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ACT.43『序章』

流れ着いて

 小樽市でそのまま一泊する事にした。倶知安方面なども考えて宿を調べたが、そのまま小樽市に滞在。南小樽から徒歩15分圏内の銭湯ゲストハウスに宿泊した。
 という事で、小樽駅方面に向かう中央バスに乗車。そのまま乗車していたのだが…
 気が付いた時には小樽駅のバスターミナルホームにバスが斜め付けされており、自分が疲れてというかクタクタになって寝ている状態だった。
 と、小樽駅からこの先3つ目ほど小樽築港方面に向かったバス停で下車する。その場所にゲストハウスはあった。ただ、バスアクセスを間違え徒歩距離を少し見誤ったのだが。
 というわけで、北海道2つ目の宿に投宿。小樽市で過ごす事になり、一安心。そのままチェックインとなったが、この場所がただただアクセスが辛かった…ものの、食品関係の設備が充実していた。カップ麺・スナック菓子の販売がカウンター式で行われており、更にはカップ式自販機でのジュース販売も実施していた。
 もっと思えば使用すれば良かった…と思うが、それは次回アクセス時にゆったり使用しておこう。

 そのまま、投宿した宿のロビーで老夫婦と話をした。加古川方面から北海道を旅しているようであり、その方も東舞鶴からのフェリーに乗船していたようだ。
 ロビーではニュースを共に見ていたが、ずっと例の除草剤関係の車会社のニュースばかり。その間に、互いの行き先について話をした。
 その際に、小樽には美術館があると話を聞いた。
「んんとぉ…あるんですねぇそういうのがぁ」
としか話せず、非常に辿々しい返事にしかならなかったが、今思えば熱心に検索しておけば良かった。本領を発揮すべき時に、自分の好奇心は眠っているものである。

「何を目的に北海道に来たの?」
と話が進んだので、自分も話した。
 と、その老夫婦も小樽市総合博物館には向かおうかと考えていたそうだったが、都合が合わず行けなかったらしい。
「今はちょっとPCB関係の撤去をしているから、少し慌ただしいですよ」
とだけ説明をしたような記憶が残っているが、どういう経緯で小樽市総合博物館に行けなくなったのか…などその後は忘れてしまったが、この後は互いの趣味嗜好の話などをした記憶がある。
 他には、テレビを前にしての話だったために
『夏が始まりました!各地の観光は…?』
とニュースがあるのを共に見守った思い出がある。嵐山が映った時に
「あ、ここなんですよ」
と説明すると
「近くなの?えぇ…?」
とやはりの反応。まぁ、恒例ではあるようなないような。
 この後、老夫婦が世界卓球の中継に切り替えたので自分はそのまま伊藤美誠選手の思い出を話して宿をしばらく留守にした。

小旅行、小旅行

 取り敢えず道内フリーの初日分と重なったので、そのまま札幌都市圏方面に向かって進んでみる。
 自分の予想では…というか最初の考えでは
『手稲方面に行けば食事は困らんだろう』
との考えでいた。しかし、少しして疲れでその考えは砕かれてしまうのだった。
 と、写真は総合病院などを頼りにして歩きようやく撮影できた733系。本当にこの時点では、こうしたメタリックというか冬の守護神たる顔面にもうすっかり慣れていた。
 そして、南小樽が近づくと列車の良いホイッスルが響いているのが分かる。この音を頼りにして南小樽に到達し、電車に乗車したのだが正に社歌である北の大地に歌われているように、
『旅愁を誘う』
電車の警笛であった。
 少し待機して、733系の快速エアポートに乗車した。
「さ、このまま手稲まで…」
と真っ暗な石狩湾を札幌方面に進んで行った。しかし、この楽観的というか無計画な行脚は全く違う場所で切れてしまう。

 そのまま疲れて手稲方面を過ぎていったようだ。起きると、高架橋の上を疾る『ゴォぉぉぉおおおおお』という唸る電車の音。
「お…?手稲過ぎちゃった?」
全く土地勘がなかったので、地図を起動させて自分の立ち位置を確認する。確か、新札幌方面だったかもしれない。
 と、少し冷や汗状態になってそのまま知っている駅の近くへ。
 …でこの駅を選びましたとさ。
 エ◯コンフィールドがあるしなんか食事する場所あるだろう!!!と行き勇んだものの、スロープを降りて向かった先に広がっていたのは閉店しているラーメン屋だった。
 それで良かったのだろうか…
 懲りずに、もう少し飲食系の店を探してみる。

挫けずに探すと

 結局、この北広島を選んだ。
 エスコン関係だった…が駅のファイターズ装飾が本当にこの状態だと空回りしている。駅周辺が栄えているなら別だと思うのだが。
 と、少し暗いハム装飾の中、新庄監督の見守りを受けて
「あ、セコマあったわ」
と駅裏のセイコーマートへ。ただしかしこの場所もかなり歩いたような気がする。本当にこれで球場最寄駅なのか…?
 道中の道の暗さ、そしてセイコーマートまでの道の足取りのぎこちなさ…などは本当に思い出しただけでも割と危なげないもので、
「よくこんな場所に球場を作ったな」
と自分の内心で感じた。そして歩き続け、ビカビカ光る建物としてセコマを発見した。

