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商店街の素敵なお花屋さん

  先月、単身赴任で目黒区に越してきました。仕事が忙しく、当分妻と息子には会えそうにありません。はじめのうちは、十数年ぶりの一人暮らしの自由を謳歌しようとも思いましたが、誰もいない部屋に向かって 「ただいま」と言ってしまうたびに、どうしようもない寂しさに襲われていました。

  寂しさを少しでも紛らわすために、運動がてら少し遠回りして帰ることにしているのですが、ある時商店街を歩いていると、花屋の店先に綺麗な百合の花が並んでいて、思わず足を止めました。すると中から店主らしき女性が出てきて、どんなお花がお好きですか、と声をかけてくれました。仕事帰りのくたびれたおじさんが、自分のために花を買うなんて、ちょっと照れくさくて、はじめのうちはもじもじしてしまったのですが。店主の方と話しているうちに少しずつ気持ちが晴れてきて、思い切って白い百合の花と大きめの花瓶を一緒に購入しました。

  花は 「ただいま」と言っても返事をしてくれるわけではありませんが、そこにあると、部屋がちょっとだけ明るくなる気がします。いい香りもしますし、一緒に暮らしていて心地がいいのです。今度お店に行った時にはおすすめの花を聞いて買ってみようと思います。

30代男性・会社員



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