劇団再放送

2021年、東京・駒場で旗揚げした演劇ユニット。緻密なシナリオをベースとして、個人の中に同居する理性と狂気の連続性を描く。メンバーは高橋敏文(主宰/脚本)、波木ぺん(俳優)。

劇団再放送

2021年、東京・駒場で旗揚げした演劇ユニット。緻密なシナリオをベースとして、個人の中に同居する理性と狂気の連続性を描く。メンバーは高橋敏文(主宰/脚本)、波木ぺん(俳優)。

マガジン

  • 月華世紀末狂騒曲(2024) 稽古場日記

    2024年3月上演 第2回本公演『月華世紀末狂騒曲』 稽古場からの声です

  • 戯曲販売、はじめました

    再放送の公演に来られなかった方、最近再放送を知って過去公演が気になった方、公演見たけど戯曲を読みながら解説が欲しいと言う方に向けて、戯曲を公開してみることにしました。 劇団再放送の過去公演戯曲を中心に、関連団体への提供戯曲なども載せていくかも…?

最近の記事

戯曲販売『月華世紀末狂騒曲』(解説付き)

劇団再放送 第2回本公演 『月華世紀末狂騒曲』 2024年3月28日~30日 駒場小空間にて   いろいろあって、休職中の身です。友人の実家に居候をしています。ここは小さな花屋で、家賃の代わりに店を手伝うように言われたので、そうすることにしました。花屋の仕事がないときは、暗い部屋でビデオを見ています。テープが回ってる間だけ、私たちの時間が止まってるんじゃないかって、ちょっとだけ期待するんですけど、月は沈むし、花は枯れるし。そんな、理不尽だなんてもう、思いませんよ。私が神様だ

¥1,000〜
割引あり
    • 【極秘】要対処団体 T の解体作戦実施後の対応に関する報告

      ※一部抜粋。原文は縦書き。 記 一 交渉の決裂 …公安調査庁の調査官二名を通じた団体 T との交渉は何らかの理由で決裂したとみられる。記録のほとんどは島内の施設が全焼したために失われた。… 二 調査官の保護 調査官の身柄は作戦終了後に東南アジアで保護された。彼らがどのような経路をたどったかは不明。…調査官の社会復帰計画は警視庁公安部公安総務課に一任するが、監視中に危険な兆候が見られた際にはただちに警察庁長官と公安調査庁長官に報告し、特別に定められた措置を行う。… 三 団

      • 【極秘】無差別大量殺人行為を行う蓋然性の高い団体 T の解体作戦実施状況に関する報告(抜粋)(その一)

        ※一部抜粋。原文は縦書き。 記 一 実施に至る経緯 平成七年三月二十日に発生したいわゆる 「地下鉄サリン事件」 を受け、 警察庁長官から監視対象団体(以下「対象団体」という。 )の警戒度区分の見直しと、レベル IV 以上の団体(以下 「要対処団体」という)に対して早急に対処するよう、各都道府県警察および公安調査庁へ通達があった。 …平成七年三月二十五日現在、 無差別大量殺人行為を行う蓋然性が高いとして、団体 T を含め六つの団体が要対処団体に分類されている。 … 二 作戦の

        • 理学部物理学科研究室紹介 荒井研究室

          魔術と科学を統一する場の理論   現状,自然界に存在する相互作用は 「電磁気力」 「重力」 「弱い力」 「強い力」の4つに分類されています.もともとは電磁気力も 「電気力」と 「磁気力」に分かれていましたが,みなさんが講義で教わったように,Maxwellが電場と磁場の相互作用を記述したことで,「電磁気力」として統一されました.  みなさんは場の理論という言葉をご存知かと思いますが,  ここでいう「場」とは大まかに言えば,  半径を持たない粒子たちとその相互作用によって形作

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        • 月華世紀末狂騒曲(2024) 稽古場日記
          19本
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          1本

        記事

          編集部より

          ▼出張ついでに、福岡の実家に帰省した。両親の墓参りをした後、ひとりで繁華街へ繰り出 した。東京で働き始めてからギャンブルを一切やらずに暮らしていたが、今日くらいは、と、 予備校講師時代の同僚と当時通っていた雀荘へ。思い出話に花が咲き、酒が入っていたこと もあって勝負は大いに盛り上がったのだが、お土産を買うはずだったお金をすっかり使い込 んでしまった (当時の自分だったら新幹線の切符まで換金していただろう、と思うとゾッと する)ので、帰ってから後輩にこっぴどく叱られた。後輩の機

          学生会館で発生した異臭騒動について

           10 月 11 日の夕刻、学生会館窓口に「異臭がする」という苦情が相次いで寄せられました。体調不良を訴える者も現れたため、運営委員が館内の利用者を避難させ、学生会館における全業務を一時中止する事態となりました。  原因を調査したところ、事件発生時、ある利用団体が部室で匂いの強い食材を煮込んでいたことが判明しました。大学との協議の結果、当委員会は該当団体の責任者に対して厳重注意を行い関係者に反省を促すとともに、該当団体に 1 か月の活動停止処分を言い渡しました。  当委員

          学生会館で発生した異臭騒動について

          商店街の素敵なお花屋さん

            先月、単身赴任で目黒区に越してきました。仕事が忙しく、当分妻と息子には会えそうにありません。はじめのうちは、十数年ぶりの一人暮らしの自由を謳歌しようとも思いましたが、誰もいない部屋に向かって 「ただいま」と言ってしまうたびに、どうしようもない寂しさに襲われていました。   寂しさを少しでも紛らわすために、運動がてら少し遠回りして帰ることにしているのですが、ある時商店街を歩いていると、花屋の店先に綺麗な百合の花が並んでいて、思わず足を止めました。すると中から店主らしき女性

