見出し画像

世界一薄くて強靭な紙「土佐和紙」の生産現場で学んだこと| SAYULOG meets JAPAN #006 高知編

私たちが生まれ育った日本には、数々の伝統工芸品が存在する。その技術の高さや洗練された美しさが世界的にも非常に高い評価を得ていることは、私たち日本人にとっても周知の事実であることは言うまでもないが、「世界一薄くて強靭な紙」というのもここ、日本で作られているということはご存知だろうか。

高知県には、国の伝統的工芸品に指定されている「土佐和紙」と呼ばれる和紙がある。世界一薄くて強靭ゆえ、美術品の修復紙として世界中で愛用されている「典具帖紙(てんぐじょうし)」という紙もここ土佐で多く作られる和紙のひとつ。

今回の記事は「SAYULOG meets JAPAN」高知編で素敵なご縁に導かれ出会えた土佐和紙のお話。

高知県土佐市で江戸時代から代々紙漉を家業としてこられた株式会社モリサさんで作られている和紙のひとつである、世界でも非常に珍しい「落水紙(らくすいし)」や土佐和紙の歴史、昔から現代の土佐和紙用途の移り変わりなどのお話を伺うと共に、今回特別にご許可をいただき土佐和紙の製作工程を撮影すべく、工場にまで潜入させていただいた。


滅多に見られない貴重な土佐和紙工場見学の様子についてはぜひYouTube動画でチェックしてもらえたら嬉しい。動画では、土佐和紙の原料から、どんな工程を経て和紙が作られ、どのように加工されていくのかを森澤社長の解説付きで見学させていただいている。

「うちは小さな工場で作っているので、こうして和紙作りの工程が全部見えるんですよ。」原料から各作業工程に至るまで、細かに教えてくださった森澤社長のお話は、素人の私たちにもわかりやすく、和紙の世界に興味をそそられるものだった。社長は「うちは小さな工場で・・・」と仰っていたのだが、個人的にはこうして全ての工程を丁寧に作れる規模であるからこそ、小ロットのオーダーにも柔軟にご対応いただけるのだろうし、商品を手に取ったときに商品ができるまでに携わっておられる人たちのお顔が見えるような温かみを感じられる。

今回のnoteでは、動画ではお伝えしきれなかったところを中心に紹介していきたい。

👇子供から大人までみんなに観てほしい!土佐和紙工場見学٩ )و
⬇︎⬇︎⬇︎ 動画はこちら ⬇︎⬇︎⬇︎

和紙ってもっと厳かなものだと思ってた

和紙というと、書き初めの和紙茶道の懐紙など、どことなく厳かな印象が漂う。最初、私が知人から「素敵な土佐和紙屋さんがある」と聞いたときに真っ先に浮かんだのは「紙漉」で、その紙は真っ白な和紙だった。

「和紙にそんなにレパートリーがあるのだろうか」

モリサさんで目にしたサンプルに、そんな不安は一気に吹っ飛んだ。

1枚の和紙に凹凸で模様がついている、これまで見たことのない和紙が並んでいる。これは「落水紙(らくすいし)」という和紙で、製作工程で毛布に巻き付けた和紙の上に模様のついた金型を置き、その上からシャワーのように水を吹き付けることで、和紙に凹凸をつけ金型の模様をつける製法。機械を使って和紙を生み出す「機械ずき」という方法で作る落水紙は、令和の現代において、日本で、もとい、世界でここ、モリサさんの工場でしか作っていないのではないかと言われている。その昔はこの周辺地域の工場でも作られていた技法の和紙だそうだが、残念ながら時代の移り変わりに徐々にその製法を引き継いで紙作りをする工場が減っていき、今でも現役で落水紙を作っているのはモリサさん以外にないという。それくらい、現在では貴重な製法らしい。

また、モリサさんで生まれる和紙たちは、色柄も豊富で、センスよくディスプレイされ並んだサンプルたちに私のワクワクは止まらない。手紙を書いたり、ちょっとしたプレゼントにもラッピングで個性を出したり、特に紙の質感にこだわりがある私としては、目の前に広がる和紙の世界にテンションはずっと右肩上がり。和なアイテムはもちろん、洋風なアイテムにも自然とマッチするセンスの良さに、ただただ目をキラキラさせてしまう私とスタッフ。

画像9

画像10


伝統を受け継ぎながら、時代のニーズに和紙をマッチさせ、和紙の楽しさ、美しさと、豊かな発想で土佐和紙を作り続けるモリサさん。モリサさんとの出会いは、私自身の和紙に対するイメージを大きく変えてくれた。


