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父の予行演習——29歳の(ほぼ)無職が英検準一級落ちた娘にかける言葉

Twitterを眺めているとタイムラインにこんな投稿が流れてきた。
※本当はこのツイートではなかったのですが、よくまとまっているので、以下のツイートを引用します。

賛否があるのか、なるほど。
そして、これを読み、こんなことを思った。

「ぼくがお父さんだったら、英検準一級落ちた娘になんて言うのだろうか?その予行演習が必要なのではないだろうか?」

——その前にかるく自己紹介が必要だ。
ぼくは29歳になるフリーランス。24歳から京都にある立命館大学に入学するという少し変わった経歴がある。

AO入試(総合型選抜)でちょっとスゴイ指導ができることや現代文や小論文の授業がオモシロイ指導ができることで(一部の人たちから)知られている。
※ぼくにお子さんを1年間預けてくれれば、合格なんかよりもよっぽど大切な生きるために必要な読解力が身につくことを約束します。(ちゃっかり宣伝する奴w)

とはいえ、まだぼくは結婚なんかしてないす、この先も結婚についてはまったくの未知数である。
だから、この記事は、嫁も子どももいない(ほぼ)無職が、仮想の英検準一級を受けてきた娘に対して伝えることというテーマで書かせていただく。
要するに、ヤバイ奴の妄想である。
※ただ、この妄想は、もしもあなたの大切なお子さんやあなた自身が、正規ルートを歩めていないぼくのようなヤバイ奴になってしまった時には、役立つものではないかと思います。あるいは、あなたも相当の変わり者で、お父さんの予行演習が必要だと思っているなら、さらに役立つ内容かもしれない。


娘「英検準一級落ちちゃった。理由は、リスニングで、教室がガタガタしてうるさかったのと、集中力がなかったからだと思う。また、英語の成績は先頭集団からbehindで遅れを取っていると思う」


え〜と、何を仕事の報告みたいな話をしてるんだ?

娘が父にする会話と言ったら、今の君くらいの年齢なら、『お父さんウザい!キモい!』が普通じゃないのかな?

まず、なんというか、こういう仕事みたいな雰囲気の父娘関係はもうやめにしないか?


まぁ、それはさておき、
キミももう中2になったのか。
それで、もうすでに目標もある程度決まっていて、その目標にひた走ってるわけだね。
でも、周りの環境の中で成績が先頭集団から遅れをとっていることに対して、不安にもなっている、と。

そうだね。
となると、キミに対しては、「世の中の9割以上よりはスゴイんだから、もうそんなに頑張らなくていいよ〜」みたいなアドバイスが聞きたいわけではないというわけだね。

ちゃんとそこに悩み、向き合えているということなんだね。


よしわかった。
鳶から鷹が生まれることもある。
ぼくからキミが生まれたというのは信じられないくらいの出来事なので、ぼくの言葉がキミに有効かはわからない。
けど、キミはそういう風に成長したいなら、父として応援するしかないよ。だから、そのためにはどんなことをすればキミが次の英検準一級に受かるのかについては、英語が得意な友人は何人もいるからちゃんと訊いておくよ。

でも、それと同時に今のキミくらいの年齢の子が、考えるべきことについてのお話もさせてくれないかな?


今、キミの一番仲の良い友達はどんな子なんだろう?
その子といっしょに何か悪さをしてみたことはあるかい?

突然こんなことを言ってびっくりさせてしまったかもしれない。
最後までちゃんと聞いてくれたら、賢いキミなら納得してくれると思う。


その一番仲良しの友達といっしょにふざけたり、笑ったりしているかい?
悪いことというのは、キミがぼくを含む大人からの重圧をガス抜きする意味でもあるし、無駄な時間を過ごせているかなぁ?という父からの心配だ。


ぼくを含む大人は、無意識的にも意識的にもキミたちにすごく期待を寄せているだろう。

それは通ってる学校名のネームバリューかもしれないし、その学校の中で競い合ってとれる成績のことかもしれない。あるいは、勉強以外にもプレッシャーを与えてしまっているかもしれない。部活や課外活動など。

