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💊薬物で異世界に転生した件💊五話

俺はホストを辞めた。

人間関係を全て断ち切り、SNSを辞め、外に出る時は深く帽子を被りサングラスをつけた。できるだけ目立たないように生活をした。

外に出ると雑音が耳につくからヘッドホンをつける。

好きな音楽が流れていると少しだけ落ち着く。

公園のベンチに座って音楽を聞きながら街を歩く人たちを見ていると色々考えてしまう。

楽しそうな人を見るとなぜか今の俺と比べてしまう。

欲しかったものは手に入れたはずなのに、なぜか満たされない。

夢を叶えたはずなのに死んでいるみたいに冷たい。

寿命と半分と引き換えにした人生なのに。


孤独だった。


なりたい自分と本当の自分は違うのかもしれない。

ドラッグの快楽じゃ分からない幸せがあるのかもしれない。

お金や名誉なんかより大切な大きい何かがあるのかもしれない。


俺はあの頃に戻りたくなった。

本当の自分に戻りたくなった。

目に見えない大切な何かに気付いてしまったから。


あの裏路地に向かうのは3年ぶりだ。

しかしいつもの場所にやつはいた。

『久しぶりだな』

『まだあんのかよWL』

『あるよ。また寿命が半分になるのはわかってるんだよな?』

『ああ』




これが人生最後のドラッグだ。

まったく迷うことなく噛み砕く。

あの時のように揺れてくる視界と共に呼吸が早くなっていく。

しばらくするとその場に倒れ込んだ。

今回は苦しくはない。むしろ心地いい。俺はあの頃に戻ってやり直すことを誓いゆっくり目を閉じた。

ピピピピピピピピピピピピピピピピ⏰

いつもとは違うアラーム?

ここは...

カプセルの中????

プシューーーーーーー

カプセルがゆっくりと開いていく。

そこには白衣の男が立っていた。

『お疲れ様でした。気分はいかがでしょうか?以上で薬物依存者更生コースは終了となります』

※この話はすべてフィクションです。
違法薬物を推奨するものではありません。





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