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ACT.19『Open the door for …』

間髪もなしに向かう場所

 ゲットワイルドの流れそうな場所ですよね。えぇ。う〜ん…というわけで、次の遠征へ。岐阜・福井の旅に向かって間髪もなく、向かう場所がありましたとさ。
 そしてそんな場所に向かうべく、自分は「うめきた」を歩いている。最近、この辺りの地下に線路が開通したらしい。そして、その地下線路には1000t級貨物を押す機関車の勇姿。そして日本最速の貨物列車…また、関西が世界に誇る多数のパターンを維持しているホームドアが存在しているらしい。
「もし、時間があれば日本最速の貨物列車撮影にうめきたへ」
と思っていたが、そんな事は時間が許してくれずお預けになった。
 予定ではフェリーでののんびりした航行で大阪南港からの北九州入りを予定…していたが、自分の怠惰な性格で結局ナシに。
 観光仕様の増便バスで向かう事になり、うめきたのターミナルに向かう事になった。
 この「うめきた」周辺は工事が今なお進行している。大阪環状線の線路を福島方面に歩いて行くと
、本当にこの現場感…というのだろうか。開発に向かっていく土地の雰囲気が非常に面白い。
 中学生の時期にグランフロントなどが開発され、梅田貨物駅が廃止。それでも自分は大阪の開発と大阪駅の開発…変わっていく関西の拠点を感じたが、「うめきた」開発は更に大きな歩みと成長を見せているように思う。大阪駅周辺は今後、どうなって行くのだろうと感じながら自分はターミナルに向かっていった。

ランカーの通り道

 宵闇の大阪駅裏…「うめきた」周辺を伝ってやってきた場所は「WILLERバスターミナル」だった。余談だが、自分はよく愛用している。この乗車寸前に、ゴールドランクに登録され「スカイタワー」への入場料が何%割かになる特典が入った。そして
「あと2回乗車すればゴールドランクキープ」
との記述が飛んできた。
 果たしてこの後、2回以上乗車する機会はあるのだろうか。自分は気になっているが、意識的に選んで乗車している辺り、きっと「ランカー」は維持されていくのだろう。
 しかし、JRや各私鉄系バスに乗車していく中でこのWILLERは現状最も使いやすい気がする。会員登録制で、ポイントの跳ね返りも良い。
 ちなみに、WILLERに乗車する中でバスターミナルを使ったのは初の経験だ。コンセント付きベンチにや過去の座席展示…そして夜のニュース放送が行われているテレビ…と多くの設備があった。高速バスのターミナルとしては揃い過ぎていると言っても良い。そして、売店やグッズガチャ…の品揃えも素晴らしく揃っている。ちなみに、事情を知らない人ではないと分からないかもしれないが、「京都丹後鉄道」のグッズも販売していた。そういえばWILLERが予約管理していたな、と自分でもこの時に思い返した。
 この他にも、「車折神社発!タワレコ出張推しの御守り」が販売されていたが、御守りは神社で買ってこそ…のイメージが非常に強い。御利益はあるのだろうか、と売り場前で立ち尽くしていた。

バス・アクシデント

 コンセント付きベンチがあったので、背後に放送されているABC・「報道ステーション」を聴きながら連載記事を書きながらバスの到着を待っていた。しかし、問題発生。
「バスの配車が間に合わず、東京行きの便と時間が交錯」
してしまう事実が発生してしまった。
 バスで初の九州入りという記念すべき回になった…ものの、車両の配車が間に合わず遅延。GWならではの事象とはいえ、このような事態があってこそ旅の醍醐味というものだろうか。今回の遠征が長期化する事は若干の覚悟をしていたものの、少しホッとしたというか…。
「何時くらいに到着します?」
カウンターの案内人さんに質問までしてしまうくらいの硬直状態。どれだけ緊張しているんだ、自分は。

 ようやく配車のバスが到着した。帝産の車両か…?と写真を見て思ったが、そもそも帝産の車両ではなかった。東京行きのバスは未だ改札を行っている。
「博多行きは何処でしたっけ…」
改札が行われている中、オドオドした様子で久しぶりに自信のないムーブ。するとバイトらしき改札員さんに奥の方へと通され、多くの車両が並ぶ別の待機場へと案内された。海外っぽいターミナル。そして改札の雰囲気とは裏腹にこうした面だけは格安交通の雰囲気が漂っているというところか。