キミたちは、その期待に必死で応えようと日々を生きている。
それはすごく尊いことだと思う。
そして、キミの人生にとってはすごく大切なことでもあるんだと思う。


だから、親は子どもに期待をやめないし、子どもは親の期待に応えようとするという構造は、否定しない。


でも、そこにちゃんとキミがいるのかな?
ぼくはそれだけが心配だ。


未来のため、将来のためと必死になって全力投球する姿勢は立派だと思う。

成績とか偏差値とか年収とか大学名とか会社名とか、そういうもの以上にキミがキミでいられる場所というか。

キミがどんなにこの先、エリートになっても、成功してお金持ちになっても、
数字に置き換えられない幸せをひとつ持っていてほしい。


それが、一番仲の良い友達とやる悪いことなんだ。

捕まったり、バカなことして炎上したりことだけが悪いことじゃないのは、キミくらいの偏差値だったら理解していると思うけど、念のため説明しておくね。

悪いことっていうのはね。
別に犯罪行為をしろなんて言わない。

そうじゃなくて、たまには塾をサボってみるとか、
夜更かしして布団の中でコソコソ電話することだと思う。
そういう悪さを誰かと共有することが、キミのこの先の人生にとってすごく重要な経験になるんだ。


なぜなら、偏差値という世界でどんなに勝ち残っても、
マウント社会には、上には上がいる。
キリがないほどの戦いの連続だ。
東大へ行ってもスタンフォードへ行っても多分、本当の意味で満足することなんてできない。

それはキミの能力に限界があるということを意味しているわけではない。
そうではなくて、勝ち負けの世界というのはある意味そういう構造を持っているんだよ。
勝ち続けた人生の先には、歴史上の人物がライバルになる。これは本当に終わりなき戦いだよ。
もちろん、そんな世界で戦う背中は素直にかっこいいと思うし尊重する。


でも、そういう世界に行ってしまって、
本当の意味でキミの心落ち着ける場所がないとキミはすごく苦しい思いをすることになってしまうんじゃないかなと心配になってしまう。


誰かと無駄な時間を過ごせたら、
なんとなく共犯意識が生まれて、
でも、それが安心感につながったりする。

だって、1点2点が人生を分けるようなシビアで残酷な世界で、
時間を共有した共犯者がいれば、
それほどの大事な何かを捨ててでも、イマココに没頭できる仲間がいるというわけだ。
そのつながりは大きな安心感になるよ。
なんでかわからないけど、力が湧いてくる感覚だ。

それは自分が、挑戦するためにガッーって背中を押してくれる力になる。


だから、キミには中学高校という限られた時間の中だけを共有する仲間じゃなくて、
人生という長いスパンを共有する仲間をつくるつもりで、明日から学校生活を楽しみなさい。
学校にそういう友達がいないなら、ネットにつくったっていいのかもしれない。


とにかく、キミがキミでいられる場所をひとつでも多く増やすことが今のキミには必要なんじゃないかな?

ぼくにとってのキミのような、
そういう特別な存在をこの人生の中で見つけるんだ。

そして、できるだけそういう仲間との時間は多感な時期に経験した方がいい。
たくさん笑って、たくさん怒って、たくさん泣ける、でもたくさん楽しめる。
キミにとっての喜怒哀楽の新宿駅のような場所を探すんだ。


でも、ひとつだけ約束してほしいことがある。
その友達は絶対に何があってても味方でいるんだ。
たまに疎遠になることはあってもいい。
それでも、キミだけはその友達の味方でいるんだ。


人には残酷な一面があって、
わりとランダムに、その日から突然いじめのターゲットにされてしまうということがある。

それでも、キミだけは味方であり続けるんだ。
その強い想いがあれば、キミの友達も味方であり続けてくれるから。
キミがどんな立場になってもね。

さぁ、もう明日も早いから今日はもう寝なさい。
















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