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*詩*『けもの(2017)』

内に在るけものが走る
夜の街を走る
走り回る
私のけものが
彼のけものが
あのこのけものが
貧乏人のけものが
富裕層のけものが
犯罪者のけものが
聖職者のけものが
走る
走り回る
昼は
地下を
走る。

{多角形の部屋}(散文詩)202012012041

{多角形の部屋}(散文詩)202012012041

暗闇の中に
ゴミを棄て続けた
そこはもう
開けない場所になった
そしたら
身体の内から
腐り出した
ある日
全てがおかしくなった

今はもう
雑巾がけをしている
言葉を束ね
編んだ
雑巾で
いつ買ったかも分からない
おかしな形のがらくたを
よく拭くんだ

照らしてくれるのは
鏡、空、街角の地蔵
海の水を濾過する
そのためには
二酸化炭素を酸素にする

少年時代の残影が
そのまま今の未来を映し出す

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{枕元の景色}(散文詩)202012021908

{枕元の景色}(散文詩)202012021908

道は時に
大きくなったり
小さくなったりして
僕の視界を惑わす
ホログラム
大事なものを
よく見定めて
球を投げる
いい球を

あの日見た映画
名前は忘れてしまった
ただその
ヒリヒリした
感触だけが
網膜と耳たぶに
今見ている画面を
いつか想い出すのなら
ペン先に込める筆圧
時に柔らかく
時に
時に

ずっと自分になりたかった
今でも
いつか自分じゃ失くなるのだろうか
今の自分
(自分自分)

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{地に立つる言葉}(散文詩)202012032332

{地に立つる言葉}(散文詩)202012032332

言葉にする
地に足を
気を付ける
風船にはならない

今日一日を想う
良かった
良かったよ
あとは
気を付ける

下心を捨てて
でも
僕の下半分は
動物
あとは
的を逸らさずに

明日からを考える
つまり
僕は
使いきりたい
たまに沈みこんで
360°
死角を削る
隙は消えない
人である限り
あとは姿勢
それだけ

欲の井戸は覗かず
水を汲んで
コップへ
君のコップを
満たすには
まだ
でも
でも

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蝶が見た僕の夢(詩)

蝶が見た僕の夢(詩)

不埒な夢を見て 

純粋を枕にし

傘を作りながら

雨と共に歩く

今は見えない影を追い続け

明日を今日にする

ジェンガじゃなくレンガ

螺旋階段を出て

非常扉を開ける

転がった片鱗を

転がった時間を

かき集めて

脳に詰める

神経を連絡し

指先を暖める

音の無い世界に

音と暮らし

空洞に溜めた歪な異物を

消化する昇華する

財布を殴って

革靴を履く

肺を塗りつぶして

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ルービック(詩)

ルービック(詩)

空の色は心に

海の深さはあなたに

街灯はあちこちにある

見るか見ないか

経験の辞書を引く

寝転んで
考えるのを辞めて

考えるのを辞めるのも辞めて

言葉で線を引き

言葉で膜を突き抜ける

有限を分け合うなら

時間は水
木を育てる

ねばついたアスファルトに
靴を練り込んで

街と話に行く

金が無い時は
公園の木と話す

手札はあなたの数だけある

ひとつづつ膜をはがす

膜が無く

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蛍の光(詩)

蛍の光(詩)

回転する夢に狙いを定めて 

神経の連絡は綿密

ペンと一心

走り出した足、絡みつく蔦は切る

はがいじめの世界の仕組み
だが役に立つ歯車で

何かを表し続けるなら 

胸に溜めたヘドロの色で
人のそこへ 指先

肥大化するエゴ 消去法
じゃなく増やす選択肢

一つづつ、少しづつ
塗っていくインク
重ね塗りグラデーション

イミテーションが高く売れる
この街で
俺は街灯のように
暗闇

光が当た

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