SNSマーケティング(プロモーション)について考える

Saeki Business Economics Laboの主要な業務のひとつにマーケティングがあります。
経営戦略と同様に、その内容は様々で、マーケティング・リサーチからマーケティング戦略まで幅広く全般的に請け負うこともあれば、広告物の作成といったスポットの業務まで行います。

ある時、SNSの発信マニュアルを作成することになりました。
大企業から居酒屋まで、SNSはマーケティングツールとして最早当たり前になりました。特にB to Cビジネスでは、使っていない方が少ないのではないかと感じるほどです。

あるとき、クライミングジムの経営者の方と話すことになりました。新しい店舗について、あまりうまくいっていないというお話でした。
問題点は多々あり、全体的な話からすると、そろそろ経営組織を再構築した方がよい状態です。しかしすぐには実行できませんし、問題の店舗の店長さんは日々の業務で憔悴しています。
そこで、目に見えて御座なりになっているツイッターから改善することにしました。

多くの企業や店舗経営をされている方も、毎日の発信が億劫になったり、効果を感じられないという思いをしておられる方がおられるのではないでしょうか。
考えてみると、僕のSNSにも、一時期ほど店舗などのツイートが見られなくなったように思います。

そこで僕がとった手段はとても簡単です。

・発信内容を決める。
・ターゲットをしぼる。
・発信スケジュールを決める。
・暇な時に作っておく。

以上です。

実際には、僕が行った分析に加えて、方針や内容、ターゲット、発信情報のポリシーやルールなど、内部マニュアルを作成し、店長さんとミーティングをして内容を細かく決めていきましたが、基本的な変更点は、上記の4点です。

このとき、‘自称’webが専門という人がいて、「担当を入れて毎日発信」とか「バズらせる」という発言がありましたが、その理由を説明できない方なので、ひっこんでもらいました。

・マーケティング?プロモーション?
広告業界などでは「プロモーション」に関する内容を「マーケティング」と呼ぶ傾向にあるようで、「SNSマーケティング」も、僕には「SNSプロモーション」に聞こえることが多々あります。そして、多くの場で聞かれるほど、効果があったという話を聞きません。

マーケティングとは、端的に言えば市場を創造し、顧客満足(僕は顧客幸福と言っています)を実現することです。
既に古典的ではありますが、マーケティング・プロセスは以下のように考えます。

R Reserch

S  Segmentation
T   Targeting
P   Positioning

MM   Marketing Mix

I   Imprementation
C   Control

プロモーションは、マーケティング・プロセスにおけるマーケティング・ミックス、いわゆる4Pの1つです。

SNSは企業にとって、重要な[コミュニケーション」ツールになります。つまりSNSを通じて行うべきなのは、「プロモーション」ではなく「マーケティング・コミュニケーション」だと考えます。

それではプロモーションとコミュニケーションはどのように異なるのでしょうか。

SNSを使ったからといって、その行為が「コミュニケーション」にはなりません。確かに、SNSのタイムライン上には、多くの企業の情報が表示されます。
数年前ですが、アメリカでの調査で、インターネットの内容について、記事と広告を区別できない人が増えているという結果のものがありました。確かにいつ頃からか、SNSでも[広告]という表示がつくようになりました。これはSNSを使ったマス・プロモーションです。
マス・プロモーションは、コストに比例するという意味で、他の広告と同じです。ただし、以前と異なり、よりターゲットが望む情報をピンポイントに提供できるようになりました。こうした点は、フォロワーに対する発信も同じです。

では、どうすれば「コミュニケーション」になるのでしょうか。

まず第1に情報の一致です。
流通の基本的な役割として「ギャップの保管」があります。顧客が求めるものを、求める価格、求める方法で、確実に届けるということです。
これは情報も同じです。一方的に発信された情報は、ギャップが補完されておらず、すぐに陳腐化します。
第2に回答性です。
SNSの場合、質問をすることができますが、ダイレクトメールのような手段と異なり、必ず目に留まるとは限りません。
しかし製品やサービスに興味があれば、探してでも読みますし、そこからすぐに会話ができます。
例えば飲食店であれば、予約可能かどうかを確認することもできます。
第3に時間共有と追体験です。
近年ではUXという言葉が盛んに使われますが、これを説明するとき、僕は「時間の共有と追体験」と説明しています。
要は、その製品やサービスの質や使用感、満足度、もたらす時間を共有することです。

他にも色々ありますが、プロモーションをコミュニケーションに変えるには、最低でもこの3つは欠かせないのではないでしょうか。

このコミュニケーションから、顧客ないし市場の要求を理解し、新たな価値(製品・サービス)に転化する作業が、本来のSNSマーケティングだと考えます。

SNSマーケティングと言っても、、、無料広告では、効果は望めないかと。


追記
ここで記すつもりでしたが、「バズる」の中身については、次の機会にあらためて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?