 なんとか乗車…には至ったものの、
「お客さまの決済データが残っていないのですが…」
という事になり、自分が乗客である証拠を宵闇の中開示しなくてはならない状況になってしまった。
「あ、すいません…」
と告げて乗客データが発見され、ようやく出発。なんとか小倉まで急遽で抑えたバスの旅が始まった。
 何度か高速バスの利用に肖っている自分だが、ここまでの長距離利用は初。そして、コンセントやWi-Fiが飛ばない状況。また、案内音声が車掌の如く肉声で実施される車内を眺め
「フェリーの決済を期日までにしておけばよかった」
という後にも先にも尾を引く後悔が自分を背負ってしまうのだ。
 だが。乗車中に災難発生となる。高速道路上を走行していた時の事だ。真っ暗な中前に座る乗客からの「リクライニング・ヘッドロック」を食らい更に姿勢が危うくなる。本当にテーブルマナーや様々なマナーが世の中には存在しているが、このマナーだけは絶対に守らねばと思ってしまう次第だ。皆さんも必ず声をかけていただきたい。
 バスが半回転し、車内の灯りが蝋燭で光ったようにモワァっと妖しく光った。どうやらこれが休憩の合図のようだ。三木SAに到着する。
 写真はそんな三木SAでの3台並びだ。この3台の行き先は左から「博多」・「長崎」・「熊本」と九州行き格安バスの行き先がそれぞれ揃っている。関西→九州に夜行のバスが浮上してくるのか…と眺めて思ってしまったが、移動中の自分も言えた身では無かった。また、何処かの記事で読んだ
「高速バスの進化は夜行列車の進化である」
という記事がこの時に大きく刺さる。
「俺の時代は青春18の夜行快速なんかが役に立ったのさ」
と自慢気に語ってくれる世代たちの話口調が妙に恋しくなってきた。

聖域を踏みまして

 その後の三木を出た自分が、よく寝れたかどうか…を話すのは本当に定かではない。しかし殆ど寝れ無かったのは確かで、
「博多に向かうまでは特急列車に課金してゆったりと寝ながら移動していこう」
と腹に据えてしまったくらいだ。
 写真は、山口県・壇ノ浦SA。噂とされた水曜どうでしょうの深夜バス日の出の聖地だ。余談にはなってしまうが、大阪を出発するアナウンスでの
「…途中、山口県は壇ノ浦SAに停車し」
というフレーズで少々の笑いを食ってしまったくらいで、自分の中にも強く刻まれていた場所だ。
 しかし、その聖地として準えられた場所の写真はよく分からず撮影を諦めた。
「今、壇ノ浦」
と母親にこの関門の朝日を挨拶と同時に送信したところ、
「綺麗な朝日、気を付けてね!」
の連絡が返ってきた。何かバレなくてホッとしたと同時に、心の中は深夜バスの聖地に立ち寄ってしまった爆笑の感覚で笑いが混ざっていた。ここまで来てしまうと、九州はあと少しだ。朝日に照らされた関門の大地を瞼に抑えつつ、小倉での電源吸収スポットについて考えを張り巡らせていた。現代人に成り下がったから仕方ない、の感覚で収めるしかないような問題かもしれないが
「朝飯はコンセントのある場所で食したい」
という感覚に苛まれる。カーテンの隙間から壇ノ浦の朝日を浴びて、ふとそんな事を考えていた。

小倉上陸

 遂に九州の大地に上陸し、小倉にて下車した。
「前も九州やったな…」
の気持ちがないまぜになっていたが、自分の知らない小倉駅に下ろされていた気がする。
 手荷物を運転士さんから受け取ってバスの背後に回り込むと、大阪ナンバーの車両や大阪府のラッピングを飾り付けた車両の存在感に驚きを感じる。こんなところまでよく走ったなぁ…と1人モノを思ってしまうのだ。
 結局、この場所にいても何処か判っていないので小倉のJR九州方面に向かう。こちらは新幹線が入線する事によるJR西日本の側らしい。通路を通って、裏道のような場所を歩いていくと普段慣れている九州側に出てきた。

 九州側に回り込むと実感する…のはモノレールの存在だ。この存在あってこそ、小倉駅の駅環境が成り立つと言っても良いだろう。テレビ番組では、「銀河鉄道999のようだ」とかつて形容された事もある。小倉駅の中に収まる姿。そしてその格納された駅舎から飛び立つように発車するモノレールの姿は、まさに「銀河鉄道」のように感じるのだろうか。
 そんなイメージの象徴…ではないが、松本零士先生出身の地・としてこの北九州モノレールでは銀河鉄道999のラッピングモノレールを運転している。車両にはサインもあるらしい…のだが、実際に乗車した折には拝見してみたい。
 訪問日の朝は見る事が出来ず、黄色い色のモノレールが小倉の上空を飛んでいた。小倉の町にとっては日常の、普段の風景だ。

