文庫の目録が欲しいのに、まとまった情報が一切無いので自分でまとめてみる

大手の出版社の中には、自社の出版物についてまとめた「出版総目録」や「文庫目録」、「新書目録」などの冊子を作っているところがある。大型の書店に行くと、各種文庫や新書の棚に紐で繋がれていることがあるので、見たことがある人もいるかもしれない。

これらの目録は定期的に発行されており、目録の発行時点で在庫がある書籍の情報が記載されている(品切れ一覧を掲載している出版社もある)。出版社ごとに目録のボリュームは違い、文庫目録の中でも、ホチキスで中綴じされた簡素なものから、2~3cmほどの厚みがあるものまで様々である。

そんな目録の凄いところは、ほとんどの場合無料で手に入る点である。書店のレジ横などにある、各種検定試験の書類や乗馬クラブの割引券が置かれているコーナーに、しばしば積まれているのである。

また、目録を制作する出版社の中には、目録を送付するサービスを行っているところもある。目録が欲しい旨を出版社に伝えれば、多くの場合は無料で送ってもらえる(例外は後述)。書店に行けば確実に置いてあるというわけではないので、目録の送付はかなりありがたいものである。

さらに、電子書籍派の人向けに、PDF版の目録を発行している出版社も存在する。これに関しては、送付の申し込みすら必要なく、手持ちの端末で簡単に取得可能である。

書籍に関する膨大な情報がまとまった一冊を、無料で手に入れることが出来る。これは謂わば、自宅にいながら書店の本棚を探れるようなものである。本好きであれば、目録を使わない手はない。

しかし。

目録そのものの認知度があまり高くないからか、出版社のホームページでも、目録を送付する旨を記載しているところは少なく、あってもかなり地味なことが多いため、目録が欲しいと思っても、実際に手に入れるまでが意外と大変だったりする。わざわざ「出版社 目録 欲しい」とか「文庫 目録 送付」といったキーワードで検索してチマチマ探すのも面倒だ。

そこで、この記事では目録を制作している出版社、またその出版社が発行している目録の種類と送付の申込方法について、筆者が知る限りの情報を列記する。目録を欲する方の一助になれば幸いである。内容については不定期で更新予定。


岩波書店 

  • 種類: 岩波文庫、岩波新書・ジュニア新書、岩波現代文庫、岩波ジュニア新書ガイドブックなど

  • 送付申込方法: ホームページから問い合わせ

  • 電子版: PDFあり

目録に関する専用のページが存在するが、そこにはPDFのダウンロードリンクしか存在せず、送付方法についての記載はない。

しかし、岩波新書編集部のツイッターによれば、送付対応もしてもらえるとのこと。

ホームページの問い合わせフォームから、必要事項(郵便番号、住所、氏名、電話番号)と欲しい目録の種類を記載して送信すればOK。

なお、岩波文庫と岩波新書では、歴代の出版物を網羅した「解説総目録」も制作している。こちらは有料だが、その量に圧倒されることは必至。興味がある人には購入をおすすめする。


中央公論新社

  • 種類: 文庫、新書、新書ラクレ

  • 送付申込方法: 未確認

  • 電子版: PDFあり

送付に関する記載はホームページ上には無く、個別対応してもらえるかは筆者も未確認である。しかしPDFが無料配布されているので、手軽に閲覧が可能である。下記のリンク先最下部からダウンロード可能。

講談社

  • 種類: 文庫、現代新書、ブルーバックス、学術文庫、選書メチエ

  • 送付申込方法: 未確認

  • 電子版: 文庫以外は電子書籍あり

こちらも目録の発行はしているが、送付方法の記載は無く、個別対応の有無は未確認。

またPDFの配布もされていないが、学術文庫、現代新書、ブルーバックス、選書メチエの目録については、電子書籍ストア上で無料配布されている。閲覧には各電子書籍リーダーやアプリが必要。

新潮社

  • 種類: 総目録、文庫、新書、オーディオ&ビジュアル

  • 送付申込方法: 電話、FAX、ハガキ

  • 電子版: 新書のみ電子書籍あり

送付は受け付けているが、多くの出版社とは異なり、電話・FAX・ハガキのいずれかのみ受け付けている。連絡先は下記リンク先を参照。

KADOKAWA

  • 種類: 文庫・ホラー文庫、ソフィア文庫、つばさ文庫、選書

  • 送付申込方法: 未確認(但し配布はしている模様)、文庫のみ販売

  • 電子版: つばさ文庫以外は電子書籍あり

角川文庫の目録は、2019年以前は無料で配布されていた。しかし、KADOKAWAが70周年を迎えた際に作られた2020年版は、9人の作家によるエッセイが収録された代わりに、税込み200円となっている(電子版はエッセイの収録がない代わりに無料)。

「紙版の目録は数に限りがございます。予定数に達し次第、配布を終了させていただきます。」という記述があることから、配布はしていると見られるが問い合わせ方法について記載は無い。電子版の閲覧には各種電子書籍サービスが必要で、データが古い可能性もあるため、下記リンク先から確認することを推奨する。

河出書房新社

  • 種類: 総目録、文庫・i文庫・KAWADE夢文庫

  • 送付申込方法: 電話、FAX、ハガキ、メール

  • 電子版: 文庫のみ電子書籍あり

珍しいメール対応がある。目録は2種類だが、河出書房新社の新書レーベルである「河出新書」と「KAWADE夢新書」については、出版総目録に掲載されている。連絡先は下記リンク先を参照。

筑摩書房

  • 種類: 総目録、文庫・学芸文庫、新書・プリマー新書

  • 送付申込方法: 電話、FAX

  • 電子版: 文庫目録のみ電子書籍あり(但しかなり古い)

こちらは電話かFAXのみの受け付け。文庫・新書目録は、品切れの本を「品切一覧」として個別で掲載しているのが特徴。連絡先は下記リンク先を参照。

平凡社

  • 種類: 総目録、新書、ライブラリー、東洋文庫

  • 送付申込方法: メール

  • 電子版: なし

電子版がなく、申込方法はメールのみ。総目録以外の各レーベルは、品切れの本も掲載し続けているのが特徴。連絡先は下記リンク先を参照。

早川書房

  • 種類: 総目録、文庫

  • 送付申込方法: 未確認

  • 電子版: 2018年1月版がnoteで閲覧可能

個別対応は未確認で、電子版も2018年1月時点のもので止まっている。

光文社

  • 種類: 文庫(2022年版が最新)、新書、古典新訳文庫・未来ライブラリー

  • 送付申込方法: 専用フォーム(公式サイトの問い合わせフォームからも可能)

  • 電子版: 新書目録のみ電子書籍あり

2024年になって、光文社古典新訳文庫と光文社未来ライブラリーが一緒に掲載された目録が刊行。専用のGoogleフォームから申し込みできる(筆者はフォーム開設前に公式サイトから直接請求し、応じていただけた)。

なお、旧来の文庫目録は2022年版が最新となっている。

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