【28】小児科医ママが解説「子どもとジュース。1日にどれくらい飲んでいいの?便秘には効果ある?」

前回、フォロミについて3回にわたり記事をupしました。

【第1回目】フォロミいるのか問題(Vol.1)タンパク質の多さは魅力。鉄も多いけど吸収率を考えるとビミョー。

【第2回目】フォロミいるのか問題(Vol.2)カロリーは、かせげない。亜鉛・銅がゼロは、実はかなりイタい。ビタミンDも少なめ。

【第3回目】フォロミいるのか問題(Vol.3)【食事まずまずすすんでるけど、肉・魚を食べません!】の子こそフォロミの出番では。


飲み物シリーズということで、今回はジュースについて。

私たちの親世代は、生後まもないころから「(白湯や)果汁を与える」という習慣もありましたが、今は「生後半年くらいまではすくなくとも、母乳あるいはミルク以外の飲み物は与えない」というWHO(世界保健機関)の指標がメジャーになっています。
ただし色んなメーカーから乳幼児用のジュースが販売されており、どれくらい飲ませていいものなのか、外来でご質問をいただくこともあります。

ジュースはいったい、いつから・どれくらい飲ませてOKなのか。
便秘に効果がある、というのは本当か?

今回も公式団体の見解や論文をもとに見ていきましょう。


今回の参考文献はこちら。

●AAP(米国小児科学会)
“American Academy of Pediatrics Recommends No Fruit Juice For Children Under 1 Year”
https://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/American-Academy-of-Pediatrics-Recommends-No-Fruit-Juice-For-Children-Under-1-Year.aspx

●論文
“Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations.”
(Pediatrics. 2017;139(6).)
https://pediatrics.aappublications.org/content/139/6/e20170967

●小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(診断と治療社)
http://www.jspghan.org/constipation/ishi.html


1歳まではジュース禁。1~3歳で1日120mL・4~6歳で1日180mL。

日本のように、以前は欧米などでも、果汁やジュースをむしろ飲むことを勧めていた時代もありました。が、ジュースの消費量の増加にあいまって、肥満・過体重や、虫歯の増加などがみられたことから、数年前から「生後6ヶ月未満は」ジュースを避けるように、さらに2017年からは「生後1年未満は」ジュースを避けるように、とAAP(米国小児科学会)のスタンスも厳しくなってきています。

以下はAAPのステートメント、また、Pediatricsという小児科の代表的な医学雑誌に掲載された論文(上記の参考文献:論文)の内容をもとに、ジュースに関する見解をざっくりまとめたものです。

●ジュースは1歳未満には与えない。
子どもをなだめるアイテムとして、ジュースを使わない。寝る前には与えない。
●ボトル(簡単にたくさん注げる・飲める容器)ではなく、コップなどにその都度、注ぐ。
●「100%フレッシュ」ジュースは、1歳以上で、かつよくバランスの取れた食事の「一部」としては、使いうる。が、年齢に応じて、量を調整する。
●1日のジュース上限量
 1~3歳:120mL/日
 4~6歳:120-180mL/日
 7~18歳:200-240mL/日

(※1オンス=30mL として換算。)
●(そもそもジュースよりは)果物そのものを食べることをすすめる。
●ジュースのとりすぎは、虫歯・栄養過多(肥満)・栄養不足などにつながる可能性がある。
●(農場の直営店などであるような)低温殺菌されていないジュースは子どもには与えない。大腸菌・サルモネラ・クリプトスポリジウムなどの細菌汚染の可能性がある。


いくつか抜粋しつつ、もう少しくわしく見ていきましょう。


1歳未満に与えない


とくに生後6ヶ月未満は、母乳やミルクが、発達・成長にかかせない栄養源です。ジュースを与える栄養学的なメリットはありません。また、ジュースを飲んでしまったぶん、ミルク・母乳の飲める量が減ってしまうのが、一番のデメリットです。


