りんご

ファスト&スロー#4

『ファスト&スロー』 ダニエル・カーネマン
第2部ヒューリスティックスとバイアス
第10章 少数の法則
第11章 アンカー
第12章 利用可能性ヒューリスティック
第13章 利用可能性、感情、リスク

まとめ
・一般に標本サイズが大きければ、小さい場合よりも正確であり、標本サイズが小さいと極端なケースが発生しやすくなる。
・私たちは、母数の大きさを気にせずに物事を鵜呑みにする傾向にある。

・ある未知の数字を見積もるときに、何らかの数字に触れると、その数字が未知の数字に関係しているかはお構いなしに、私たちの判断に影響を与える。(アンカリング効果)。
・アンカリング効果には、システム2による慎重な調整を行う効果と、システム1によるプライミング効果(先行する刺激の処理が後の刺激の処理を促進または抑制する効果)がある。

・規模の大きさや頻度を事例の頭に思い出しやすさで判断する(利用可能性ヒューリスティック)。

・些細な出来事を大々的に報道することで、一般市民のパニックや政府介入までもを引き起こす事態となることがある。(利用可能性カスケード)。感情ヒューリスティックが大衆に連鎖して生じる。
例としては、人体に影響を与えないほどしかがん誘導物質が含まれていない薬品を、がん誘導物質が含まれていることだけをメディアが報道し、その薬品が使われた作物を消費者が買わなくなり産業に大きな影響を与えてしまうことがあげられる。

今回も、私たちの行動に影響を与えていると思い浮かぶ点についての説明が多数紹介されていた。
例えば、母数を気にしない点である。私たちは、よく調査先や母数が明らかになっていないのに雑誌やインターネットの情報をタイトルだけで判断し鵜呑みにする。しかし、それらの情報は過剰をよく見てみると、過剰に表現されている、根拠が乏しく作者の思い込みによるところが大きい、調査対象に大きな偏りがある、標本数が明かされていない、少ないなどなど、信頼するに値する情報は少ないのではないだろうか。
ゴシップとしては面白いし、話のネタとしてはいいかもしれないが、あまり多用していると周りから賢明な人ではないと判断されるかもしれない。

情報を得るときには、それは本当に正しいのか、情報の調査標本は適切なのか、特徴的なケースだけを取り上げているだけではない等注意が必要だ。

また、利用可能性カスケードの話は、私を驚愕させた。例のようなことのように、メディアが切り取った情報に感情的に反応し、パニックを起こしてしまうと、政策もそれに関与されたものが多くなってしまい、実際は死亡数が多い等本当に解決しなくてはいけない問題(糖尿病や脳卒中等生活習慣病の対策、予防に関すること等)に対する政策は後回しになってしまう。
リスク評価は、正当に行わなくてはいけないが、基準(収入別、人口別、年齢別等)を変えることでいくらでもリスクは変化する。
多面的に判断することが求められている。

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