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いつの間にか1年半が経った。もともと、書き手としての力をつけることを目的に始めたnoteだが、いまでは、自己表現の場としての意味合いが強くなっている。でも、それで良かったと思っている。最近は少しづつアクセス数も伸び、ポツポツと成果もではじめた。

これまでの1年半を振り返ってみると、3日坊主の僕でもnoteを書き続けて来られたのは、noteとの距離感が絶妙に良かったからだと気づかされる。その距離感を端的にあらわすなら「真剣だけどユルく活動すること」だ。

何事も大切なのは、戦略をたて実行に移すこと。でも、継続することが苦手な僕は、必要以上に目標を立てないことにした。目標が自分を苦しめたり、目標設定を間違えて継続できずに終わってしまうことを避けたかったのだ。

戦略は「真剣」に描くが、目標を甘くして「ユルく」継続する。このやり方なら、終わりがない。書きたくなったら書けばいい。そんなnoteとの距離感が僕には合っていたのかもしれない。

ここからは、僕が実践してきた「エモく」て「ユルい」note術を紹介する参考にしていただき、noteとの適切な距離感を見つけてもらえたら幸いだ。

Chapter01 必要なターゲット戦略を持つ


僕は過去にアメーバブログを開設して執筆活動をしようとした時期があるが、続かなかった。ブログ特有のガチャガチャしたUIや、たくさんの広告枠にうんざりしていた面もある。しかし、僕がブログを続けられなかった最大の理由は、書いた文章が届けたい人に届いていないと感じたからだ。

いま思えば、ブログを書いていたころの僕は、あきらかに読んでもらうための戦略が不足していた。それは、編集者・ライターとして、読んでもらうための工夫をこらすようになったいまだから言えることなのだが……。

さて、ここからが本題。みなさんがいま見ているnoteの先には、途方も無いほど数多くの人がいる。2019年10月にはnoteの月間アクティブユーザーが2000万を超え、そして、今月2020年4月にはなんと4400万を超えたというリリースがあったように、noteはもはや誰も無視できない一大コミュニティに急成長している。

でも、僕がnoteをはじめた1年半前は、そこまでユーザ数も多くなかったし、何より、僕自身にフォローワーがいなかった。フォロワー以外の方が自分の記事を目にしてくれるチャンスなんてほとんどない。だから、まずは0から1を生み出す必要があった。そこでまず僕が考えたのは、「どんなフォローワーを獲得するか」ということ。フォローワーを獲得することが重要なのではない。「どんな」フォローワーを獲得するかを考えることが重要だ。

僕は自己の欲求だけを満たすマスターヴェーションのような執筆活動だけはしたくなかったので、誰に対して、どのような記事を届けたいのかを、戦略的に考えることにした。

Chapter02 「ポチらせる」ために必要なファーストステップ

そして僕がまず0から1を生み出すために大切にしたのは、テーマを決めることだった。実はこのテーマを設けるのには非常に大きな意味がある。noteの先にいる2000万人もの人たちは、僕が何者であるかを知らない方がほとんどだ。そのような人たちに対して、僕がどんな内容の文章を書くのかをわかりやすく提示しなければ、僕の書いた記事に興味を持ってくれることはないからだ。

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最近は「ポチる」「ポチらせる」なんていう言葉も流行っているが、ボタン1つで、フォローしたり、フォローを外したりできる、そんなゆるい関係のSNSの世界では、その「ポチる」というそのワンアクションを起こしてもらうためにも、テーマを決めて自分をプレゼンすることは、とても大切な初期のステップなのだ。

Chapter03 テーマ設定で深さをとる

では、どんなテーマを設定すれば良いのだろうか。

「そんなこと言ったって、ありふれたテーマしか思いつかないよ」。

そう思われた方がほとんどだろう。ここで注意しないといけないのは、あまり考えすぎないこと。せっかく行動を起こそうとしたのに、ここでつまづいてやめてしまうのはもったいない。以前ある人から「行動は動機を強化する」という言葉を教えてもらったことがあるが、つまり迷った時は、とにかく行動を優先することが大切だ。なぜなら、いくら考えたところで、多くの人は、自分だけしか語れないテーマなんて持っていないのだから。だから気負う必要もないし、ありふれたテーマで十分であると言いたい。

オススメしたいテーマの決め方は、ズバリ「自分の得意なことをテーマにする」。これだけだ。

僕の例で説明する。僕はこれまで20年間にわたって、音楽やスポーツを中心としたライブエンターテイメントの仕事に関わってきた。そして、並行して延べ1,000人以上のアスリートや経営者らを取材してきた実績があった。その特徴を活かすために、noteの全体テーマを「スポーツをはじめとするエンターテインメントビジネス」と「社会」に設定することにしたのだ。

