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東京、去り際に

 一先ず、今回の東京方面への遠征は無事に終了した。
 本来の自分での計画であれば、ベルーナDでの観戦の後に西武線に乗車し、そのまま東京駅に戻って夜行バスで帰阪する弾丸日帰りの予定であった。
 しかし、やはり祝日でイベントの開催なども多かったのだろうか。バスの座席は大半が埋まっており…どころではなく満席で、今日の東京滞在となったわけだ。
 仕事に詫びを入れて、自分は今日を過ごしている。
 本来であれば出勤予定だった折に、自分は東京方面に残っているのだから。自分の『野球観戦』の趣味を快諾してくれている現在の職場には感謝をする所存である。
 試合を観戦したオリックスは千葉・幕張からの埼玉・所沢と3連戦を2回続ける遠征期間の真っ最中。
 そうした中で、自分の声援が選手への活力へと変化し、一助の支えとなれたのならばファンとしてこれ以上に嬉しい事はない。
 昨日は育成から昇格した菅井投手に成す術なく敗戦を喫したが、2戦目となる今日は勝利を延長戦の末に勝ち取った。
「観戦の時を間違えたかな」
と過ったが、これもまた何かの縁だ。
 再び遠征する楽しみのようなものも見つかったと考えてみれば、何処か次の旅路も楽しみになるというものだ。

 今日は東急の撮影に向かった。
 所沢を10時手前に起床してしまったので、全然撮影できなかったように思うのだが、最近の鉄道撮影から遠ざかった勘が少しは帰ってきたような気がする。
 しかし、地元・関西では友人や知人での誘い以外で鉄道を撮影する気分には全くならないのが最近の現状だ。ここらが自分の鉄道撮影への区切りとして何処か見ても相応しいのかもしれない。
 遠征などで遠い地方の鉄道を撮影する事しか、最近の快楽のようなものはなくなった。
 今回は西武と東急に絞って鉄道を軸に関東を周遊したが、西武も東急も成長し変化し、自分が何処か取り残された気分になるのは相変わらずである。
 写真は順次掲載をしていくとして。
 2日目…ある意味でボーナスになった今回の撮影であるが、目的は車両がカラフルになり、そして車両動静に変化が発生すると推察されている東横線。
 もう1つは、9000系たちが主軸となって活躍している大井町線である。
 大井町線で活躍している9000系(写真の車両)は、『西武のサステナブル車両導入』…の契機として余生が決定し、実質の『余命宣告』状態となっているのである。
 と、そんな命の少なくなったであろう東急9000系の姿を少し撮影したのであった。
 東急は東横線もだが、大井町線も本数が桁違いである。
 大阪を都心として暮らしている関西で鉄道の時間感覚を基準にして東京に向かうと、本数の膨大さには圧倒されるばかりだ。何本ものチャンスがあり、撮影にはあまり困らなかったというのか。
 東横線も、大井町線も、多くの記録を残せたと考えている。

 最後の方に、記しておこう。
 やはりこの『東京』という都市は人間が特別な感情を抱く街だ。
 人の流れが絶えず続き、そして街の空気は常に温暖で活気は永遠のものとして活況を見せている。
 少し前に記した記事の中では
『妹の状況した先だ』
と記したが、妹はこの活気ある東京の中でどのように暮らしているのだろう。
 東京を去る直前にして、再び隠していた兄貴の心が動こうとしていた。
 最初は車両にカメラを向けても
「なんかあんまり鈍ってるから楽しくはないだろうかなぁ」
なんて思っていたが、積み重ねていくと何か自分らしくたくさんの記録を積み重ねられたような気がする。
 ここ最近の
『自分が見てみたい』
と考えた車両たちに関しては、無事に記録が済んだ。
 及第的に考えれば、もっと多くのネタや被写体が存在しているはずなのだが、今回はもう腹八分をも通り過ぎ
『満腹感』
以上の感情が通り過ぎていった。
 もう、この時間まで撮影していても胃もたれするくらいにまでなってきた。
 今回も
『安価な手段での帰阪』
としてバスの時間まで食い繋ぐのが主な目的のようなものだった。
 試合を終えた翌日なのだから、さっさと東海道線に乗車して帰れば良かった…
 という感情が途中でてきた。
 やはり東京に滞在するのは楽しいを通り越して
「もういいかな」
が勝ってしまう。
 必要な事を必要な時間かけてこなせば、それで大体は足るのだから自分もある意味冷静な判断が出来るようになったのだと思う。いや、選択肢か。

 充電の時間も兼ねて、最後の文字を…
 と思ったがいつの間にか加熱してこんなに書いてしまった。
 所沢でお金を下ろした時の一幕だ。
 全てが新札になっていた。
「東京はひと足さきに前に進んでいるんだな」
と心が感動を覚える。
 全て『北里柴三郎』の顔になっている紙幣の重なりを見るのははじめてだった。
 夜行バスの時間が近いので、ここで本当の『おしまい』。

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