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AIに意志はあるのか? 「動物と機械から離れて」トークショーから

蔦屋家電で開催された「動物と機械から離れて」刊行記念トークショーに参加しました。著者の菅付さんが前職の同期のご主人という事で紹介していただき、対談相手が WIRED Japan の松島さん、サブタイトルが「AIが変える世界と人間の未来」という事で躊躇なく参加表明しました。

皆さんはAI(Artificial Intelligence:人工知能)をどう捉えていますか?

  2001年宇宙の旅のHAL
  アベンジャーズのJ.A.R.V.I.S.
  または、身近にあるルンバ?

この本は、菅付さんがAI最前線で活躍する51名に取材し、まえがきには「AIが変える未来図と、それによって変化を余儀なくされる「自由意志」の行方を巡る旅のジャーナルだ」とあります。

AI専門家ではない編集者が、未来の社会がどう変わってしまうのか? 自分事として調べまくった内容の一部をトークショーで話してくれました。

特化型AIと汎用型AI

AIは何か?

この議論では主に特化型AIと汎用型AIという分類が行われています。

ルンバは特化型AIです。つまり、ある特化した領域のみに対応できるAIです。他にも、スマートフォンに搭載されているような顔認識、音声認識などは特化型AIです。

HALやJ.A.R.V.I.S.は汎用型AIです。つまり、人間と同様に自律的に様々なタスクに対応するAIです。現時点では汎用型AIは実現されていない、とされています。

シリコンバレーや深センなど世界的なAI研究の最先端地域では、将来的には汎用型AIが実現されると考えている人が多いようです。一方、日本や欧州では、汎用型には否定的で特化型AIにフォーカスしている研究者が多いとの事。特化型AIはすでに様々な領域で実現されています。

トークショーで Google Duplex のデモ動画が流れました。ぜひ見てください。AIはここまで来ているのです。まるで意識を持っているかのようです。

https://www.youtube.com/watch?v=D5VN56jQMWM

AIは意志を持つのか?

ホモ・デウスで、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は生命はアルゴリズムでしかなく、意識はオプションであるとしています。

「意識」とは何か?

AI研究の第一人者 松原仁さんは、「わかる」ということが、わかっていない答えたそうです。広辞苑によると、「意識」とは、今していることが自分でわかっている状態、とあります。

ということは、人間は「意識」そのものは、わかっていないという事かもしれません。では、AIは?

たとえばAIを搭載したロボット。ロボットは、関節の動き、皮膚の接触、視覚、聴覚、嗅覚などを搭載した各種センサーから取得することが出来ます。つまり、今している事自体は様々なデータから習得することが出来ますし、そもそもプログラムに基づいて行動するので、何をしているかは検知しています。問題はそれを理解しているか?です。

AIは、大量のデータを学習して最適な判別基準を生み出すものです。ロボットは、現在の状態を検知し、周囲の環境把握等に基づいて次に起こすべく最適な行動を決定します。これは「理解」でしょうか?

松原さんは、「AIがある程度決まったパターンでの回答を生み出すという方法論は、人間が”わかって”答えを出すこととは違うのではないか」と考えているようです。

シリコンバレーでは、Machine Consciousness(機械的意識)に関する研究が進められているようです。

AIやセンサー技術、ロボット技術がさらに進化した場合、人間が検知できないような環境変化や微妙な動作を検知することが出来るようになります。それらのデータを用いて次のアクションを決めた場合、それは、あたかも”わかって”答えを出したように見えるのではないか。

そんな答えの無い疑問を持つ機会になりました。

人間は暇になる

トークショーの締めくくりは、働き方に関する話題でした。1930年 J.M.ケインズは100年後には人間の労働時間は週15時間になる、と予測しました。昨年、孫さんはジャック・マーとの対談で、20~30年後には労働時間は週9時間になると話したそうです。

2013年 オックスフォード大 オズボーン准教授は10~20年以内に米国雇用の47%は機械化されるリスクが高い、と発表しました。

トークショーでは、菅付さんは、今回取材をした人たちはそれぞれ異なる意見を持っていたけど、全ての人が、これからは暇な社会が来る、という見解で一致していたとのことでした。

その時代には、人間は手間がかかる面倒なルーチンワークから解放され、より知的で創造的な仕事をするようになる、と良く言われます。ですが、創造的な仕事にはそれほど多くの需要があるのでしょうか?

世界中の人が創造的な仕事をするようになったら、どんな世界になるのでしょうか?

感動で溢れ、ワクワクする世界なのか? それとも、ワクワクに慣れてしまい無関心な世界なのか?

いろいろな疑問があふれ出るトークショーでした。

「動物と機械から離れて」 これから読むのが楽しみです。

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