JONI JTS-『歌うかもめ』(pro.IRONSTONE)(歌詞)

(lyric)

天に太陽がさす
真下には果てのない海
鳥がとびかう
東の空に
一匹のかもめが居ました

『なあ、聞いたことあるか?
歌うかもめの国が、この空のどこかにあるらしいぜ』
『歌う…かもめの国…』
『そこではたくさんの歌うかもめが
歌を歌いながら暮らしてるそうだ。そこでは歌を歌うかもめは差別されないし、一緒に歌を歌ったり歌を研究したり…とにかく、とても楽しいそうだよ。いつか行ってみたいものだなあ…』
『そんな場所、本当にあるのかい?』
『分からない…あくまで噂さ。知り合いのかもめが離れた島に行った時に聞いたそうだ』
『そうか…もし…もし本当に歌うかもめの国があるのなら、僕も、そこに行きたい…』



空を舞う、かもめの群れ
ここは東の果て
灰色の雛鳥、周りに、やはり、若いひなたち
虫、を捕まえたり、エサをとる事を教わる
かもめの学校では、先生が、世界の仕組みを伝えている
『エサをとり、子を増やし、群れを受け継いでいくんだ
君たちの親も、おじいちゃんおばあちゃんも
そうして生きてきた。
おじいちゃんのおじいちゃんも、そのまたおじいちゃんもだ。それが一番大事なのさ。いいか、エサをたくさんとれよな。分かったか』

それはある日の事だった
彼はひとりで海岸線をはばたいて
巣に帰る最中で
それを耳にした
遠くの方でかもめが鳴いてる
だが何故その声不思議なもんで
メロディーを奏でる
それは衝撃、眠い、気持ちも吹き飛ぶ
突き刺す、胸の奥、始めてのエモーション
何故だか聴くのがこわくて
それは何かが起きそうで
だが耳は引き寄せられる
かもめがこんな風、鳴けるなんて
僕は知らなかった
風の音がビュンビュンなる中で
ハーモニーになる声
その時何故、心の奥で
彼はこう思った
『僕もあんな風に鳴き声で歌、歌ってみたい』って
巣に帰った後彼はこっそり真似をしてみたりして
歌の練習はそのまま毎日の日課に変わったんだ

『ちょっと来なさい。話がある』
『なんだい、父さん』
『お前は最近、おかしな鳴き声を出してばかりじゃないか。エサをとる練習はどうなってるんだ』
『それは…。僕は…。僕は歌を歌えるようになりたいんだ』
『何を言ってるんだ!かもめはエサをとり冬を越える事だけ考えていればいいんだ。下らない事はすぐ辞めなさい』

彼は歌う事を辞めなかった
周りのかもめには気味が悪くて
群れから追放された
学校の友達も彼とは縁を切り
ひとりきり眺める天
寂しさ悔しさ彼は抱え
ひとりで空を走る
毎日、エサをやっとの思いでとっては
また歌って
行き先は分からない孤独の中で
たまに涙も流して

だがある日の事だった
他の群れも居ない空の果てで
彼は何匹かのかもめに会った

『君も歌うかもめかい?』
『そうだけど…まさか君たちも?』
『そうさ。僕らも歌うかもめさ。群れから追放されたんだ。君も僕達と歌の練習をしないか?ひとりよりずっといいぜ』


彼等は気のいいかもめだった
皆クセがあり、面白い鳥
ひとりひとりの歌声を持ち
メロディー奏でたり羽で踊ったり
一緒に食事やエサをとりに
夜になると歌を競い合い
ひとりの時間が長かった彼は
楽しい日々を噛み締め過ごした
そんなある日、一匹がこう言った

『なあ、聞いたことあるか?
歌うかもめの国が、この空のどこかにあるらしいぜ』

彼等はそれを探し始めた
どこにあるか検討つかないが
時に嵐に、時に雨風に、
寒さに、飢えに、病に遇いながら
だが鳴き声は確実に磨かれた
そのうちそれぞれ空を飛ぶペース
変化し一匹一匹のサイクル
一匹は西へ一匹は東
一匹は南一匹は北へと
それぞれ同じ思いを持ちながら
その国がどこかにあるはずだから
必ずその国で再会しようと
形の無い約束は
形が無いからこそ
彼には重要だった


歌うかもめの国を知っていますか?
歌うかもめの国を知っていますか?

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