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23年前に野球キューバ代表を見た衝撃

WBC日本代表の情報がちょっとずつ出てきている。今回の日本代表についてはメンバーが正式に出てから色々感想を述べるなどしたい。

さて、日本のプロ野球選手が国際大会に初めて参加したのは24年前。1999年のシドニーオリンピック予選のことだった。

この大会から各国プロ選手が参加できるようになり、これまでの「オリンピックはアマチュアのもの」という概念をひっくり返し、プロアマ混成で金メダルを、というテーマの下臨んだオリンピックだった。

予選と本選で選ばれた選手も異なったのだが、まあこの時の日本代表が面白い。
プロからは松坂大輔、黒木知宏、河野昌人、鈴木郁洋、松中信彦、中村紀洋、田中幸雄、田口壮が選ばれた。
アマチュアからはミスター社会人こと杉浦正則、後にプロに行く渡辺俊介、石川雅規、吉見祐治、山田秋親、杉内俊哉も名を連ねた。
捕手も阿部慎之助と野田浩輔。野手には沖原佳典、赤星憲広、廣瀬純がいた。その他にもアマチュア球界を代表する選手がそろっていた。

ただプロ側を見てもわかる通り、割と足並みはそろってなかった記憶はある。それもそのはず。オリンピック期間も普通に野球をやっていたからだ。
優勝争い佳境のダイエーホークスの一塁に、松中に代わってバンクスという見慣れない外国人がいたのを覚えている。1割台前半の打率に唖然とした思い出がある。

で、結局この混成チーム、最終的に4位になり、メダルを逃す結果になった。待遇がプロとアマで違っていたり、プロが直前まで一緒に練習できなかったなどなど要因はいろいろあるにせよ、プロアマ混成というテーマを掲げた大会は、何とも微妙な結果となった。

しかし、この大会で見たプロ選手たち。後にオリックスに入団する具台晟、千葉ロッテに入団する李承燁、中日を戦力外になりながらオーストラリアの大きな壁にディンゴなど、印象に残った選手は多い。
ちなみに優勝したアメリカ代表にも後に日本にやってくる選手がいたのだが、みんなパッとしなかった。なぜだろうか。ヤングとかサンダースとかキンケードとか……うん。キンケードは印象強かったけど。

ちなみに私にとって一番印象が強かったのはキューバ代表だ。理由は簡単。生で試合を見る機会を得たからだ。しかも日本でだ。

2000年9月1日、中学校の2学期が始まる日。部活もそこそこに家に帰って大阪ドームに向かった。この日、野球日本代表壮行試合として日本対キューバという対戦カードが組まれたのだ。

ただ、壮行試合と冠はついたものの、プロで参加したのは鈴木郁洋だけ。この日、普通に中日は試合があった。

珍しいカードということもあり、平日の夕方というのに野球が好きなおっちゃんたちがたくさんいた。「あの阿部っていう選手がすごいんや……間違いなくプロに行くわ」と教えてくれたおっちゃん。その阿部とは阿部慎之助である。

試合前、三塁側のベンチ。キューバの選手がいる。前年の1999年に実況パワフルプロ野球でキューバ代表が取り上げられて以降、世の野球少年は「無敵のキューバ代表」に胸を躍らせて球場にやってきたのだった。

ルイス・ウラシア選手にサインをもらったのを覚えている。
キューバのスタメンクリーンアップは、「リナーレス」「キンデラン」「パチェーコ」。リナーレスことリナレスは後に中日に、キンデランとパチェーコ(パチェコ)はシダックスに入団することになる選手だ。

試合が始まった。日本の先発は大学野球の超有望株、ドラフト1位候補の山田秋親。まあまあ抑えるもウラシアに特大の一発を浴びた。パワーがすごい。そんでもって走れる選手が多い。

そして一番の驚きは先発したコントレーラス。誰なんだということだが、後にニューヨークヤンキースで活躍するホセ・コントレラスその人だ。
150キロ台の速球をこれでもかこれでもかと投げ込み、緩い変化球で三振を取っていく。まだこのころ日本球界では常時150キロを投げ込むスターターなんていなかった。衝撃だった。

二番手で投げていたベラも150キロ台のボールをバンバン投げた。とにかくこんな選手たちが何人もいるのか、そりゃパワプロで最強のチーム扱いされるよな、と妙に納得したのを覚えている。

次の日も学校があったので試合途中で帰らざるを得なかったのだが、「これ本当に日本勝てるのか?」ともやもやしながら帰った。

結局本大会でもキューバ代表は強かった。どうやったら打てるねんというコントレーラスのボールはえげつないの一言だったし、どこからでも打ててどこからでも走れる打線は本当に異次元だった。

近年亡命などで主力選手が流出する中、2023年のWBCでは亡命した選手も登録が可能になるという。久々に「えぐいキューバ」が見れるのか楽しみだ。

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