嘘という名の優しさが招く良心の侵食について
#KENMAYA です。
皆さんは嘘をついたことがありますか？
今までの人生で一度も嘘をついたことがない人などほぼ１００％この世に存在しないでしょう。それぐらい嘘というのは身近な存在です。嘘とは本当でないことを、相手が信じるように伝える言葉。事実に反する事柄。人を欺く言葉。いつわり。そらごと。虚言。虚偽。などを意味し、嘘を嘘であると見抜くことは、他人が言う言葉に常に懐疑的なまなざしを向け、誰かを盲目的に信用することがない人が会得できるスキルのようなもので、普通の人にはなかなかできるようでできない、難しいスキルです。
実際人間誰しも、誰かしらを信用したいと心のどこかで思っていて、ある意味では信用し、依存できる相手がいる状態は心が安定しているといっても過言ではありません。例えば、戦場で背中を任せられる戦友がいたとすれば、それは背後、あるいは自分からは死角となる敵を任せておける、という信用に他なりません。
しかし、先程言った通り、人間誰しも嘘をつきます。それは日常での些細な嘘から、大掛かりな詐欺、経歴詐称、果ては司法の場で嘘を証言する偽証罪という犯罪まで、嘘にも数多の種類があります。これら全ての嘘が悪である、と断罪するつもりはありません。タイトルにもある通り、嘘が優しさであることも多々あるからです。
例えば、あなたの苦手な相手、あるいは嫌いな相手に直接「おまえは嫌いだ」と高らかに宣言する人は少ないでしょう。大抵の人はそっと距離を置くか、友人の中の一人であれば周囲の目を気にして、上辺だけは友人の振りを装うのが普通だと思います。
これもある意味で嘘をついて生きているわけです。全てに正直に生きていたら、あなたはあっと言う間に孤立し、誰からも相手にされなくなってしまうでしょう。人間社会は良くも悪くも嘘で成り立っているのです。
優しい嘘は基本的に「他人を傷つけないようにするため」、あるいは「他人を気遣う優しさを見せる自分を演出するため」につく嘘です。これは、他人を貶めたり、傷つけないようにするための嘘なので、人間社会的には【いい嘘】であると言えるでしょう。それとは逆に他人を貶める目的であったり、自分を大きく見せるためにつく嘘は人間社会的には【悪い嘘】であるといえます。
しかし、この【いい嘘】と【悪い嘘】はあくまで主観的なものであって、観測者によって判断基準が異なります。例えば、「詐欺師」から主観的に見た時、自分を大きく見せるための嘘や、他人を貶める嘘には生活がかかっているので、ついてもいい嘘。となります。つまり、嘘の正当性なんて元々あってないようなもので、優しい嘘だからついてもいいなんて論法は通じません。
ですから、嘘はどこまでいってもやはり嘘に過ぎません。そしてここからが大事なのですが、嘘をつくことで咎（とが）が残ります。それは自分の良心に対する咎であり、本当はこう言いたいけれど、建前でこう言った。という懺悔にも似た傷が少しずつ蓄積していきます。人間の良心は人それぞれですが、負担の許容量があり、その咎の蓄積によってどんどんすり減っていきます。
最終的に良心が完全に咎によって侵食され尽くしたとき、その人間は誰一人として人間を信用できない、猜疑心の塊となります。（※魔法少女まどかマギカのグリーフシードが真っ黒になった状態）
まさに今のわたしのように、他人の信用スコアはゼロからスタートし、減算はあっても加算のない状態になるのです。これはとても残念で人間的に寂しい状態であると認めざるを得ません。
一度こうなってしまうと、社会の不安定さに愉悦を見い出し、他人の称賛や美辞麗句は全て虚飾に感じ、自分の口から出るのは全て嘘なのか本心なのか、もはや自分でも把握できなくなります。自分の歩んできた人生そのものすら、嘘で自分という存在を演じてきたと認識します。
比喩的表現ではなく、わたしは本当に他人を信用しません。近しい友人や親兄弟、家族でさえ信用していません。いざという時に一番先に見捨てられるだろうと自分で納得、理解しているからです。だからこそ、自立した経済圏の成立と自立したパフォーマーになろうとしています。
こんな悲しい思いをするくらいなら最初から嘘はつかない方が良いんです。
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