          商店街の素敵なお花屋さん

          手に余る季節を手放す

           花粉症は、自分が花粉症だと思うことから始まる。したがって、外に大量の花粉が飛んでいて、ちょっと身体の調子が悪くても、自分が花粉症だと認めないうちは花粉症にはならない。花粉の飛来予報なんか端から見ない。そういう風に免疫を躾ている。多分、馬鹿が風邪をひかないのと同じだ。 春の到来を報せる強い風のことを春一番という。キャンディーズが 「春一番」を発表した のは1976年。以来多くのアーティストがカバーを発表し、今もなお色褪せない名曲である。ここ最近昼夜問わずやってくる空気の暴力は

          手に余る季節を手放す

          空想の箱庭をきらびやかに飾る

           ある年号を聞いたときにそれを 「昔」と感じるか、それとも 「最近」と感じるか、どこに境界があって、それが年齢とともにどのように推移していくのだろう。私は幼いころ、自分が産まれてきた年(2000 年)自体がめちゃくちゃ最近、という認識がずっとあって、1990 年代を全部 「最近」の括りに入れていたように思う。この認識のまま何年も過ごした結果、私の場合は境界が1990 年に固定されてしまって、産まれてもいないのに 90 年代という概念に親しみやすさを抱いているのではないだろうか

          空想の箱庭をきらびやかに飾る

          華のある暮らし

           いま大学4年生で、ちょうど1週間後が卒業式である。余剰単位がひとつもない、まさにギリギリでの卒業だが、卒業は卒業なので、自分をほめてあげたい。来月東京からいなくなるのは、京都の大学院に進学するからだ。私は演劇をやっていないときには数学をやっている。どちらも、やりたいことをやりつくしたとは言えないので、もうしばらくはこういう生活が続く見込みだ。  脚本を書くときには Word の脚本用テンプレートを使っているが、数学に関する文書を書くときには LaTeX というものを使って

          華のある暮らし

          すぐ隣にある孤独

           何かに夢中になることは、もしかすると苦しいことなのかもしれない。周囲の情報が入ってこなくなり、それでいて四六時中監視されているような、謳歌できない孤独。解放からは最も遠い精神状態だ。  YouTubeに、作業用BGMを流し続けるだけのライブ配信がある。どの時間帯でも数万人の視聴者がいる。映像はヘッドホンをつけた女の子が書き物をするアニメーションで、時間帯によって窓の外の景色が朝になったり夜になったりする (あとときどき猫が歩いてきて、かわいい)。彼女も背景で流れるBGMをそ

          すぐ隣にある孤独

          先のことを考えるには忙しすぎる

          「面白い本を書きたいなら、演技をやりなさい」と言われたのが5年前のことだ。 高校時代の私は1年で部活を辞めて、 以降帰宅部だったのだが、 放送部の友人におだてられて初めて脚本を書いた。 それを見てくれた演劇部の顧問が隣のクラスの担任で、 卒業式の後に 「脚本を書き続けていくにはどうしたらいいか」 と尋ねたところ、 上のような答えが返ってきたというわけだ。 その一言がきっかけでいまこんな有様なのだから、 教師というのは危ない職業だ。とても自分に務まるとは思えない。 そうして入っ

          先のことを考えるには忙しすぎる

          器用になりたい

           中学受験塾のバイトが楽だと聞いて、面接を受けに行ったことがある。模擬授業を度胸で乗り切って、教室長とのやりとりもほぼ採用の雰囲気。これでこの時給、社会ってチョロいぜ。完全に油断しきったところで適性検査が始まった。この適性検査というのはいわゆる性格診断で、これが原因で落とされることはまずないそうだ。「正直に答えてください」と言われ、各質問に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」……当てはまるものを選んでいく。数日後、教室長から困惑したような電話がかかってきて、「適性検査で何

          器用になりたい

          不吉が服を着て歩いている

           「普通の人」を描く(戯曲の人物として描写するということ)のはとても難しい。まず自分が普通じゃないし。人殺しじゃなくても人殺しは描けるけど、普通の人じゃなければ普通の人は書けないのではないかと思う。異論は認める。少なくとも私には、これが普通ですよ、と自信をもってお出しできる人物は、一生描けないだろう。描こうとはするかもだけど。   普通の定義が人によってどうだとかいう、陳腐な言説を垂れ流したいわけではない。ただ、私の描く人間が普通でないとすれば、彼らはきっと歪んでいて、狂って

          不吉が服を着て歩いている

          虚構への愛

          スタッフとの会議中は、「かわいい」が飛び交う。意図的なのかそうでないのかわからないのだけど、「良い」と言う代わりに「かわいい」という語を用いているように思う。「高橋的にはどっちがかわいいと思う?」とか、振られる。かわいいのは良いことだし、なにより正義なので、私も「こっちがかわいいと思う」と返している。おかげでどんどん、かわいい作品になってきている。嬉しい限りである。 私は嘘つきだ。嘘つきが高じて劇作をしている。よく練られた虚構は現実の何倍も面白い。虚構の面白さには上限がない

          去る如月に思いを馳せながら(菅野新)

          こんにちは、菅野新と申します。 「かんの」と読めた⽅、ありがとうございます。そのまま名前も覚えていただけたら嬉しいです。 「すがの」と読んでしまった⽅、⼤丈夫です。これを機に名前を覚えていただけたら幸いです。 改めまして、かんのあらたです。 元々はかつて駒場にあった演劇サークル「劇団Radish」に所属していました。劇団主宰の⾼橋、団員の波⽊と出会ったのもこのサークルです。後輩として⼊ってきた彼らの才能に当時は圧倒されるばかりでした… そろそろ5年程経つのでしょうか。

          去る如月に思いを馳せながら(菅野新)