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【声劇台本】047「恋愛デリート」

みなさんは、データのバックアップはとる派? とらない派?

今日は、コミカル路線で恋の終わりの物語です。


■人物
千佳ちゃん(17)高校2年生。
哲くん(17)高校2年生。

■本編
千佳のMO「君と撮った思い出の写真を削除する。バックアップはとってない」

哲「ごめん、好きな人できた! 別れよ!」

千佳のMO「それは9月のはじめ、2学期の始業式のことだった」

千佳「はあ!? どういうこと!」
哲「だから、別れよ!」
千佳「いやいやいや。説明してよ! 夏休みだってたくさんデート行ったし、手つないだし、キスだって……」
哲「それはそうだけど……」
千佳「なんで? なんでなの?」
哲「千佳は、俺には合わないっていうか」
千佳「えーっ」
哲「俺には千佳は合わないっていうか」
千佳「な、なんなの!?」
哲「だから別れてくれ!」
千佳「やだ! 別れない!」
哲「別れてくれ!」
千佳「いや!」
哲「じゃあ、言うけど……」
千佳「な、なに……?
哲「俺、お前の事、そんな好きじゃなかった!」
千佳「は、はあああああああ!?」

千佳のMO「ふざけんな! 私はアイツの股間を蹴り飛ばして、走った。走って走って、あふれる涙を吹き飛ばした!」

千佳のMO「そうして、気が付くと、私は公園の噴水にスマホを放り投げていた。アイツの思い出なんて消えちまえ! あっ、でも他のデータがあったんだっ! 私は慌ててスマホを救出する。なんだよ防水かよ! 助かった……。でも、ずぶ濡れになって壊れたのは私自身だった」

千佳のMO「君と撮った思い出の写真を削除する。バックアップはとってない。さようなら!」

              (おしまい)

今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。