【朗読台本】注文の多い料理店/宮沢賢治
二人の若い紳士が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のような犬を二疋(ひき)つれて、だいぶ山奥の、木(こ)の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、歩いておりました。
「ぜんたい、ここらの山は怪(け)しからんね。鳥も獣も一疋(いっぴき)も居(い)やがらん。なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」
「鹿の黄色な横っ腹なんぞに、二三発お見舞いもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっ