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家族を思って
先ほど、自分の遠征の関係で東京に到着した。
久しぶりに乗車する山手線などは自分にとっての刺激になり、大阪を普段見ている自分にとっては斬新すぎるものだった。
少しだけの目的を達成したので、今は朝の食事を摂りつつ次の目的地へと西武池袋線に乗車しようとしているところだ。
先日、妹の家から郵便が我が家に到着した。
住所には、自分にとって遠く離れた地名が記されていた。東京に近い場所に妹は旅立った。
妹は京都市の風物詩、祇園祭の時期も忘れて東京方面での状況生活に馴染み始めているようだった。
なんとなく、勝手な兄気心としては
「先を越された」
ような気持ちにもなるし、妹の成長を感動してしまうとでも言ってしまおうか。
そんな妹の暮らしている日本の中心地、東京にやってきた。
やはり自分にとってこの地は忙しなくてなんとなく慣れない。
文字は多いし人の移動は止まらないし、どうにも心が落ち着かないのである。
『住めば都』
と昔の人は言葉を残している。
その言葉に預かるなら、自分はすっかり大阪方面に慣れてしまったのだろう。
別に何もできない兄貴に心配などされる必要もないだろう。しかし自分は
「こんな忙しない場所で妹はやっていけるんだろうか」
との思いを考えて今、この土地にいる。
叔父も上京し、今は東京で暮らしている。
妹とは少し境遇は違うものの、自分の血は何処か東京に憧れる性質を持っているのだろうか。
この都心の中で、何かを探しているような。
心配をするような気持ちになってしまった。
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