フレーズ 《詩》
「フレーズ」
12月は独りで過ごすには
淋し過ぎる季節だった
コートの襟を立て
手を繋いで歩く恋人達を見た
誰もが皆んな僕の居る場所から
離れて行く様に思えた
何かの曲のメロディーが
頭を離れない
繰り返すフレーズ
聴き覚えのある声
クリスマスソング
では無い事だけはわかっていた
円滑では無い
空気と黒い影が埋める沈黙
僕等は不適切な話題を避けていたが
結局はその時が来る時期を
遅らせてるだけに過ぎなかった
鏡に映る虚像を作り出したのも
また僕等だった
昨日に消えたものを
探しても何も見つからなかった
いつか貴方も居なくなる
彼女の口癖
ジングルベルで浮き足立った街
飛び交う人の声と通り過ぎる車の音
師走の冷たい風
ポケットの中で
うずくまった かじかんだ手
白い息 繰り返すフレーズ
悲しいラブソング
僕はまたひとつ
やり残した事を思い出した
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