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【読書録】『フェイクニュースの見分け方』烏賀陽弘道

今日の本のご紹介は、『フェイクニュースの見分け方』(烏賀陽弘道)(新潮新書)。

その名のとおり、フェイクニュースに騙されないために、どのような点に気を付ければよいかを教授してくれる本。著者は、元朝日新聞記者であり、メディア側の事情に精通している、情報発信のプロだ。

2017年発行。私は本書が発行されてすぐに読んだ。それから数年経って読み直してみたのだが、本書に書いてあることは、現在にもそもまま当てはまり、むしろ、その重要性はより高まっている。とても大事な内容なのに、類書が多くないと感じているので、この本は、私の「時々読み返すべき本」のリストに入っている。

詳しくは本書をお読みいただきたいが、私が本書を良書だと感じたのは以下のような点だ。

まず、「オピニオンは捨てよ」「発信者が不明の情報は捨てよ」「ビッグ・ピクチャーをあてはめよ」「フェアネスチェックの視点を持つ」など、発信を読む際の基本的視座を示してくれる。

そして、「主語が明示されていない文章は疑う」「書いていないことに着目する」「引用の正確さで見分ける」「言葉の定義を疑う」「発信者の名前をAmazonで検索してみる」など、フェイクニュースに気づくために役立つ具体的なポイントを示してくれている。これらはすぐに実行可能だ。

ネットでのメディアが多様化してきていて、ごく普通の一般の人々が、毎日、多様な発信を行う「一億総発信社会」となっている。そして、ネットでの情報を得ずしては、社会生活を送れない状況になりつつある。しかし、世の中にあふれる情報は、玉石混交。

価値のない情報に振り回されて時間を浪費するのはもったいない。さらに、フェイクニュースに騙され、誤った情報に基づいて誤った思考や行動をしてしまうと、金銭的にも、精神的にも、致命的な損害や損失を被る、といった事態にも陥りかねない。情報の質を見分ける重要性は高まる一方だ。

情報の質を見分ける能力は、もはや、この社会を生き抜くためのリテラシーだと言っても過言ではない。

年齢、職業問わず、すべての方にお薦めしたい本。ご参考になれば幸いです!


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