント、よかったねぇ。
 ……フィリップ王子は戦わなかったねぇ。
 王様、こーんな顔して怖かった。

映画の感想を語る3歳児


 どうやら大筋でストーリー把握しております。
 アンパンマンのような勧善懲悪とは異なる世界観に疑問符を掲げながら、彼も色々なことを感じていたようです。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、誰かの狂気が何かの縁で和らぎ、暖かい部屋を取り戻しますように。



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