残された街 《詩》
「残された街」
壁に焼き付けられた影が
腐敗と崩壊と失望を映し出していた
嘘だって良かったんだ
お前と逢える口実を
探していただけなんだ
記憶は
ゆっくりと時間をかけて
薄れ霞んで消えてゆく
其処に俺達が属している事は
静かに降り頻る雨が知っている
そして時が過ぎ去り
後には
街だけが残され今も生きている
幾つもの戸惑いと
頬にあるハスった傷
失くせないもの ただひとつ
暗闇を駆け抜ける為の光
握りしめたお前の手
最後の約束
時が果ててゆく音を聞いていた
残された街の中で
新宿にも雨はまだ降っているか
教えてくれよ
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