 おぉ…?コレはロー●ン?そんなワケなかろう。エスコン完成後に確か出来たのだった…か、この場所のセイコーマートは日ハムのチームカラーに混じってファイターズブルーになっている。
 他のセイコーマートと何が異なるのか?…という問いに関してだが、このセイコーマートでは新本拠地を開拓し置いた日ハムのお膝元らしく、日ハムの応援グッズやキャラクターグッズの販売をしている。
 こうした点が他のセイコーマートとの差異なのだが、自分は探していたグッズがなかったのでこの場では買わなかった。
 他にも、このセイコーマートではエスコンフィールドの模型も展示されていたりと非常に地域性の高いコンビニになっている。
 販売していたグッズは食品グッズ関係・レプリカキャップ・カンフーバット…辺りだったろうか。旅先で持つわけにもいかないし、自分は帰って京セラで使うわけにもいかないので…と迷い結局敬遠。
 そのまま、食品だけを買い込んで北広島のご当地コンビニを後にしたのだった。
 ちなみに北海道のコンビニ普及率では、ローソンが一番低いらしい。非常にマイナーな数値だが。

 この旅、初の道民愛用ツールであるホットシェフを使用。あったかい食事にありついて帰る事になった。そのまま外食しても良かったのだが、(というか自分はそのつもりだった)2日連続のコンビニ食。
 セコマなら、ご当地食にカウントですよね、そうですよね。
 という事で再び登場、困ったらセコマ登場でございます。
 セイコーマートでは多くの食品を買い込んだが、その中でも特に美味しかったのがこのチーズおかか…のおにぎり。アツアツで。そしてご飯とチーズの愛称が素晴らしく。その中に混ざる鰹節の味が、何とも言えぬ深みを出していて印象に残る味だった。
 そして、この北広島では初の『ソフトカツゲン』を買う事にした。このソフトカツゲンも地元でしか買えない、北海道のご当地ドリンクにしてソウルフードの1つである。時々、物産展やイベント出展でその姿を見ていたものの、
「北海道上陸まで我慢しよう」
と決めて誓っていた飲み物である。
 飲み物の感触としては、ピルクルやマミーといった乳酸菌飲料に近い風情だ。少々懐かしいようで、幼少期や少年の頃の夏休みの縁側を感じられる。(その表現は一体)しかし、北広島の方では駅前のセブンイレブン。そして購入したご当地のファイターズ・セイコーマートでも1リットルしか買えず、駅で牛乳を飲むような醜態を晒してしまったのだった。

裏技?特技?便乗技?

 さて、北広島を去る時間がやってきた。
 この北広島では駅前にJR北海道のセブンイレブンがKIOSKとして出店しており、小樽市に続いて土産を探していたがしっくり来ずそのまま電車に乗車する。
 先に駅に入っていると、北海道に居ると実感を受けるDF200形の牽引する貨物列車や精悍な見た目をした特急列車の姿…などが通過し、
「明日以降は世話になるのかぁ」
と考えたりして向き合っていた。
 と、帰りの電車だ。帰りの電車は、手稲方面に向かう電車。手稲止まりだったので、そのまま手稲まで乗車して手稲から小樽へ。少し手間の掛かる方法だが、自分が何も考えずに飛んでしまった事を少し悔やんだ。
 だがしかし。DF200形などの貨物列車を見て自分に士気というか気持ちが充電されただけでも十分な成果だろう。次にこの駅に来る時は、猛牛ナインたちに声を送る時にしたい。
 今から小樽方面に帰っていくのだが、この駅の周辺には新千歳空港方面に向かう快速『エアポート』として走っている電車も通る。
 その快速『エアポート』の運用に就業しているのは、721系と733系だ。今から自分が乗車するのは、北海道の電車史に於いて711系以降の増備としてJR化後の勢いを付けた721系電車に乗車する。

