カティサークとXYZ 《詩》
「カティサークとXYZ」
僕はある日
風の吹く丘の上で君と出逢った
キラー通りの安ホテルの前には
朽ち果てた車が停めてある
古い時代のアルファロメオ
通りでは犬を喰らう国の人々が
鯨を殺すなと叫んでる
ミートソースを口の回りに付けた
巻き毛の少女が
ピストルズのレコードを
手に持ち僕の前を通り過ぎる
シーバスリーガルとカティサーク
ポケットの中のコイン
僕はカティサークを
手に取りレジに並んだ
レジの女性は
僕には目を合わす事は無く
お釣りのコインを僕の手の上から
落とす様にして渡した
わかっているよ
僕の肌が白く無いからだろう
僕の手に触れたって僕の肌の色は
君には移ったりしないのに
僕は月の綺麗な夜に鼠の群れが
彼女のアパートを襲う夢を見た
ざまあみろ
夢の中で声に出して叫んでいた
月の綺麗な夜には不思議な夢を見る
僕は大量のホワイトラムと
コアントローとレモンジュースを盗んだ
其れに少し水を加えた
そうだよカクテル XYZ
誰かが もうこれ以上に無い最高の…そう口にした
僕は微笑み頷いた
XYZを街中にばら撒いた
良い気分だ
もう直ぐだよもう直ぐだ
XYZは世界の最後を意味する事を
誰も知らない
僕はある日
風の吹く丘の上で君と出逢った
彼女はカクテルは好きじゃないの
そう言ってカティサークの
瓶に口を付け一口飲み微笑んだ
彼女の肌は
神様と同じ黒い色をしていた
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