江戸時代から令和へ土佐和紙作りを受け継いだ森澤家

代表の森澤美智社長のお話によると、株式会社モリサは先代であるお父様が起業されたとのこと。しかし、実はお祖父さまもそのまた先代も、江戸時代からずっとこの土佐の地で紙漉を生業とされ、その伝統を守られていらしたそう。

土佐は古くから「紙の街」として知られる。SAYULOGのYouTubeシリーズでもご紹介した、「仁淀ブルー」の名で知られる高知県を流れる清流「仁淀川(によどがわ)」が近いため、きれいな水が潤沢にあること、また、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの和紙に使われる原料が豊富に採れる、自然に恵まれた土地であることから、その昔は農業の休閑期にだけ紙漉をしていたらしい。副業やパラレルワークなどの新しい働き方が注目されている昨今だが、土佐では江戸時代から既に「農業と紙漉のパラレルワーク」が成立していたようである。

画像11

モリサさんの土佐和紙は、製品としてもちろん素晴らしい。しかし、それだけではない気がする。モリサで土佐和紙に携わっておられる人たちが本当に生き生きとされていて、楽しく働かれている様子がとても印象的で、そのおひとりお一人の愛情がちゃんと和紙に伝わっているのではないかと私は思った。

特に感じたのは、女性ならではのセンスやアイデアがキラリと光る企業さんであること、そして、昔から引き継がれる古き良きものを守りながらも変化する時代のニーズに合わせて土佐和紙を使うことで、より商品の魅力を引き立たせるご提案が上手な企業さんであること、さらに私が惹かれたのは、森澤社長を始め、そこで働くみなさんの明るさとパワーだった。初めてお引き合わせいただいた日から本日現在に至るまで、その印象は変わることなく、接する度に「株式会社モリサ」という企業と、ここで生み出される土佐和紙がどんどん好きになり、気付けば完全にファンになっている私がいる。


簡単にできるラッピング

私が見せていただいたサンプルたちは、土佐和紙のモリサYouTubeチャンネルでのコラボ動画で、不器用な私にもできる簡単ラッピングを教えてくださったラッピングコーディネーターの「ここくる先生によるもの。和紙そのものも素敵だったが、ここくる先生はシンプルであり素材を引き立たせるセンスの天才で、異なる種類の和紙を重ねたり、ワインボトルに和紙をかぶせてねじったり、シンプルで簡単だけれど、楽しく美しく心惹かれるアイデアがたくさん。和紙とそのアレンジで、主役である商品やプレゼントがさらにグッと引き立つものばかりだった。

ちなみに、和紙は折り目がつきにくいので、ちょっとラッピングを失敗してもまたやり直しやすいという利点があることも、今回学んだことのひとつ。不器用な私にはとてもありがたい情報である。

👇ラッピングはもちろん、和紙のデザインや色味、アレンジにも注目!


土佐和紙を使ったラッピングアイデア

モリサさんで見せていただいた「和紙を使ったアイデア」は本当に様々だった。あまりに素敵だったので、その一部をご紹介したい。

撮影していた時期は高知県の名産「土佐文旦(とさぶんたん)」の季節真っ只中。高知県の県民フルーツと言っても過言ではないこの土佐文旦を落水紙の巾着袋で包んで販売されているのが、地元の白木果樹園さん。

手塩にかけて大事に大事に果樹園で育てられた土佐文旦。これを包装の見た目と食べるだけで楽しむのではもったいない。そこでモリサさんが提案されたのは「剥いた文旦の皮を和紙の巾着袋に入れて、ゆず湯ならぬ文旦湯としてお風呂で楽しんでもらいたい」ということ。SDGsなご提案でその思いが素敵すぎる。

※実はこの白木果樹園さんでも文旦農園の様子を撮影させていただいているので、おいしい土佐文旦作りの裏側は近日公開!

画像1

商品開発に4年。こだわりのツナのオイル漬けが昨今のおうち時間のお取り寄せブームで人気急上昇中で各種SNSでも取り上げられている話題のおつなさんのパッケージにも、モリサの土佐和紙がチラリ。瓶詰めのツナのオイル漬けが入った小箱たちには、カラフルな和紙と落水紙を重ねたアレンジにおつなロゴの箔押し。かわいい・・・。

画像3

さらにすっぽんで有名な料亭やまささんのサプリメント「すっぽんの恵み」の四季それぞれの限定ラッピングにもモリサの土佐和紙登場。ここで使われているのは、前述のSAYULOG社会科見学動画で製作工程を見せていただいた「雲竜(うんりゅう)」という種類の和紙で、製作途中で「ひょう」という金箔などを混ぜ、仕上がりにうっすらと繊維のような模様と金箔が見える上品な仕上がりになるという。

今回、やまささんのご厚意で、おみやげにいくつかいただいたのですが、パッケージのあたたかみにほっこり。やまささんのお客様もラッピングとして届くこの和紙の袋を取っておいて、ご自身で誰かにちょこっと物を渡すときに再利用されているとのこと。そういう再利用もできるところもまた魅力。

ちなみに、この「すっぽんの恵み」。サプリメントをいただいている間は、すっぽん効果か否か、肌トラブルも減り体調良く過ごせました!すっぽんってすごい!(個人の感想です。笑)
料亭やまささん、またお世話になります!

