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【読書録】『点と線』松本清張

今日ご紹介するのは、松本清張先生の超がつくほどの有名作、『点と線』。特に中高年の方々には、ご存じの方も多いのではないかと思う。

松本清張先生の最初の長編推理小説で、トリックを見破りアリバイを崩すスタイルの推理小説ブームを巻き起こした作品。鉄道ミステリーの草分け的な存在。

しかし、何といっても、1950年代の小説である。当時は、DNA鑑定も、携帯電話もインターネットもGoogleもなく、電報が連絡手段として使われているような世の中であった。

子どものころからインターネットにアクセスしてきた若い人たちにとっては、アリバイ作りのトリックを知って、大いに興覚めするかもしれないが、作品の時代背景を想像しながら読んでほしい。

アリバイトリックのほか、官庁の汚職事件という社会的な話題をミステリーにうまく取り入れているのも、さすがである。淡々とした文体なのに、いつの間にか物語に引き込まれて、続きが読みたくなり、つい寝食を忘れて読み続けてしまう。

「点と線」という本書のタイトルも秀逸だ。点がつながって線になるという展開は、その後の松本清張先生の作品でも多用されている。世の中では、点がつながって線になり、関係性が変わったり、予期せぬことが起きたりする。そんなドラマチックな読書体験をさせてくれる松本清張作品を象徴するようなネーミングだ。

ハイテクな世の中になった今だからこそ、ノスタルジックな清張ワールドを味わっていただくのもオツなものだと思う。

ご参考になれば幸いです!

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