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【読書録】『なるほど!! 物理入門』月刊Newton 2019年3月号

私は、文系人間だ。

中学卒業までは、全教科、満遍なく、成績が良いほうだった。

地方の普通科の県立高校に通った。その高校では、高校2年生時から、文系と理系にクラスが分かれた。

高校1年のとき、何故か、急に、理科と数学が難しく感じるようになった。試験の点数も伸びなくなった。とりわけ、物理が、足を引っ張った。100点満点で、20点というひどい点を取って落ち込んだ。今でもありありと覚えている。

将来、どんな職業に就きたいか、あまり考えていなかった私は、高校2年になると、単純に、理数系が苦手だったからという理由で、文系クラスを選択した。

そして、大学は、文系の学部に進学し、その後も、結構、幸せな社会人生活を送ることができている。このまま、生きていく上で、死ぬまで、数学や物理を勉強する必要はなさそうだ。

ただ、16歳のあのとき、理科と数学ができなくなったのは、若くして味わった挫折であり、私の人生の選択肢を狭めた、いわば、人生の蹉跌だ。

おそらく、それが、心の奥底に、トラウマとして、ずっと残っているのだろう。ずっと、夢を見るのだ。数学と物理の問題が解けずに、苦しむ夢を。本当によく見る。月に一度くらいのペースで、アラフィフになった現在まで、続いている。

その夢を見ると、朝起きて、ハタと現実に戻る瞬間に、「ああ、私はもう高校生ではない。もう、理数系の試験を受けなくていいんだよ。」と、自分に言い聞かせて、自分で自分を安心させて、不吉な夢を、頭から払拭する。ごく短時間の、自分との対話なのだが、朝から、結構疲れてしまう。

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前置きが長くなってしまった。

あるとき、夫が、家でこの雑誌を読んでいた。そして、私に、面白いから読んでみたらと薦めた。

『なるほど!! 物理入門』。どストレートなタイトルだ。

もちろん、私は、即座に、”Oh, no, thank you.” という、素っ気ない拒絶の態度を取った。まるで、駅前のビラ配りの人に対して、そのビラ、要りません、というときのように。

夫は、「あ、そう? 面白いのに」とか何とか言っていたが、それ以上は薦めてこなかった。(ちなみに、夫も、文系人間である。)

しかし、後に、リビングに置かれたままになっていたこの雑誌に、ふと目を留めた。そして、気づいた。この雑誌には、サブタイトルがついていた。

『高校物理が1冊で丸わかり』と。

あぁん? なんやて。

あんた、喧嘩売っとんのか?

ニュートンさん、あんたみたいななぁ、そんなペラペラの雑誌の特集ごときで、私の苦しんだ高校物理が、そう易々と「丸わかり」されて、たまるかいな。

読まへんよ。絶対、読まへんからな。

………。

………。

その後も、その雑誌がリビングに置かれ、私の視界に入っている間、私と、ニュートン君は、無言で視線を交わし合い、無言の闘いを続けた。

そして。

ついに、闘いに負けた。

ページを開いてみると、異常に分かりやすいのである。しかも、イラストが多く、身近な現象を分かりやすい図と文章で示している。

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ニュートンさん。

何で、高校1年生の、私の前に現れてくれへんかったん?

16歳の時、あんたと出会うとったら、私の人生、180度変わってたかもしれへんやん。

罪なお人やなあ。

と、いうくらい、とても分かり易かった。

今までの文系人生にも悔いはないが、高校1年のあのとき、物理が苦手にならなければ、日々の生活で、もっと幅広い発見があったり、知的な冒険ができたかもしれない。それに、何より、もっと自分に自信が持てたかもしれない。

こういう本を、もっと、現役の高校生が手に取れるように、学校などで薦めてくれるとよいのになあ、と思った。

これから、50の手習いで、少しずつ勉強していこうかなあ。

ということで。バックナンバーにはなりますが、物理の基礎をサクッと学び直したい方に、お勧めです!

直接手に取ったわけではないですが、こちら(↓)もよさそうです。


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