自分の好きなこと、得意なことなら、熱量をもって記事を書くことができるので、執筆活動が継続しやすい。そして何よりも、深く掘り下げた記事、専門性の高い記事は、読者の信頼を得ることができるはずだ。

Chapter04 テーマ設定で幅を取る

ここまで、大した実績でもないのに、僕の例をあげさせてもらってばかりで恐縮だが、自分のことでしか書けないので、もう少し我慢してほしい。

得意なことをテーマに設定することは、前章で述べた通りだが、お気付きの通り、僕はテーマを2つ設定している。それはなぜか? 

僕にはスポーツ競技の専門がないという弱みがあった。もしある競技のことを書いて、それをスポーツが好きな方に届けるだけなら、僕より優れたスポーツライターは他にもたくさんいる。実際、僕は昨年「Yahoo! 個人」というサービスの著者に登録してもらえないかと打診したが、「専門の競技がない」という理由により、承認してもらえなかった。

だが、一方で、僕の強みは、(1)これまでスポーツやコンサート、演劇などの興行ビジネスに20年間どっぷり浸かってきたこと(2)社会的な接点を数多く持ちながら、様々な社会課題に対してアンテナを貼り続けてきたことの2つにあることはわかっていた。

「短所は、長所のそばにある」とは故・野村克也監督の言葉だが、逆に「長所は短所のそばにある」。競技の専門性に乏しい僕は、「スポーツをはじめとするエンターテインメント」という強みに、「社会」という大きなテーマを掛け算して、深さと幅を取りに行ったのだ。

この考え方は、ブランドマネジメントの世界では、ケビン・レーン・ケラー氏によって次のように定義されている。

ブランド認知は、深さと幅によって特徴づけることが可能である」。

つまり、ブランド認知に深さがあれば、サービスや商品の特長などの面で第一想起されるし、幅が広ければ、ブランドが想起されるシーンが増えるというわけだ。

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僕はもともと執筆活動のテーマを「スポーツの価値を、スポーツから遠い人に届けること」と定義していたのだが、あまりこのようなテーマで活動しているスポーツライターがいなかったことも幸いしたのかもしれない。

ただ、ここまでブランド云々と書いてきたが、実際のところは結果的に少しうまく行き始めているというだけである。僕自身は、スポーツ業界のためにもなること、誰かのためになることに力を費やしたいと情熱を注いできたので、その結果が今になって少しづつ自分に跳ね返ってきているのかもしれない。

Chapter05 読んでもらいたい人へのアプローチ

ここまでは、セルフマーケティング・セルフブランディングの王道を元にテーマ設定の仕方を説明してきた。ここからは、次のステップに進みたい。

僕の手元には『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』というアダム・グラントの著書がある。

この本の中で著者は、自分が受け取る以上に他人に与える人を「ギバー」、常に自分の利益を優先する人を「テイカー」、そして与えることと受け取ることのバランスを取る人を「マッチャー」と定義し、成功する人は「ギバー」であると結論づけている。

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「ギバー」と「お人好し」はもちろん違うのだが、僕は自分が「ギバー」であるために、まずは自分から積極的に相手を知ろうとすることを心がけた。具体的には、スポーツや音楽などのエンターテインメントや、社会課題に対する記事を書いている方の記事を自分から読むように心がけた。noteにおいて自分が「ギバー」になるということは、自分と同じように表現活動をしている人に興味を持つことに他ならない。「自分に興味をもってもらいたければ、まずは人に興味を持たなければならない」というコミュニケーションの基本は、リアルでもバーチャルでも同じなのである。

Chapter06 noteへの熱量を保つコツ

これは僕の勝手な感覚だが、noteには「表現の自由」が空気として存在しているように感じている。もちろん憲法の第21条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と明文化されているが、リアルな世界で支配されているのは「同調圧力」だ。言いたいことが言えない苦しさは、誰もが味わっていることだろう。僕はいまのnoteには、この同調圧力から解放されるような自由を感じている。

そしてその解放感の中で執筆活動を続けてきて気づいたのは、「表現する行為には、カタルシス作用がある」ということだ。カタルシス作用とは、言葉にして表現することで、不快だった気持ちが取り除かれて安心感を得られる効果のこと。誰かにグチをこぼしたり、不満を言ったりするとスッキリするのは、この作用が働いていると言われているが、noteでの表現活動には、ストレス発散のような効果があることに僕は気づいた。

