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【ブックカバーチャレンジ】つらいときに読んだ本

アラフィフ世代にもなると、どんなに恵まれた人であっても、それなりにつらい経験をしてきているのではないかと思う。私も、この半世紀程度の人生、よいことも沢山あったが、つらいことにも何度も遭遇してきた。そんなときに出会って、私を助けてくれた本たちについてご紹介したいと思う。

(※ブックカバーチャレンジとは何かについては、こちらの記事をご参照ください。)

1.『一日一生』(酒井雄哉)

天台宗の酒井雄哉・大阿闍梨の、慈しみに満ちた言葉の数々。今日という一日を一生だと思って生きよう、今日、失敗しても、落ち込まなくてよい、明日はまた新しい人生が生まれてくる。この、タイトルにもなっているお言葉は、つらいこと、悲しいこと、嫌なことがあった日に、寝る前に読むと、明日も仕切り直して頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

優しい語り口で易しい言葉で書いてくださっているので、どこからでも読める。心にダメージを負ったときの応急措置的に、ときどき読む。元厚労事務次官村木厚子さんが、身柄拘束中に読んで救われたと紹介された本でもあるし、難病と戦っている私の大事な友人もこの本を心の支えにしている。

2.『折れない心をつくるシンプルな習慣』(渡部卓)

職場のメンタルヘルスを扱う産業カウンセラーの方の本。心が折れないためのちょっとしたコツを、「考え方」「言葉と行動」「身体」という切り口から、大変分かりやすく紹介してくださっている。特に、「考え方」の部分を読むと、不必要に、自分で自分を苦しめていることがあると気づく。このような気づきを与えてくれて、自分を楽にする、ちょっとしたセルフケアのコツを授けてくれるこの本が、私にとっては大きな助けになった。

実は、以前、著者の渡部さんのお話を聴く機会があっのだが、以前は外資系スーパービジネスマンであり、ご自身がメンタルでお悩みになったというご経験から、今のお仕事に転向されたということである。大変お優しい方であった。この本にもその優しさがあふれている。

3.『いい言葉は、いい人生をつくる』(斎藤茂太)

こちらは、精神科医の斎藤茂太先生のご本。歌人の斎藤茂吉のご子息ということもあり、言葉にはこだわりがあるという。ご自身が、普段から、気に入った言葉に出会うたびに手帳にメモされていたそうで、その中から、人生を楽しむのに役立つ言葉を選んで紹介している。

アインシュタイン、モーツァルト、空海、山本五十六、ヨー・ヨー・マ、アメリカのジョークなど、幅広い。そして、それぞれの言葉について、ご自身のご経験や見聞きされた話を加えて、モタ先生流の、優しく、元気が出るメッセージをシャワーのように浴びせてくれる。易しい言葉で読みやすく、これも疲れたときの処方箋としておススメである。文庫サイズで小さいので、枕元に置くにも、旅のお供にするにもぴったり。

4.『にんげんだもの』(相田みつを)

書家であり詩人の相田みつをさんの、ご自身の書体による詩集。短くダイレクトな、わかりやすい詩が、温かい書体とともに、疲れた心に染みわたる。これこそ、疲れた心の特効薬である。つまづいてもいい、ありのままでいい、と教えてくれる。

この本には随分若いころに、プレゼントとして贈られて、出会った。子どもでも読める平易さだが、アラフィフになった今でも、その簡単な単語に込められた深い愛が、色褪せることなく心に響く。私も、悩める若い人にプレゼントしたいと思える一冊である。

5.『群れない力』(関口智弘)

これは、ブックオフで本を物色していたときにたまたま目に留まった本。100円だったから買ってみた、という程度で、それほど期待していなかった。著者も全然知らなかった。しかし、読んでみると、なかなか珍しい、飛び道具的な本だった。

「ばっかじゃねーの」「ウザったいブタ野郎どもを蹴散ら」して、腐れ縁を断ち切れ、自分らしく強く生きていけ、というメッセージ。はっきり言って品がなく、人の心にズカズカと土足で踏み込んでくるような語り口なので、決して万人向けではない。本当に心が弱っている人には、薬というより毒になるかもしれない。しかし、しょっちゅう人間関係で悩んでいた私には、くだらない人間関係は切ってしまえと、情け容赦なくストレートに言ってくれるこの本が、いわば麻薬のように、心地よく感じられたのである。

以上。

上記5冊の共通点は、文章が簡単で読みやすいこと、メッセージが明確であること、その結果、つらいときに読んで、心にすぐに直接働きかけてくれることだ。そして、1~4の共通点は、メッセージが優しさと愛情にあふれていることだ(上述のとおり、5は真逆であるが。)。

実は、こういう本でなくても、小説でも、ノンフィクションでも、どんなジャンルの本であっても、読書することそれ自体が、つらい心を大いに助けてくれるものだと思っている。本を読んでいる間、その瞬間は、別世界にトリップできて、自分の目の前の人生からいったん切り離される。そうすることによって、考え方も気持ちも一度リセットされて、目の前の悩みがちっぽけなものに思えてくるのである。読書の一つの効用だと思う。

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