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Poetry does not die

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Seiji Arita HP

初期の頃からの過去作品を中心に 公開しております 見て頂けたら幸いです

    • 共犯者 春を呼べ 《詩》

      深い混乱の中に 均等なふたつの光の存在を探した 失われて行く時間の感覚  ある種の衝動が 頭上からずれ堕ちて来る 僕は夢と想像の中に言葉を探す 其れは誰か特定の人に 向けられた言葉では無い 其処に見える憂鬱な風に包まれた 名前を持たない 消えかかった田園風景 其の僕の中にある 無名の場所を埋める為の言葉だ 疵痕も残さず切り裂いた刃  大量の現実の血が 流されたはずだった 夜と朝を隔てた場所に僕は居る 意識を研ぎ澄まし 架空の一点に瞳の焦点を結ぶ

      • 黄色い月 《詩》

        「黄色い月」 春が終わりに近づいた夜  空気は漠然とした湿り気を帯び 薄靄に包まれた 黄色い月がふたりを見ていた 僕の隣りで不規則に美しく揺れる 君のスカートの裾  僕は自分を失ってしまうほど 激しく君を求めていた はぐらかす様に微笑む君の唇に 静かに指先で触れた 少しの間の沈黙  其れは彼女の同意を意味している 全てが再び現実の位相に服すまで 彼女の長い睫毛が 僕の心の均衡を突き崩す 唇から漏れ出る無音の熱い吐息 其れは僕を深く濃密に凝視し続け

        • 光風堂 《写真》

          Photo : Seiji Arita

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        記事

          車椅子のロージー 《詩》

          「車椅子のロージー」 少しの乱れも無く調和した共同体  そんな夢の中にだけ花は咲く 誰かが誇らしい気にそう言った 無音の雷鳴と目に見えぬ雷光  其れが脳裏に焼き付いている 僕と言う固有のただひとつの人格が 名前を持たぬ混沌  未明の暗闇の中で かろうじて息をしている 抽象的な命題を空に描き  頭は現実とは別の場所にある 恵まれてるとか 恵まれて無いとか  魅力的な微笑みを浮かべ 君は両切りの煙草に火を付けた 緩やかなスロープを車輪の回転を 両手で制

          車椅子のロージー 《詩》

          車窓 《詩》

          「車窓」 限られた目的が 人生を簡潔化して行く 其処には言語化される事の無い 自分自身のルールが存在している 平坦で無個性な街を 行き先表示の無い電車が走る 僕は座席に座り窓の外を見ていた いったい何処へ行くんだろう 多様な選択肢が目に入り消え去る 時間の進みが早過ぎて  僕は世界とのバランスを失った 上手く行かないのは 僕のせいじゃ無い そう 誰にも聞こえない様に呟いた 多分 孤独だけど淋しくは無い 遠い辺境の地に  紙切れ一枚で出征する兵士の姿

          車窓 《詩》

          正しい場所 《詩》

          「正しい場所」 日付を持たぬ日々が通り過ぎて行く 僕は自分自身が存在して無い事に 気付いていない 違う  存在しない者として  ただ生きていた 其処にある時間軸に従いながらも 生の欠落を感じとっていた 僕は空にある雲に触れた  其れは  硬質で鈍色な塊  其処には 虚無で深い沈黙だけが渦巻いている 聞こえる  何の意味も持たない音が 大量のウィスキーが眠りに誘う 意識の斜面を何かが滑り落ちて行く 妥協の余地も無い垂直な螺旋と 交わる事のない平

          正しい場所 《詩》

          言葉 《詩》

          「言葉」 非調和性を帯びた不協和音と トランス状態に似た 微かではあるが確実な狂気 意識と無意識の境目が手招きをする 僕は半円形の世界を見ていた  其れはただ 見る必要性に迫られたからで 本当に見たいから 見ていた訳じゃ無い いつしか僕は 現実では無い世界の中に 自分の見たいものを 自分自身で見つけ出した 其処には僕と個人的に 結びついているとしか思えない そんな言葉が存在していた 其れをひとつづつ拾い集める 意識が時の流れに順応して行く 途

