2022年サントラ伝道師アワード - その2
その2では記憶に残るスコアを称えるベスト・スコア賞を見ていきたい。サントラ・ベスト10と被る作品もあるが、ランキング外の作品も含まれる。筆者の音楽体験から言えば、後年も聞き続けるのはベスト10のみにランクインする作品ではなく、同賞にランクインされる作品である。ストレートに言えば、同賞にランクインしたスコアだけ聞けば2022年を語っていけるだろう。いずれも★4の最高評価を得ているスコアのみであるために順不同となっている一方、基本的には1作品最大2曲までランクインする形式となっている。お時間があれば、ぜひ聞いていただきたい。 なお、その1である2022年サントラ・ベスト10については、こちらをご覧ください。
Brothers from "Ambulance"(作曲家:ローン・バルフェ)
The Rescuers from "Ambulance"(作品家:ローン・バルフェ)
師匠ハンス・ジマー、もしくは同門のスティーブ・ジャブロンスキー(トランスフォーマー・シリーズの作曲家)を彷彿させるそれぞれ1曲である。アルバムとしての評価は必ずしも高くないが、聞き逃してはならない。
The Batman from "The Batman"(作曲家:マイケル・ジアッキーノ)
レビューでも書いたとおり、ゴシックホラー調なバットマンである。おそらくはシリーズ化されると思われるため、サントラとしてもどう発展するか楽しみである。
Black Adam Theme from "Black Adam"(作曲家:ローン・バルフェ)
The Justice Society Theme from "Black Adam"(作曲家:ローン・バルフェ)
対になるヒーロー・スコア。2曲目がなかったらサントラとしては単調な感が否めなかった。
Home from "The Boy, The Mole, The Fox And The Horse"(作曲家:イソベル・ウォラー-ブリッジ)
Hoa from "Hoa"(作曲家:Johannes Johansson)
2022年サントラ・ベスト10において7位と3位にランクインした作品から。
Lightyear from "Lightyear"(作曲家:マイケル・ジアッキーノ)
映画音楽界のレジェンドであるジョン・ウィリアムズの正統な後継者にも挙げられるだけに、テーマ曲勝負では無類の強さを発揮するジアッキーノである。本作もベスト・スコアにランクインさせずにはいられない。
Numenor from "The Lord Of The Rings: The Rings Of Power: Season 1"(作曲家:ベア・マクレアリー)
Elrond Half-elven from "The Lord Of The Rings: The Rings Of Power: Season 1"(作曲家:ベア・マクレアリー)
ドラマ・サントラのエピソード配信という、これまでは非公式でしか存在しなかった音楽を堂々と公式リリースするほどに至ったほどのマクレアリー渾身の1作。大傑作(筆者からすれば歴代最高傑作)である映画版と比較されざるを得ない厳しい環境の中、引けを取られないとともに新たな音楽的世界観を見事に築いた。シーズン2以降も楽しみである。
Monterey from Our Great National Parks"(作曲家:David Schweitzer)
Prehistoric Planet Theme from "Prehistoric Planet"(作曲家:ハンス・ジマー&Andrew James Christie)
ドキュメンタリー作品から2曲。前者は2022年サントラ・ランキングの6位にランクイン、後者は巨匠ハンス・ジマーが携わった作品(監修程度?)。
The Man, The Legend / Touchdown from "Top Gun Maverick"(作曲家:ハンス・ジマー)
Top Gun Anthem from "Top Gun: Maverick"(作曲家:ハンス・ジマー)
Redeeming Love Theme from "Redeeming Love"(作曲家:ブライアン・タイラー&Breton Vivian)
Secret Headquarters from "Secret Headquarters"(作曲家:ローン・バルフェ)
鎌倉殿の13人 メインテーマ from ”鎌倉殿の13人”(作曲家:エヴァン・コール)
The Man Who Would Become Regent from ”鎌倉殿の13人”(作曲家:エヴァン・コール)
Izu...My Dear Homeland from ”鎌倉殿の13人”(作曲家:エヴァン・コール)
For Kamakura! from ”鎌倉殿の13人”(作曲家:エヴァン・コール)
鎌倉殿の13人から異例にも4曲がランクイン。ベスト盤ということもあり、いずれも外しがたかった。
コロナ禍の反動もあるだろうが、2022年は22曲もランクインする結果となり、記憶に残りやすいサントラが多かった印象がある。2020年が5曲、2021年が6曲のランクイン止まりだったことも踏まえると、過去2年はアルバムとしての評価は高くても、ベスト・スコア賞にランクインするスコアが少なかった。したがって、両年ともに1年後にはよく思い出せない作品ばかりになってしまった格好だ。
その3では、サントラ伝道師アワードの詳細に触れていきたい(集計作業の都合上、その2から発表日が開く可能性大)。
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