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朗読に触れる機会が偶然増えてきた中で、いざ本を読もうと思ったところ正しいアクセントや読…

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朗読に触れる機会が偶然増えてきた中で、いざ本を読もうと思ったところ正しいアクセントや読み方がわからないという場面に直面し、自ら朗読をする事を決意。短時間で読める・面白いと感じる・朗読をしやすい(主観)タイトルを青空文庫から探し、朗読に最適化したデータを作っています。順次公開予定。

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【朗読台本】注文の多い料理店/宮沢賢治

二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋(ひき)つれて、だいぶ山奥の、木(こ)の葉のかさかさしたとこ…

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【朗読台本】猿ヶ島 / 太宰治

はるばると海を越えて、この島に着いたときの私の憂愁(ゆうしゅう)を思い給(たま)え。夜なのか昼なのか、島は深い霧に包まれて眠っていた。私は眼をしばたたいて、島の全貌…

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【朗読台本】注文の多い料理店/宮沢賢治

【朗読台本】注文の多い料理店/宮沢賢治

二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋(ひき)つれて、だいぶ山奥の、木(こ)の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、歩いておりました。
「ぜんたい、ここらの山は怪(け)しからんね。鳥も獣も一疋(いっぴき)も居(い)やがらん。なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」
「鹿の黄色な横っ腹なんぞに、二

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【朗読台本】猿ヶ島 / 太宰治

【朗読台本】猿ヶ島 / 太宰治

はるばると海を越えて、この島に着いたときの私の憂愁(ゆうしゅう)を思い給(たま)え。夜なのか昼なのか、島は深い霧に包まれて眠っていた。私は眼をしばたたいて、島の全貌(ぜんぼう)を見すかそうと努めたのである。裸の大きい岩が急な勾配(こうばい)を作っていくつもいくつも積みかさなり、ところどころに洞窟のくろい口(くち)のあいているのがおぼろに見えた。これは山であろうか一本の青草(あおくさ)もない。私は岩

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