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NVCとお金!part1 NVC創始者マーシャル・ローゼンバーグが語る、革新的なお金の話

NVC(非暴力コミュニケーション)の創始者、マーシャル・ローゼンバーグがお金について語っている、刺激的/衝撃的な動画を見つけました。

「こ、これは…たくさんの人に見てほしい…!」Σ(゚Д゚)

NVCに関心がある人にもない人にも、
彼の発言からなにかしらの気付きがあるに違いない…!

これが日本語になっていないのは惜しいと思い、
文字起こしからだと正直かなり大変なのですが、
幸いこの動画の内容をまとめたサイトがありまして、
許可をいただきましたので、さっそく超訳(笑)してみます。

(文中で*がついている言葉は、NVC独特の用語です。説明がなくても理解できるかとは思いますが、記事の最後に脚注として簡単に説明しています。)

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

動画はここからどうぞ!(英語とドイツ語です。)
※著作権の観点から表示を変更しています。


<訳 ここからです>

共感*的にお金を使う

「お金を共感的に使うための練習をしてみましょう。
ポイントは3つです。
・お金を払うな。
・お金を請求するな。
・「価値」に対する概念を変容させよ。
ものには金銭的に価値がある、という考えを頭から追い出すのです。

支払う、という言葉を使うのをやめなさい。
どんなものにもお金を払ってははいけません。
お金を与えなさい。お金を与えることによって命/社会全体に奉仕できるように、あなたが望むようにお金が奉仕できるように。

お金を請求してはいけません。お金をお願いするのです。
望む仕事ができるようあなたのことをサポートしてくれている人々に、
お願いしてください。

お金をくれたときにだけ、それに見合ったものを与えるなどとは決して言わないでください。
私が差し出せるものをあなたに与えることができて嬉しい。
だから、私にお金をください。
そうすることで、ほかの人たちにも与え続けることができるから。

どんな世界に生きたいですか

マーシャルは続けます。
「お金が払える時にしか助けが与えられないような世界に生きたいですか? 支払いができずに病院から病院へと移送されている間に人が死んでいくような世界に生きたいですか? こんなお金の使い方をしている世界に?

決してお金を請求しないでください。
お金のためになど、なんにもしないでください。
お金のためになど、絶対になにもしないでください。
自分のやりたいことをするためにお金を得てください。

違いがわかりますか?
『意味』という価値/ニーズ**を満たす仕事をしてください。
そのために必要なお金を得てください。
お金のためになど、決してなにもしてはいけません。
人生は短いのです。」

お願い***としてのお金

「ですから、私はお金をお願いします。
お金を請求することはしません。
私は、人々がやりたいことができるように、お金を与えます。
そのおかげで私の生活が豊かになるのなら、その人たちにお金を与えて、
そしてその人たちがまた他の人たちに与え続けることができるようにしたいのです。」

マーシャルはまた、お金について語るのは簡単ではないと認めています。
スイスの会社で働いていたときの話です。
ディレクターがマーシャルと話しています。ディレクターは言います。
「いいでしょう。あなたにその仕事をしてもらいたい。
で、いくらになりますか?」
マーシャルは説明します。
「お金の請求はしません。
なにを受け取りたいかでしたら、喜んでお伝えします。
それから、私になにを喜んで与えていただけるのかをお聞きしたいです。
そこに齟齬があれば、詰めていきましょう。」
するとディレクターは言います。
「そういうことを言うと思っていましたよ。私もそれがいいと思います。
しかしこの会社では、スーパーバイザーに話を持っていくと、ただ値段を聞かれるだけなのです。私からは彼らに説明ができません。」
マーシャルはそれに答えます。
「私に同席してほしいというのなら、ここで私の希望をお伝えしましょう。会社のお金をどう扱おうが、それはあなたがたの問題ですよ。」
ディレクターは言います。
「わかりました。で、いくら欲しいと?」
マーシャルが答えたあと、ディレクターは言います。
「それは困りましたね。
スーパーバイザーにそんなことを言うと、あなたには価値がないと思われてしまいます。コンサルタントの多くはその3倍要求してきますよ。」
マーシャルは言います。
「3倍支払いたいというのなら、それを受け取りますよ。
私はただ、お金のためにはなにもしないということをわかっていただきたいのです。無料で仕事をすることだってできます。他の会社が私にお金をくれますから。」
こうして、この会社はマーシャルに、彼がお願いした額の3倍を支払ったのです。

「お金のためにはなにもするな」

マーシャルはまた、次のようにも言います。
「海外では逆にお金を求められることもあります。そのおかげで参加者はワークショップに参加し、かつ家族を養うことができます。ワークショップに行くことでその日の食い扶持を得られない人々がいるのです。
「例えばシエラレオネでは、ワークショップに参加してくれた人にお金を与えるのです。
他の国の人たちがくれたお金で、そうすることができるのです。
決して、お金のためになどなにもしないでください。
意味という価値/ニーズを満たすことをして、そのために必要なお金をお願いするのです。

