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夏の課題図書『夜光貝のひかり』(文研出版)で巡る奄美大島旅🌺


はじめて奄美大島を訪れたのは、2019年の夏。

夏休みに半月滞在して、翌月に『夜光貝のひかり』の初稿が完成したため、作品の舞台は〈2019年の奄美大島〉ということになります。

そこで今回は、当時撮った小説用の資料写真を物語に沿ってご紹介することにしました📷️

物語の展開は私の旅程と大部分重なっており、実際にあった出来事をそのまま書いていたりもするので、執筆の裏話も載せてみました。
合わせてお楽しみいただけると幸いです!


🌺『夜光貝のひかり』(文研出版)は2024年度、「第52回茨城新聞小学生読書感想文コンクール」、「第47回長野県読書感想文コンクール」の課題図書です。

🌺重要なネタバレはありません。
未読でも楽しめる……はず。
Xの延長のような文体で書いています✌️

🌺以下、作品情報です。


彼方(かなた):小学六年生の少年。
夏休みに年の離れた従兄弟のケンゴを訪ねて、
半月奄美大島に滞在。

ルリ:彼方が海で出会った幽霊少女。



それでは、一章「海辺の少女」から。



第一章 海辺の少女

彼方が「なに、これ?」と思わず声をあげた景色。
ルリ色の海!


彼方とルリが出会った海岸。
誰もいなくて、とても静か。



★裏話★
最初、彼方はルリの正体を怪しむものの、共に日々を過ごすうちに(じわじわと)幽霊だと気づく……という流れだったのですが、怖いしテンポが悪い、ということで編集者さんからアドバイス。

「序盤ではっきり、幽霊だと明示しましょう」

いきなり幽霊👻!?

ということで、登場シーンは私も彼方と一緒にびっくりしながら書きました😂笑

そのおかげで、とてもテンポが良くなりました🙇


「またね」「また、明日」



奄美の郷土料理といえば、鶏飯(けいはん)。
お好みでトッピングして、鶏ガラスープを上からたっぷり🍚


最初から盛り付けられているタイプも。
それぞれのお店にこだわりの味付けがあり、
何食食べても飽きません😋



第二章 幽霊の唄

サトウキビ畑


ナイトツアーに参加!
森の奥へ奥へと誘われて……


よく見るとカラスにそっくり。
鳴き声もけたたましいルリカケス。


アマミノクロウサギ発見!!
絶滅危惧種でしたが、最近は回復傾向にあるそうです🐰


リュウキュウアオヘビとオットンガエルの写真は……苦手な方もいると思うので、割愛🐍🐸


第三章 島でおきたこと

加計呂麻島に上陸!
バスガイドさんのツアーに参加。
デイゴ並木が壮観。



★裏話★
大学のゼミ合宿(赤坂憲雄ゼミ/民俗学)がきっかけで訪れた奄美大島。
三泊四日じゃ足りない!
ということで、私だけ一週間以上前乗りしていましたが、ここからはゼミメンバーと合流。

……という経緯があったので、初稿では彼方も塾の夏合宿に参加した、という設定でした。

加計呂麻島ツアーにいたメガネの男の子(愛称はハカセ)と友達になる予定でしたが、ルリの存在感が薄くなってしまうので、没案に。

映画「学校の怪談2」が一番好きなので、合宿設定はいつかリベンジしてみたいのですが、幽霊少女と少年の交流は「学校の怪談1」が心に強く残っていたからかも……と思ったり。