 北九州モノレールの小倉駅。駅構内にズボッと埋まった姿が特徴的だ。
 この姿が何か、銀河鉄道というか近未来的なモノを予感させてくれるのだろう。モノレール側も、建築の限界をギリギリまで寄せているのが「神業」のように感じられる。
 また、松本先生の時代の時にはそもそも「モノレール」がなく、普及していくのは後になってから。そんな時期に「街の中にあるターミナルから鉄道を空へ飛ばしていく」発想を描いたのは非常に斬新というか痛快だ。後の日本SF思想にも影響を与えていく…事にもなるのだが、こうしてその思想の原点に近いようなモノが見られるのは非常に嬉しい。最近、松本先生の訃報があったからこそ余計敏感に感じてしまうのかもしれないが。

 小倉駅を発車する北九州モノレールの通常塗装。敢えて、(というか顔に光線が照射される時間では無かった)顔に光を当てなかった事でこの写真からは自分の「思い」を伝える事が出来たと思う。
 北九州モノレールの通常塗装についてだ。北九州モノレールには、ラッピングや特殊塗装なども存在しているが通常塗装は何か側面だけで見ると「新幹線」のようにも見える。
 白×青といえば日本人の感覚でどうしても「新幹線」のように感じられるのは必然の所業に感じてしまうが、北九州モノレールは角張った三角形の落ちる塗り分けが非常に新幹線らしさを感じる。おそらく、「新幹線の九州上陸」を意識しているのだろうか?前回訪問で乗車した福岡市営地下鉄でもそうだが、福岡県の交通は「開業した際の時代背景」が濃く出ているように思う。昭和のモノレールや地下鉄が発展へと向かう時代、交通機関に背負わせた期待のようなものも同時に感じる。そういった点でも、福岡の交通機関は見ているだけでも楽しさが十二分に感じられるものだ。

 駅前での充電はガストに決定。最近、ガストも格段にサービスが良くなった気がする。
 食事が胃に入る自信が全く無かったので、ヨーグルトボウルとサラダのセットをオーダー。しかし到着が異様に早く、ネコ型配膳ロボットに充電環境などを整えているうち
「早く食べてね、美味しいよ。」
と唆される始末に。
 いやわかってんだけどコチラにもコチラの事情がぁ!!充電環境・荷物置き…なども間に合わず、かなり早い時間の到着だった。
 店には自分以外の来客も疎らにあったが、自分はかなり早い時間でオーダーが通過し、それに早い時間で調理が済んでしまう軽い食事だったのが影響しているのだろう。配膳ロボにまで急かさせる結果になるとは思わなかった。
 軽く執筆と充電に時間を費やし、モノレールが見えるガストで時間を浪費する。食事中には携帯を眺めて、早速予約登録をしたJR九州ネットから特急列車の予約を進めてみようとする。しかし、決済をコンビニで試みようとしたが
「クレジットの情報を」
と出てしまう。高速バス感覚でケータイ予約からのコンビニ支払いが出来るとそれが1番楽で、簡潔だと思うのだが。結局、食事後に再び窓口に向かって列車を予約する事にした。
 博多までは特急ソニックを使う事になる。快速列車などを使う手立てもあるが、特急列車で一気に攻め立てておきたい気持ちの方が強かった。時間は既に8時〜9時を彷徨っている。

いざ、南の鉄道へ

 小倉の駅に今回の切符などを仕立ててホームに向かうと、九州色の気動車がホーム内にいた。すかさずシャッター。
 デザインの第六感が冴え渡る通勤電車の撮影も素晴らしいのだが、こうした気動車の撮影…いや、九州色の車両を撮影するのも非常に良い。この小倉には、下関方面へ向かう415系。そして、日田彦山線に向かう気動車でこの九州色を見る事が出来る。
 それにしても落ち着く色合いだと感じさせてくれる。このような車両が残っている現状に感謝をしなくては。

 小倉ではそんな九州色キハの並びも撮影が出来た。現在はこうした撮影が出来る駅も非常に限定されている。駅を回っていて、停車時間を思いっきり割いている自分が気づけば存在していた。

 そして、いよいよと云うべきか。赤いJRマークを見てしまうと、九州の大地に足を踏み入れた覚悟や感覚に腹を据えてしまう。かつては「赤字の赤色」と忌み嫌われていたこの赤いJRマークも、現在ではJR九州の標準ステータスへと化した。しかし、現在のJR九州を眺めていると「火の車」の様に化してしまったJR九州の現在を眺めているようでどうも気が気でならない。果たして正気を戻せる時は来るのだろうか…。
 キハの側面美とは全国を見ても共通認識で格好が良く、また旅に出たくなり男の心を掻き乱してくれる素晴らしい側面美だ。この側面の美しさに接する度、何か日本の鉄道の深み…というか深淵を眺めているような気持ちにさせられる。

