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マスタードのない人生なんて

日本の和からしもおいしいけれど、フレンチのディジョンマスタードは格別だ。ステーキにも合うし、フライドポテトにも最高。

「はらわたが煮えくり返る」という表現は、フランス語では「La moutarde me monte au nez(マスタードが鼻のところまで上がっている)」になる。

この夏、一年で最も重要な祝日である革命記念日(バスティーユ襲撃の日7月14日)を迎えたフランスで、スーパーマーケットの商品棚からマスタードが消えた。

気候変動、ウクライナ戦争、新型コロナウイルスのパンデミックで生じた供給の問題、コストの上昇などが重なった最悪の事態によって、フランスの加工業者はマスタードの原料となるブラウンマスタードシードを入手できなくなっている。

ディジョンマスタードは、フランス料理にとって「なくてはならない」もの。フランスを代表するスーパーマーケット・チェーンのカルフールは、価格をつり上げるためにマスタードを備蓄しているという噂をツイッター上で流され、それを否定する声明を出す羽目になった。

小売店のインターマルシェは店頭の貼り紙で、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝りつつ、「カナダで起きた干ばつ」とウクライナの「ロシアとの紛争」が、マスタードの極端な欠乏をもたらしたと説明している。



チキンのマスタードソース(Recipe Chicken Breast Dijon Mustard)
ケーパーとマスタードソースは相性がいい

フランスはおろか、ヨーロッパでは当面、マスタードのない生活に慣れるという辛い時期を耐え忍ばなくてはならないようだ。


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