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俳句 2


潮の香や 日差し柔らか 懐かしや

夜を裂く声胸を突き 鳥が行く

虚の空を染めて哀しき口笛よ

目を覚まし 蛙の声が夜の中

春の朝 漠然の不安忍びよる

春の雨 淋しき猫と 君が泣く

鳩が鳴き なつかし庭に草萌える

風の香よ 生きの命よ目を覚ませ

今生きて 写す真の朱き空

我誰そと問うて 五月雨 にわか雨

ピアノの音 暗き光のアマリリス

静む夏 胸の痛みが愛告げる

光浴び 帰りを祝う野の花よ

我生くるなりと行く虫歌う

君の声 月の明かりに澄みし風

明け渡る 光優しい きりぎりす

冬列車 窓に映つた君がいる

           月草子

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