 手稲まで乗車する721系に、こんな車両が連結されている。勘の良い方。そして北海道行きの経験がある方なら充分に伝わるかもしれない。
 そう。この車両は快速『エアポート』として運用する際のuシート車両だ。車両としては『サハ』の車両になるのでモーターの唸りや走行に関する音が伺えないのが少々残念だが、飲食の際に引き当てると少し嬉しい電車だ。
 と言うわけで、この『エアポート』として運用される際のuシートに着席して小樽に向かう事にした。
 しかし、指定席に着席して大丈夫なのか?という疑問が浮かぶかもしれないが、実はこのuシート区画。普通列車として運用する時、または快速『エアポート』の運用以外に就業している際には無料の特別な車両として乗車可能な車両なのだ。
 小樽市総合博物館で同じくPCB関係の電気機関車目当てに訪問していた北海道内の鉄道ファンの方に話を聞いたところ
「あぁ、エアポートじゃない時僕は通勤で乗ってますよ!快適なんですよねぇ〜」
と言っていたので、そのままに着席した。
 そのまま、着席してセイコーマートの購入品を広げる。少し不気味な…というか違和感のある空間だが、コレはコレで地方JRらしい体験だ。
 そのまま、北広島を出発する。上野幌・平和・白石…と過ぎ、そして札幌の駅に到着した。
「あぁ、コレが札幌の駅か」
とネタバレした気持ちになったが、自分が居眠りしていた間も通過していたのがまず悔やまれた。
 しかし、この札幌に到着するまでは皆々乗客はuシートを回転させて足を乗っけたり、2人で4人分の座席を占領して団欒に過ごしたりと通常の電車と同じ時間が過ぎていた。札幌で多くの乗客が乗車し、混雑が始まるまでは。
 流石に混雑が始まるとuシート座席車両もその能力を発揮できなくなり、修羅の様相というか混雑の状況が悪化していた。やはりこうした時は通常の車両に限ると感じた瞬間でもあり、悠々と食事していた自分に申し訳なさまで感じる瞬間でもあった。

 そして、短い?普通列車での贅沢空間が過ぎ列車は手稲に到着した。もう少し長く、小樽までこの時間を体感したかったがそれは運用を検索したり…ではないと難しいような気がした。
 と721系の初・乗車は特殊なuシート車両だった訳だが、この後の旅路では721系電車は撮影するだけに終了してしまい、この後の乗車は満員の状態を立って…か短区間の立ち乗車しか叶わず、ここではuシートではなく普通の座席を奮発せず選んでおけば良かった後悔もあったのだった。
 そんな感じで、721系は撮影後に汽笛を少し鳴らして去っていった。南小樽でも思った事なのだが、JR北海道の列車が鳴らす警笛・汽笛にはどんな車両であれ何か優しさというか旅立ちの旅情を感じる。明日の士気が。そして小樽を去る切なさも同じくして感じた瞬間だった。

帰宿を前にして

 北海道の見慣れない大地の電車たちの記録に、自分はとにかくハングリーな魂を出していたのだと思うと、こう何か昂るというか何か初体験ならではの独特な覇気が、自分の写真からは伝わってくる。
 として、この写真は手稲で待機中に撮影した回送の733系。どんな状況でもカメラを回している…のはある意味新聞記者のようなかんかくかもしれない。

 回送電車として733系が手稲駅のホームを去る姿。
 この写真では余計な?遊びとして写真内に手稲のホーロー看板駅名標を挿入して撮影したが、北海道内ではこのホーロー看板の国鉄チックな駅名標に何度も道中の癒しや旅のモチベーションを授かったものだった。
 どんな車両と合わせても、どんな車両と組み合わせても絵になる特別感を持っている特殊な看板で、このホーロー看板には感謝しても感謝しきれない勝手な念がある。
 いつまでも、この北国の鉄路を見守る存在であってほしいものだ。

 こんな姿も撮影したので、写真として掲載しよう。
 731系と721系の併結だ。
 自分の中では少し意外というか特別な感覚を抱いたショットで、思わず撮影してしまった。
 北海道の電車…というのはなるべく規格や運用に向けて統一をしているという勝手な想像があったのdで、この併結が手稲駅で帰宅間際に目に飛び込んだ時には慌てて写真を撮影してしまった。
 平面な721系と角張った現代北海道スタイルの先駆けである731系の併結…というのは非常にギャップを感じ格好良い。
 少しブレ、記録としては少し物足りない要素が出てしまったのだがこの旅路でこの併結を観察出来たのは後にも先にもこの1回きりだけだった。

お宿が待っている

 折角宿を死に物狂いで楽○トラベルで探し出したのに、宿泊に戻っていない…のはどうかと思い、急いで帰る。しかし、この電車の前後に乗車しなければもう少しで終電の段階であり、地方にまだ慣れていないというか自分の遊びに魂か後ろ髪を引かれる性格について考える事になってしまった。
 さて、帰りの電車は。731系だ。
 こうした出会いが多く、札幌近郊の小樽までの電車乗車の時間は飽きが来ない。通勤電車の種類、バリエーションでもこの区間は相当楽しいものだ。
 そのまま、何も見えない石狩湾を通過していく。銭函・朝里・小樽築港…そうしている間に、南小樽に到着した。

 暗がりの南小樽に到着した。
 このまま歩いて、自分の宿泊する宿に帰った。
「良かったですね〜!今日は誰も部屋に居ませんよ!」
と管理人の方から聞いた言葉に甘え、翌日の設定に急ぐ。
 そして、シャワーを浴びての就寝。
 遂に明日、道内を廻る旅が始まる。

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