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今この人生を有意義に使おうと思った古典[徒然読書48]
このフレーズをどこかで見たことはないでしょうか?
われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。
時間の使い方などでよく引用されている印象です。
すごく的を射ていると思いませんか?
これを書いた人が生きていたのは2000年前の古代ローマ。
皇帝ネロの教育係だったセネカです。
今回はセネカ『人生の短さについて』を紹介します。
1.セネカの思想について
セネカはストア派の思想家です。
セネカの思想を語るにはストア派から始めないといけません。
ストア派はよくエピクロス派と並べられている、ヘレニズム時代の思想です。
ヘレ二ズム時代とは何かというと、古代ギリシアのマケドニア王国のアレクサンドロス大王がペルシアに東征した時代(紀元前4世紀)です。
日本古代史をやっていると東征=神武東征?となるのですが、何か共通点があるのかなと思ったり。
さておきそのときに、ペルシアとギリシャの東西文化が融合しコスモポリタンの意識が芽生えました。
箇単にいうと、「全ての人間はただ1つのコミュニティに所属すべきだ」という考え。
古代ギリシャのディオゲネスがはじめて提唱しました。
これはストア派にも受け継がれていきます。
そう、ヘレニズム時代はギリシャ人が各地に散らばった時代でもあるのです。
ここで登場したのがストア派の祖ゼノン。
出口治明さんの『哲学と宗教』によると、「哲学を自然学・論理学・倫理学の3部門に分けたこととその思想の中心に、いかにして心の平穏を求めるかいう命題があった」そうです。
その手段が徳を実践するために知識をみがくこと。
ストア派の流れをくむセネカも自分自身とどう向きあうかを追求しました。
2.セネカの言葉3選
多忙な人間は何事も成し遂げることは不可能である。
どんな時間でも自分自身の必要のためにだけ用いる人、毎日毎日を最後の一日と決める人、このような人は明日を望むこともないし恐れることもない。
自分たちに近づく者を一層幸福にし、自分たちに一層愛着を覚えさせずには帰さないであろう。
3番目が一番印象的です。自分自身もみがいて、他者に幸福を感じてもらう。
そんな人生を歩むことができたらいいなと思います。
3.現代のわたしたちに投げかけていること
セネカの『人生の短さについて』は、NHKの100分de名著でちらっと見て心に残っている本でもあります。
格差はあるとはいえ、士農エ商の時代に比べれば比較的自由に未来をえらべます。
だからこそ、「明日がある」「退職してからあそぶ」など未来そあてにして考えがちなのではないでしょうか。
明日がある、未来を思い描けるというのは本当に幸せなことです。
そうしたあたり前のことをセネカは2000年前から投げかけてくれているのかもしれません。
ちなみにダレイオス3世とのイッソスの戦いを描いたアレクサンドロス大王の有名な壁画はポンペイから出土しました。
火山灰にうもれていたから貝事に残っていましたが、ポンペイがなければアレクサンドロス大王はコインしか残っていなかったかも。
何がどんな偶然で後世に姿そ現してくるのか分からないのが歴史の面白さですね。