画像3


用途は無限大!素敵な土佐和紙がほしいあなたに

動画では編集の都合上どうしても入れられなかったのだが、モリサ本社内には「LadyRisa」という土佐和紙ショップがある。本社内なので路面店ではないのだが、ここは業者さんだけでなく、一般の方も気軽にお買い物に来られるそう。

スクリーンショット 2021-07-13 18.45.32

スクリーンショット 2021-07-13 18.45.16


大判の和紙や和紙を使ったラッピング資材はもちろん、土佐和紙に加工を加えながら和紙の手触りの残るクリアファイル、マスクケースなど、色とりどりでデザイン豊富なアイテムが手に入る。

私がつけているこのマスクも「落水紙」をつかったサージカルマスクでモリサさんの新作。カラーも柄も豊富で、発色もよく、とにかく質感が素敵。写真のような映えカラーや、モノトーンな装いにもぴったりな控えめカラーも。こちらのマスクもLadyRisaさんでお取り扱い中!撮影後に私とスタッフが虜になり、両手に買い込んで現場を後にしたのは言うまでもない。あの空間は女子にはたまらないなぁと感じた。もちろん女性だけでなく、繊細なデザインがお好みな男性にもおすすめしたい。

👇LadyRisa、Webショップもあるので要チェック!

なお、上記写真で手にしている土佐和紙のマスクケースは、今回モリサさんに作っていただいたSAYULOGオリジナルマスクケース。マスク必須の生活を余儀なくされる昨今。そんな中でも土佐和紙のあたたかみとその土地にあるいいものをみなさんとシェアしたいなと思い、オーダー。SAYULOGオリジナルマスクケースは、SAYULOG meets JAPANシリーズでお世話になっているADDressさんの中で、私が滞在させていただいた高知県の高知B邸、香川県の小豆島A邸と三豊A邸などに置かせていただいているので、ADDressを利用しながら四国を旅される方、よろしければぜひこのSAYULOGマスクケースで土佐和紙のぬくもりを体験してほしい。そして、まだ高知へ行ったことのない方には、いつかぜひご自身の体と心で高知の地を愉しんでもらいたい。


今回の撮影の合間に、コラボ動画でお世話になったここくる先生のお店「cocoro*kurumu(ココロクルム)」さんにもお邪魔した。

画像5

画像6

画像7


モリサさんとのオリジナル土佐和紙アイテムや、コラボ撮影のラッピングで使わせていただいたかわいらしい水引、撮影後に私が個人的に購入した水引ピアス(後日インスタで公開!)などのアイテムを扱われていて、こちらの目を奪われて財布の紐が緩みまくること間違いなし。とってもかわいいお店なので、高知を旅する機会にはぜひお立ち寄りいただきたいショップである。

贈り物の包装として、何かの商品のパッケージの一部として、また、前述のマスクとして。みなさんが無意識に手にとられているそれには直接「モリサ」の文字は書かれていないかもしれない。しかし、モリサの和紙がワンポイントとして加わることで、みなさんの手に届いたときにそのパッケージやラッピングには、きっと他とはひと味違った特別な和紙の温もりがあなたの心を和やかにさせてくれるかもしれない。


記事サムネイル、ラッピング画像提供: 株式会社モリサ様

-----

最後まで読んでくださってありがとうございます。

YouTubeチャンネル「SAYULOGさゆログ」をメインに活動している、YouTuberさゆです。

noteでは、YouTubeではお話できなかったことや、企画、撮影の裏側などを紹介しています。YouTubeチャンネル、各種SNSへのリンクを下記にまとめてありますので、noteと併せてフォローお願いします☺︎

▼SAYULOG meets JAPAN
日本人も知らない、日本の魅力を再発見!

月額4万円から全国住み放題の多拠点コリビングサービスADDressをメインに利用しながら、日本のいろいろな地域にある良いもの、技術、知恵、文化、暮らしなど、普段の旅では味わえないような素敵なものをみなさんとシェアしていくYouTubeシリーズ。


========================================
YouTubeと各種SNSで発信中
⭐️
チャンネル登録&高評価、フォローよろしくお願いします!
========================================

▼YouTubeチャンネル「SAYULOG さゆログ」


▼Instagram、Facebook、Twitterなど各種SNSまとめ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?