          言葉 《詩》

          誰よりも 《詩》

          「誰よりも」 街路樹の並木が遊歩道の路面に くっきりとした涼しい影を落とす なんだか初夏に似た感じ 誰かがギターを弾いて 歌を歌っている 僕等は海を見ていた  特に理由がある訳じゃ無い もしもあるとすれば  水と波音と其処に吹く風が 僕等にとっては 大切な意味を持っている  海は太陽の光を受け色や波の形や 満ち引きの速さを変えて行く 鮮明であり曖昧であり   その輪郭の色や濃さも 季節により違って見える 情景的に感じる 肌触りと静かな旋律の中 ふ

          誰よりも 《詩》

          Let It Be 《詩》

          「Let It Be」 時間の座標軸が 少しずつ緩み崩れて行く 濃密な気配を其処に残したまま 深く理不尽な暗闇が 世界を激しく揺さぶる 朝の光と共に眠る 僕は僕の一部を僕自身で発見する その時を其処で静かに待っている 本棚から取り出した地図には 僕の知らない場所  行った事の無い街が描かれている  無個性に似通った現実とは  そんな夜 テーブルの上には ケチャップだらけの フライドポテトと氷の溶けたコーラ 窓から見えるルイヴィトンの看板 其れ

          Let It Be 《詩》

          下瀬美術館 《写真》

          Photo : Seiji Arita

          下瀬美術館 《写真》

          月の南 星の下 《朗読》

          月の南 星の下 《朗読》

          月の南 星の下 《朗読》

          ケセラセラ 《詩》

          「ケセラセラ」 昔日の繁栄の面影は 歴史の中に埋没する 祭りの花火の様に 強固に脈打つ現生的な栄光は 時間と共に 次第に色褪せ失われて行く 栄華と挫折を 一度に曝け出す過去を映す鏡 僕等は強い共同意識を持ち 外部との混在を否定し続けていた ゆっくりと揺蕩うごとく流れる幻想 確固たる世界観の中に共存する夢 丘の上にある大きな鐘を鳴らす 不明確な旋律が 切れ目なく流れている 単調に繰り返される時間に 思考が失われて行く 情緒が視覚的に余白を生む 其

          ケセラセラ 《詩》

          陰影 《朗読》

          陰影 《朗読》

          陰影 《朗読》

          銀河鉄道を待つ夜 《詩》

          「銀河鉄道を待つ夜」 雲が低く流れ 山肌を静かに湿らせている 細かな緊張をはらんだ空気が 其処に渦巻く 星降る夜に  ひとりの少女が夢を見た 矛盾と悲しみに満ちた夢を見た 其の悲しみの中に美しさと静けさを 読み取る事が出来るのは  きっと 少女と同じ境遇を持つ人に限られる 長期的に服用している薬が 時間が経てば経つほど   だんだんと効かなくなって来る 乱雑な 現実的要素で塗り固められた壁 銀河鉄道を待つ夜 孤独 孤立 其の満たされない全て 夢

          銀河鉄道を待つ夜 《詩》

          境界線の北 《詩》

          「境界線の北」 意識の中で人工的に創り出した楽園 その外に一歩足を踏み出すと 途端に荒々しい現実に 直面させられる 擦り切れ始めた幻想の先  汚れた海が物哀しい波音を響かせる ひとつひとつの点を線で辿る時 幻想と現実の差異を認識する 冷静にして沈着な計算を 要求されている 僕は失敗するわけにはいかない 不調和  脱落  不協和音  遥かなる眼下 虚空を睨むマリア像  祭壇に備えられた造花 アンチ クライマックス的な 微笑みを帯びた風 強固な結

          境界線の北 《詩》