経営学とは 人を幸せにする法則

これはよくある話ですが、「学校のお勉強は役に立たない」という言葉を聞きます。こうしたことを言われる方の気持ちは解るのですが、一方で、学ぶことの意味を知る機会がなかったのかと思うと、教育現場に立つ者として、とても責任を感じます。
色々な経験を経て、プロフェッショナルであれば、まず説明責任を果たさなければならないと考えるようになりました。そうしたことから、今回は経営学とはどんな学問なのかについて記したいと思います。

経営学(商学、マーケティング、会計学など、経営学分野全般を含む)というと、「お金儲けの学問」と言われることがあります。こうした言葉を聞くと、、、けっこうへこみます。
では経営学はどんな学問で、何を目的としているのでしょうか。簡単に経営学の歴史を紐解いてみたいと思います。

経営学の始まりは20世紀に入った頃、経営学の父と呼ばれる、テイラーの科学的管理から始まったとされています。ちなみにですが、よく勘違いをされている方がおられますが、ドラッカーはマネジメントの父と呼ばれています。
テイラーは「標準」の作業方法や作業時間とノルマを設定し、これに対する成功報酬や減収、また計画組織と実行組織の分離といった現代の管理の考え方の基礎を築きました。
その後ファヨールは経営管理を計画、組織、指揮、調整、統制と定義(管理課定論)、マックスウェーバーは官僚制組織を提唱します。
しかし科学的管理などの管理手法に対して、労働者がサボタージュを行ったり、フォードシステムをはじめとする大量生産により、によって、多くの人が工場労働者として働くようになり、新たな考え方が出現します。
メイヨ―・レスリスバーガー(2名の名前です)の実験による人間関係論が、バーナードによるリーダーシップ論、サイモンによる意思決定論が考えられました。
この過程で、経営学には社会学や心理学などの分野が含まれて行きます。

この過程で考えられたのは、人が心地よく働くことができ、かつ生産性を高めるにはどのようにしたらよいかという問題でした。これと合わせて、それまで経済学が問題視してきた、資本と労働の問題(資本家と労働者:支配と被支配)などが幅広く考えられるようになっていきます。
1960年代には、有名なドラッカーの『現代の経営』が出版され、マネジメントという概念がブームとなります。

この中で一貫して考えられていることは、いかに効率よく経営を行うかですが、その根底にある目的は、いかにして人を幸せに導くのかということです。
僕自身、博士課程の学生だった頃、ある先生に「経営学とは何か」と言う質問をしたことがあります。その後もこの問題について、考え続け、講義では2つの経営学という説明をしています。

経営経済学
これは経済学の古典的な資本と労働という概念を基に、経営という視点から企業と社会の在り方を考える経済学。
マネジメント
実際の企業経営の視点から、最も適した方法を考え、労働者の幸福を考える。

どちらも共通して目的としているのは、とても簡単に言えば、人が幸せになるのにはどうしたらよいかということです。
勿論企業が無理なく効率的に利益を得る方法を考えます。しかしそれは一部の人がただお金を儲けるための方法ではありません。むしろそうした考えが顧客や労働者の信頼を失うこととなります。

経営学は、全ての人が充実した生活を送るための学問、そんなふうに考えてもらえると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?