戦争の記憶と結び付いたのは奄美大島の歴史を調べる過程ででしたが、子どもの頃にみた夏休みの連続ドラマ「ゴーストティーチャー」の影響もあります。


小型特攻ボート「震洋」。
レプリカだけど、
〈戦争の影〉を目に見える形で認識した彼方は、
たじろいでしまう。


震洋隊隊長/小説家 島尾敏雄の文学碑


呑之浦の景色


集落散策


加計呂麻島には他にも戦争の跡があるのですが、
小学生の彼方はここまで。
午後はケンゴさんの車で、龍郷町に向かいます。


大島紬村・大島紬観光庭園





気の遠くなるような工程を経て、
親子三代、二百年も受け継いでゆける、
特別な一枚が紡がれていく……




第四章 夢と別れ

奄美市立奄美博物館
「博物館に入ると、宙につられた舟の模型が
目に飛びこんでくる」







磨く前の夜光貝


ケンゴ「……真珠層までけずるんだ。そのあとで研磨すると、
真珠層の光沢がきれいにでる」


ケンゴさんのカフェでちょっと休憩したら、次は末廣市場にある、ラジオ局併設の駄菓子屋さんへ。


「うがみんしょうらん」は「こんにちは」
「ありがっさまりょうた」は「ありがとう」



名瀬の商店街、ティダモールと市販の「ミキ」


作中ではスーパーで島のおばあたちに話を聞くことになり、様々な怪談話や「おがみ山公園」の情報を入手する。

「おがみ山公園」は奄美の妖怪・ケンムンがいてもおかしくないような、不思議な公園で……?


★裏話★
この場面は、ほぼ実際の会話です。

スーパー「グリーンストア」のイートインコーナーでミキを飲んでいたところ、三人のおばあ様方に「相席してもいい?」と聞かれたので、ここぞとばかりに聞き書きを開始。

いきなりケンムンについて尋ねたので、「ケンムンて実際にはいないんだよ……」と心配されてしまいましたが、「何か不思議な体験とかは……」と食い下がると、いろいろなお話を聞かせていただけました。

途中、おばあ様方のお友達もやってきて、合計六人?

おやつをご馳走になりながら談笑していると、あっという間に素晴らしい怪談が集まりました✌️


ケンムンはアメリカまで行ったかもしれない……という噂。
恐ろしい執念です。


おがみ山公園の入り口。


「坂のてまえでは、やわらかな木もれ日をあびて、
猫たちが気ままにまどろんでいる」



坂道をのぼっていくと……



ケンムンが棲むという、ガジュマルの巨木を発見。
途中、ウォーキング中のおじさんとご挨拶。


「羽にあざやかな紅色の斑点のある黒いチョウ」

……たぶん、ベニモンアゲハ?
彼方も虫には詳しくない様子。


展望広場に到着。
この後、もう一度来ることになるけれど……。


名瀬の町が一望できるスポット。



★裏話★

主人公が行くのだからと、私も実際に夜のおがみ山公園に行ってみました。

できれば展望広場まで……と思ったのですが、無理でした😱
怖すぎて、入口付近で諦めました。
本当に真っ暗闇のジャングルです。
夜は木の上からハブが降ってくる危険もあるのだとか。
(彼方にはケンムンのご加護があったので、セーフです)


この写真を撮るので精一杯でした。



第五章 思い出の夜光貝

彼方が何度か遭遇する青果店のおば様、
お店のモデルは元治青果店さん。

初めてのドラゴンフルーツをしげしげと観察。


食べ方を尋ねたら、お皿に切り分けてくださいました……🙏

扇風機に吹かれながら、気づけば二時間半も
お店の方とお話ししていました。

お祖父様はその昔、半日行方不明になり、
学校の校舎の軒下から現れたそうです。
どうやら、ケンムンと遊んでいたようで……。


作中、とあるご婦人がご馳走してくれるふちもち/よもぎもち
(こちらは2023年訪問時に撮影)


ミネラルたっぷり!


夜光貝のペンダント


ワークショップで、表面を研磨して……


奄美伍郷商店(ケンゴとハルカのカフェのモデル)の
店長さんが、仕上げの研磨。

磨けば磨くほど、夜光貝は美しく輝く……。



第六章 小夜子の日記

一夜限りのサガリバナ


美しい海、幻想的なサガリバナ……
車で奄美大島巡りにお付き合いくださった市役所のY様の
おかげで、濃厚な一時を過ごすことができました🙇
ありがっさまりょうたー!




第八章 ユリムン
彼方がみていた絵は、空港の近くにある
田中一村記念美術館の常設展。

ケンゴの言う千葉の美術館とは、
千葉市美術館のことです。


最後に彼方が見た風景。

ーーまた逢いましょう、来年のいまごろに。


『夜光貝のひかり』で巡る奄美大島旅でした🌺

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!