表現とは、読んで字のごとく、「表(おもて)に現(あらわ)す」ことである。

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せっかく自分の好きなこと・自分の得意なことをテーマに設定しても、何かに忖度したり、同調圧力に遠慮していては、本当の表現活動とは言い難い。「表現活動」とは、自分の内側にある世界を、外の世界に向けて翻訳し吐き出す作業だからだ。

執筆活動を始めたころの僕は、ここに大きな悩みを抱えていた。取引先に迷惑をかけないようにとか、業界の誰かにとってマイナスなことを書かないようにとか、そんなことばかり気にしていたし、書きたい記事を何度断念したことか。そんな状態では、良い記事なんて書けるはずがない。その積み重ねが辛くなったのだ。自分が表現したいことにウソはつけない。僕の場合は、自分の表現を優先した結果、独立するという選択をしてしまったのだが、僕がここで言いたいのは、表現するには自分をさらけ出す覚悟が必要だということだ。でも、自分をさらけ出しても、受け入れられる空気がnoteにはあるんじゃないかと僕は思っている。

Chapter07 noteを続けるコツ

ここまでは、真剣に取り組まないと成功できないようなことばかり書いてきたが、一方で、書く記事の内容や執筆の頻度には、細かいルールを設けてこなかった。例えば「毎日更新する!」などと意気込んでも、僕の性格上、長続きしないとわかっていたからだ。書きたい題材を見つけたときに書く。時間を見つけたときに書く。そんなユルい距離感でnoteを続けていくことが、継続のコツだと思っている。ここでは、僕が無意識に行なっていたことを紹介する。noteとのユルい距離感を感じてもらえるはずだ。

(1)更新頻度は決めず、書きたいときに書く。

(2)設定したテーマに沿っていれば、書く内容は気にしない。

(3)編集ルールは決めず、表現することに主眼をおく。

(4)アクセス数は、たまに確認はするけど目標にはしない。

(5)フォローワー数は、たまに確認はするけど目標にはしない。

こんなところだろうか。なお、ここで為末大さんの話で学んだ過去の記事があるので、紹介したい。「継続のコツ」を掴む上では非常に参考になる。日々トレーニングを積むトップアスリートですら、継続するためにユルさを設定しているのだ。

Chapter08 批判コメントとの付き合い方

書いた記事に対して、素敵なコメントが書き込まれれば、嬉しくなる。そのコメントが励みになり、次の記事の筆が進むこともしばしばだ。だが逆に批判的なコメントが書き込まれたら悲しくなる。時にはムッとしてしまうことだってある。このようなコメントにはどう対処したらいいか。

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コメントを書いてもらえるということは、記事を読んでもらった結果だし、その上で労力を使って書いてくれているわけだから、基本的には、真摯に受け止めた方がいいと思っている。だが、批判コメントに対しては、一定の基準は持って対処して良いと思う。僕の基準は以下の5つ。

(1)最後まで記事を読んだ上で書かれたものか

(2)その批判は誰に対してのものなのか

(3)言葉遣いなどに最低限のマナーがあるかどうか

(4)アカウントが実名であるか、もしくは実名を名乗っているか

(5)議論する気がなく対抗心むき出しの主義主張になっていないか(自分の主義なら自分のスペースに書いてもらえばいい)

僕はこの5点を基準に判断している。なぜなら、僕の書いた記事に対して、真摯に向き合ってもらえているかどうかが、僕にとってはとても大切だからだ。

残念ながら、ネット社会には、意味もなくただ攻撃的なコメントを残して去っていく人も多い。そのようなコメントに一喜一憂することなく、自分の表現を怖がることなく。こうして自分の表現活動を自ら守っていくことも大切なのではないか。

最後に 〜これまでの執筆活動を振り返って〜

僕はこれまで、主にメディアの活動を補完するような形でnoteで執筆を続けてきた。中には「メディアに寄稿している記事よりnoteの記事の方が熱量があって好きだ」といった声をいただくこともあり、僕にとっては大きな励みになっている。

これまでの約1年半で、ようやく投稿記事は100本を超えたばかり。5日〜6日に1本と、筆不精な僕にしては、それなりのペースで書くことができているように思う。PVも多いときは月間2万PVを超えるなど、試行錯誤をする中で、少しづつ成果も出てきたところだ。  

これからどんな成果が出てくるのかは全くわからないが、僕もまだまだnoteを楽しんで続けていきたいと思う。みなさんも「エモく」自己表現をし、「ユルく」続けていれば、ひと味違った未来が切り開けるのかも?

※最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

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