武経七書の1つ『三略』を読んでみた【徒然読書43】
中国古典を最近また読むようになっています。
今回は『三略』を読んでみました。
読書カフェに行ったときなぜか目に留まって、読んでみたら面白かったのです。
本屋ははやりの本やベストセラーメインだけど、読書カフェのようなセレクトショップに近いところだと選書が独特で、どんな本が置かれているのか冒険のようです。
さておき『三略』とは何かというと、1080年の神宗が定めた武官必修文典である「武経七書」に数えられました。
老子の影響を受けており、日本には吉備真備が持ち込んだとか。
源義経が鬼一法眼のもとから持ち出したと言われる六韜と双璧をなします。
北条早雲も愛読したと言われています。
この北条は鎌倉時代の執権北条氏ではなく、戦国時代の関東を収めた北条氏です(早雲はその初代)。
さて『三略』にはどういうことが書かれているのかを、私の心に響いた言葉を中心にまとめていきます。
『三略』の目的です。
「上略」で部下の接し方や戦法、「中略」で聖人や賢人をどう呼び込むかという姿勢、「下略」で人民をどうおさめるかがかかれているという印象でした。
これは老子の「上善は水のごとし」につながると思います。
剛強であることが良いのではなく、柔軟に生き抜くことが良い。
そして敵の行動に合わせてこちらも形を変え、勢いを利用する。
そして戦略の3つの原則も書かれています。
戦略は漏れてはならず、将兵は団結し、敵を攻めるときは迅速に。
今にも活かせそうなところがありますね。
いざ戦うのなら、その前に敵の状況を把握するために倉庫を視る。
もし食料が少なければ国外からの輸入に頼っていることから、国力は弱い。
そして地形も把握して弱みを突く。
孫子の説く兵法にも通じるような。むやみに戦うのではなくて、敵を知り己を知ることが最善なのです。
侵攻などするのではなく、身近で貢献していくと簡単に目標が達成する。
手を外に広げるのではなく、地盤をまず固めろということでしょうか。
1を捨てて100得るものがあれば、人民は君徳を感じる。
1を捨てて10000得るものがあれば、政治は安泰。
如何に少数の犠牲で多くのものを得るのか。そして人民の心に叶うか。
この調整がなかなか難しいものですね。
ざっと書きましたが、どこか響いた文章があれば嬉しいです。
古典を読んでいると、もう悩み事や戦略のほとんどが2000年前にすでに解決されているような気がしてなりません。
進歩しているようで思想は逆行しているのかもしれません。
こうした不思議な魅力があるのが古典です。
またいろいろと読んでみたいと思います!