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【読書録】『復活の日』小松左京

星新一、筒井康隆とともに、日本3大SF作家のひとりとされる、小松左京によるSF長編小説、『復活の日』

以前記事にした、カミュ『ペスト』と同様の、伝染病によるパニックものだが、この小説のスケールは、飛び抜けていると思う。

(以下ネタバレあり。)

医学的に解明困難なウィルスの実態。裏に見え隠れする国家間の軍事的かけひき。ものすごいスピードでウィルスが伝播し、人々が少しずつ死んでいく様子の凄まじさ。南極で生き残った人々が、国を超え、人類の存続をかけて団結するにあたっての、苦悩と希望。世界がパニックと恐怖の渦に巻き込まれる様子が生々く描かれていて、恐ろしくて身震いしそうになる。怖いし、ドキドキするが、先が気になって仕方なく、一気に読ませる。

全世界、地球全体が舞台であるこの壮大な小説だが、これを書いた当時の小松左京は、まだ海外旅行に一度も出かけたことがなかったというのだから、驚きだ。その取材力、凄すぎる。

新型コロナウィルスが流行し始めてから、早や1年以上が経つ。現実世界がもはやSF小説のようであり、何が起こってもおかしくない。変異株も増えつつあり、終息時期もまだはっきりしない現在、この小説のような結末が、現実に起こらない、という保証もどこにもない。この小説を読んで、最悪の場合がリアルにイメージできた。

改めて、コロナが早く終息してほしいと思うとともに、いつ何が起きても後悔しないように、無事に生きている間に、やるべきことや、やりたいことを、存分にしておきたい、と思った。

コロナ禍の今こそ、読んでおくとよい小説だと思う。

ご参考になれば幸いです!

カミュ『ペスト』の読書録もどうぞ!


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