<訳 おわり>


■脚注
*共感
原文ではGiraffe(キリン)。
NVCではキリンは共感や愛を象徴する動物として、批判的なジャッカルと対比して用いられる。
自己にも他者にも共感的であることは、NVCの基本中の基本のひとつ。

**価値/ニーズ
原文ではneed。
NVCの考え方のおおきな柱。
人間はだれでも普遍的なニーズ/大切なこと(Universal Human Needs)を持っていて、それをマーシャルは「自分の命が続くために必要なもの」と定義している。人間のすべての行動は、ニーズを満たすための表現である。

***お願い
原文ではrequest。
NVCを実践時の4つのステップのひとつ。
観察(判断抜きで事実のみをみる)→感情(体感、感情を感じる)→ニーズ(ニーズに繋がる)→お願い/リクエスト(ニーズを満たし、人生をよりすばらしいものにするための行動・発言)


この解説だけでは正直、意味がわからないのではと思います。
NVCの基本について、こちらのページで丁寧にまとめられていますので、ご紹介いたします。まさるさん、ありがとうございます!

あ、ここで強調しておきたいのですが…
NVCは、決して「いい人」になる人のためのツールでもなく、「気持ちをよくする」ための魔法なわけでもありません。
NVCは、それぞれを尊重し、それぞれが自分自身に繋がって真実を生きるための自由を手に入れるためのツールというか、生き方の姿勢なのだと、
今の私は感じています。(個人の感想ですっ。)
そのあたり、詳しくはこちらをどうぞ。


… ……… …… …… … … … 
正直、
「お金のためになにもするな」とはこれ如何に!?
わかったふりをしたくても、実際どうするのよ!?
…という声が聞こえてきそうです…
というか、実際私の頭の中でエコーしております。

ここは、おそらく、意図が大切なのだろうと思うのです。
「お金」にフォーカスしているのか、
それとも「行為」にフォーカスしているのか。
文中にあった「『意味』という価値/ニーズ」という言葉が
キーなのかもしれません。
「『意味』という価値/ニーズ」を満たし、
人生をより豊かにするための仕事をし、
人生をより豊かにするために、お金をお願いする
、ということ。

お金は、正直、個人的に大弱点なのです。
ここは、なんども咀嚼し、お金とのつきあい方を変容させたいところ。
そのためにも、NVC的なお金の話について、これからいくつかアップしたいと考えています。
なにより、自分のために…
そして、私と同じようにお金に苦しんでいる方々に届けばなお嬉しい!


そしてまた…
話は変わって、
余談になりますが…といいつつ
NVC的には大切なことだと思うのですが、
今回、訳しながら、「give」の訳し方にあれこれ頭を悩ませました。
というのも、「give」という言葉が、
上下関係の意味を含まない言葉であるのに対して、
「あげる」「やる」「与える」…という言葉に、
どうしても、立場の優劣が付随してしまうなぁと…。
例えば、自動的に「give」を「あげる」と訳してしまうと、
とても不自然になってしまうのですよね…。
上の訳文でもまだまだ不自然なのは重々承知のうえで。

そう、それで、なにが言いたいのかというと、
NVCの実践にあたり、まずは「観察」が大切だとされているのですね。
それは、意見や判断をはさまずに、
例えば映画のスクリーン上の状況を述べる、みたいな客観さで
できごとを述べる、という作業なんですが…。
この、あらかじめ優劣の意味を含んだ言葉を無意識に使ってしまうことで、
「観察」に意見や判断が入り込んでしまっていることって、
あるのだろうなぁ…
そして、これは日本語にかぎらず、
どんな言葉にでもありえることなんだろうな…と。
言葉の支配力のようなものを、少し垣間見たような気がしたのでした。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆ 

この訳の原文は、上の動画をもとに、ロンドンを拠点としたフィナンシャルプランナーのCleona Liraさんが書き起こしたものです。
ご本人のご快諾を得て、翻訳および紹介をさせていただきました♪
ほかにもNVCとお金にまつわる興味深い考察やインタビューがありますので、おいおいご紹介していけたらと考えています。
もし訳に間違いなどあったら、教えてくださいね!
Thank you very much for your work and generosity, Cleona!!


NVCとお金の話、part2に続く!!


☆2月15日 追記です。
なんと…当記事を投稿した同じ日に、その名も
『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』
という本が出版されたらしいのです!
なんという偶然…
すぐには手にとって読めないとは思いますが、
内容、大いに気になります…!

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