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ヨルダンサッカー史と日本の関係

こんにちは、シーナです。
前回の投稿からだいぶ長らく更新ができていませんでした。やってしまったー!
投稿できてなかった理由はいろいろとあるのですが、そんな中でも書きたいことはたくさんあって、なにについて書こうかなあと思いにふけていたこの頃。

一方、隣にいるヨルダン人の夫・オリーブさんが、連日ユーロとコパアメリカのサッカー観戦に燃えています。
これが本当に文字通り燃えているから、リアクションの熱量がスタジアムにいる人とほぼ互角です(笑)
これは、オリーブさんだけが特別サッカーに熱があるというわけではありません。
実はサッカーはヨルダンの国民的スポーツで、ヨルダン男性はサッカーが大好きなんです!

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そういえば、先日はワールドカップの予選でヨルダンvsクウェート戦があり、結果は引き分けに終わりました。

翌日、スーパーでお買い物をしてレジに並んでいたとき、店員さんたちがやたら熱心に会話をしていました。
「熱心に議論しとるわー」と思いながら、一切アラビア語習得に力を入れてないわたしは、彼らがなにを言っているのかさっぱりわからないから聞き流していたわけですが、その議論にオリーブさんが参戦しました。

そして、わたしたちの後ろに並んでいたおじさんも参加するもんだから、「あら、これはもしかして大ごとかしら、、?」とちょっと不安にもなったわけです。
なぜなら、なにを言っているかわからないから!
(そろそろアラビア語の勉強に本腰を入れなさいという話ですよね(笑))

スーパーを後にしてから、「さっきみんなでなにを話していたの?」とオリーブさんに確認しました。

オリーブ「昨日のサッカーの試合のことだよ。後半の最後の方はよかったんだけれど、それまでのパフォーマンスがよくなかったから、みんな結果と試合内容に納得してないんだ。最後に入って来たおじさんは、『最後によいパフォーマンスができるなら、なぜ最初からそのようにプレーしないんだ!』って怒ってたよ」と教えてくれました。

たまたま居合わせた人たちでもとにかくサッカーについて議論したい、この熱い思い!
サッカーはヨルダンの国民的スポーツであることは、ご理解いただけましたよね?
本当に全ヨルダン人男性がサッカーに熱狂していると言っても過言ではないのです。


そんなサッカーに熱狂するヨルダンを発狂させた、ヨルダンサッカー史史上最大の事件をご存知ですか?

それは、AFCアジアカップ2004年に起きました。
2004年7月31日のヨルダン対日本戦での出来事です。

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当時のヨルダンは今までで一番ベストなチームだったのもあり、当大会で初めてアジアカップの決勝トーナメントまで登り詰めました。
運命の対日本戦では延長までもつれ込むも決着がつかず、PK戦へと突入しました。

このとき、異例の事態が起きました。
日本の「芝生の状態が悪い」という抗議により、審判がPKのサイド変更を認めました。

それまで2連続でPKを外していて後がなかった日本。この抗議で流れが変わり、勝ち越し、その後の試合も勝ち進めました。
そして、日本は当大会の優勝国となったよ!という美談となっています。

ただし、日本では。

ヨルダンでは、この事態をどのように見ていたのでしょうか?

ヨルダンはサイド変更の前、ヨルダンは同じサイドでPKを決めました。
だからこそ、選手も国民もこのサイド変更に納得が行かなかったのです。
120分間も高い集中力で試合を続けて、PKも決めて、「勝てる」という自信と雰囲気があったからです。

このサイド変更に、ヨルダンのキャプテンは「自分もキャプテンだ!だからこっちの意見だって聞き入れるべきだ」と、サイド変更反対の抗議をしたようですが、それは受け入れられませんでした。

サイド変更後、ヨルダンは2人連続でシュートを決めることができましたが、その後はミスが相次ぎ、敗退してしまいました。

このブログを書くためにYouTubeでもう一度、問題のPK戦をオリーブさんと観ました。
わたくし、オリーブさんに出会ったときから、毎回同じ熱量でオリーブさんからこのPK問題に対する抗議を受けます(笑)

「こんなの不正だよ!だって自分たちが二連続で失敗して、負けそうだから抗議したんでしょ?ほら、ヨルダンの最初のキッカーは同じ条件でもしっかり決めてるじゃないか。
いい?あの世界で最も強い国の一つのドイツの選手たちだって、芝生が滑ろうがしっかりPKを決めたことがあるんだ。だから問題は芝生じゃない。問題はシュートを決められなかった選手なんだよ。だから、日本は不正を働いたと思うんだ。
レフェリーもひどいよ。たしかに日本はアジアの中ではトップレベルで、ヨルダンはたしかにダークホースだったと思うよ。だけど、そんなので優劣つけて片方の意見だけ聞き入れるなんて不公平じゃないか!
ヨルダンはこの試合で勝てたのに、この不正サイド変更によって流れが変わってしまったんだよ。アンラッキーだ」と、未だにその試合の最中にいるような勢いで抗議を受けました(笑)

「でもサイド変更後、ヨルダンの選手が2人連続でPK決めてるじゃない」と指摘すると、「それはたしかに矛盾ではあるね」と、素直に認めるところがオリーブさんのいいところです。

まあでも物は見方だし、心の持ち用は人それぞれですからね。日本にとっては有利だったけど、たしかにヨルダンにとっては不利でしたよね。
だって異例サイド変更に加えて、変更後は日本の選手が次々とPKを決めていたので、とても強いプレッシャーがかかったり集中力を保つのが難しかったり、ヨルダンの選手に不利な条件が揃ってしまったのかもしれないな、、、と思うと、なんだか申し訳ない気持ちにもなります。
過去最大にヨルダンが国際大会で優勝できる可能性が高かったから、余計にね。

ただ、いつまで引きずっとるんや!とだけは言いたいけどね(笑)
このしつこさも、ヨルダン人の愛嬌だったりもします。


というわけで、今日はヨルダンとサッカーについてお話ししていきました。
ヨルダン国民にとって、サッカーは国民的スポーツ。国内のサッカーだけでなく、ヨーロッパなど世界のサッカーにまで熱いのが、ヨルダン男性のサッカー愛です。

そんな熱心なサッカー愛を傷つけるような大事件が、ヨルダン対日本戦で起きてしまい、今なおヨルダン国民の心に深く刻み込まれています。
(PK事件は根深いけれど、ヨルダンは日本が好きな人が多いのでご安心ください(笑))

オリーブさんとわたしは未だにPK事件について議論をしますが、それもサッカーが好きだから!
いつかまた大きな国際大会で、ヨルダンと日本が対決するのを心待ちにしています。
スタジアムかテレビの前で、お互いの国を応援し合うのが本当に楽しみ!

みなさんも、もしヨルダン男性とお話しする機会があったら、ぜひPK事件について議論してみてはいかがでしょうか?
きっと熱く抗議してくることでしょう(笑)

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ではまたー

シーナ

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