 JR九州都市間輸送の主役…といえばこの車両だろうか。813系。今回は偶然にも角張った編成と遭遇し、朝日を浴びて停車する様子を撮影する事が出来た。
 あまり普段はこんなアングルを斬って撮影する事はない…のだが、朝日が素晴らしくこの形式を象徴する部分に当たり、この部分を強調したく撮影してみた。
 スカート周りの堅くガッチリした感覚。そしてホロ枠の深掘りに近い表情。そして、ブラックフェイスの明暗が素晴らしい。自分の思い描く「角張った通勤電車」の姿に非常によく似合っていると感じる電車である。

 小倉での撮影時には、813系同士のこのような並びも見られた。
 左は角張った813系。右は、番台派生で丸みを帯びた813系だ。813系はJR九州都市圏のエースとして次々の増備を受け、同時に形態区分を増していった結果「角張った電車」の他に「円状の電車」も存在している。円状の813系については、側面表示器などが広め長方形のバスのような表示になっているのが面白い。差を詰めていき、それぞれに個性が面白く出ているのが813系の深淵だろう。

 折角なので、小倉登頂記念の写真を列車と共に残しておく事にした。車両は九州色の気動車と813系…にし、南の国のJRを始める心意気が何となくではあるが高まってきた。先日に巡った場所に行かないようにしよう、という邪念だけが自分を襲っており、それだけが甚だ気味の悪い感触だった。

 小倉での待機中に…この場合は撮影中だろうか。その際、九州ならではの車両に巡り合う。
 JR貨物のED76だ。白線が側面ナンバー付近に引かれているのがこの機関車の大きな特徴で、貨物機としての識別記号になっている。今となっては九州ブルトレがなくなり、青函側の仲間も失ったED76にこの識別記号は必要なのか少し疑問は湧いてくるが。
 電車とは違うジョイントが線路を刻み込むサウンドを何とか追いかけ、撮影に漕ぎ着ける事が出来た。結果的に今回の九州貨物撮影分はこれだけになってしまったが、将来的な置き換え進行の話を思えば十分な記録だろうか。
 いつか、81を中心とした赤い電気を撮影したいと九州で願ってはいるもののあまり撮影できた試しもなく、そんな中で撮れたのは一種の奇跡のような気持ちになる。貨物は時間が分からないし、そもそも地理感覚がない場所での撮影となれば難易度も上昇するので自分の中では1コマでも稼げると非常に嬉しい。今回の1歩も嬉しい進展だった。

 最後に、小倉を去る間際としてこの記録を掲載しておく事にする。今回の撮影時間を割く中心となった2形式だ。
 もう少し時間なども抑えていれば貨物なども…と思ったが、そんな事を考えたのは後になってからだった。

白い快楽

 もう少しで乗車予定の特急ソニックが到着…するという。ソニックに乗車するのは、前回九州の宇佐〜中津以来2回目の乗車となる。
 やってきたのは今回、白いソニックこと885系白いソニックだった。特急列車の乗車前にはいつも、乗車予定位置からかなりの歩数を外して撮影をしてからの乗車…をしているのだが今回はその「乗車前撮影」が上手く当たった感覚になった。
 並走入線してきたのだ。しかも相手は同じく、ソニックとして互いに活躍している883系。この並走入線は大きな成果となった。なぜこの並走入線が撮影できたのかは謎でしかないが、面白い1枚の撮影が出来た。何かの機会があれば使用したい。

 座席に着座。どうやら車掌から2点ほどの案内事項があるらしい。1つが
・座席の転回に協力をお願いしたい
という旨の放送だった。コレは大分方面からの走行で一旦小倉まで走行し、小倉から方向転換する為なのだそうだ。
 2つが
・指定席車両として運転していた車両を方向転換後は自由席車として乗車可能にする
という旨の案内だった。車内案内表示は「指定席」をずっと点灯させていたが、制度上は自由席切符での乗車が可能なようになっていた。その為、指定席設備でしか使用の出来ないコンセントが使える事になった。
 先ほどの記事執筆で時間稼ぎし、充電の徒労を食ったアレは何だったのだろうと思いつつ乗車。後続はかなりの間隔で停車するタイプのソニックだったが、乗車したソニックは標準的な停車駅のソニックだった。しかし、折尾だったかに(黒崎かもしれない)停車したのだけは記憶したのみでその後は寝る時間に費やして殆どを忘却。まさに「白い快楽」という状態での時間を過ごしていた。

 おまけ程度に、黒崎付近で自分の携帯から撮影した記録を掲載。
 この黒崎付近の廃ワムがあるターミナルは自分が起床している際はずっと眺めているのだが、今回は謎のディーゼル機が入換を行っていた。
 そういえば近くには日鐵のターミナルがあり、よく我々が「日鐵チキ」として撮影しているレール輸送列車もこの辺りによく停車している記憶がある。もしかすると…日鐵の機関車なのかもしれない。
 そんな考察で今回の記事を終了。また、次回からの九州連載をスタートさせていく序章とさせて頂く。革のシートで寝ていた感覚で、少しずつ英気が養われていった。

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