1日のジュース上限量


幼児用の小さいパックでも100~120mLくらいあるので、ストローが上手になったお子さんとかだと、簡単に1日量をちゅーっと飲めちゃう印象です。
別に1日くらい、2パック飲んじゃった(つまり上記の上限量の2倍)、としてもいきなり健康上の問題が出るというわけではありませんが、習慣になるのは避けたいところですよね。
「なだめるアイテムとしてジュースを使わない」「子どもが簡単に注げない・飲めない工夫を」とAAPが提唱しているのも、ジュースを飲むのが習慣になるのを避ける、という目的が大きいと思います。


果物そのものを食べる習慣を


果物に含まれるビタミンやミネラル自体は、とても必要な栄養素。しかしジュースにする過程で、繊維やビタミン、ミネラルが少なくなってしまっています。このため、AAPはジュースというよりは、そもそも果物そのものを食べる習慣を、と提唱しています。

果物そのものの摂取目安(AAPより)
 ●1-4歳:1日~200g
 ●10-18歳:1日~400g

※ちなみに200gは、こんな感じ(厚生労働省より)
 バナナ1本
 いちご6粒
 グレープフルーツ1/2個
 なし1/2個
 みかん1個
 キウイ1個
 りんご1/2個
 ぶどう1/2房
 かき1個



虫歯・栄養過多(肥満)・栄養不足など

ジュースはいわずもがな、糖分を多くふくんでいます。ジュースが口の中に含まれている時間がながければ、当然、虫歯のリスクは高くなります。「ジュースをうすめても、虫歯のリスクは減らない」とAAPも注意しています。
また液体で糖分・カロリーを気軽に・すばやく取れてしまうので、栄養過多・肥満のリスクもあります。(実際には、ジュースをとっていたからといって必ずしも肥満とは関連がなかった、などという報告や論文もあるようですが。)
さらに、液体で急速に糖分をとった場合、小腸で吸収しきれなかった糖が大腸にいきます。すると高い浸透圧の影響で、下痢が出る可能性があります。実際にジュースのとりすぎは、慢性の下痢や腹痛、ガスがたまる原因になります。



便秘には効く「かもしれない」

ジュースの糖分で、下痢になる可能性があると書きました。ってことは逆に、便秘の子がジュースを飲んだらいいんじゃないか。という話になってきます。結論からいうと「便秘にジュースは効くかもしれない。がハッキリしたエビデンスはない」です。

北米小児栄養消化器肝臓学会は、フルクトースやソルビトールといった、果物に含まれる糖をとることで、便秘の対策になるかもしれない、という提言をだしています。(プルーン・梨・アップルジュースなど)
しかしほかの世界の学会は、便秘の治療として果物・果汁・ジュースを積極的にとることは、明らかに・あえては勧めてはいません。日本の便秘のガイドラインでも、上記の北米の学会の提言は「良質なエビデンスにとぼしい」ため、推奨はしていません。

そもそも便秘については、もちろんお子さまに会う食事・水分のとり方があれば、効果がある場合はあります。ただし生活習慣だけではなかなか便秘は良くならず、医学的にも絶対にこれが効果がある!という食事・水分のとり方も、正直ないのが現実です。便秘や治療については、また追って記事にしていきたいと思っています。



ジュースが絶対にわるもの、というわけではないのですが、ジュースを飲むことが習慣になってしまったり、それによってお子さんの虫歯や栄養状態への影響が出ることは避けてあげたい、というのが伝わればうれしいです。ジュースは特別なおやつ、というポジションになればいいと思います。


そんなジュースですが、小児科医として、むしろジュースをとってもらうことをオススメする場面があります。それが胃腸炎のときです。次回は「胃腸炎とジュース」について記事にしたいと思います。
(記事:胃腸炎のときのジュースは、本当に効果があるのか?


※じゃ、白井は実際に自分の子どもに、ジュースどんだけあげてんのよ、って話は、こちらの育児ブログでどうぞ。 http://sayokoshirai.com/長男3歳のジュース事情/


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
4
■医師免許、日本小児科学会専門医、小児科オンライン(https://syounika.jp/)、IPHI 妊婦と子どもの睡眠コンサルタント、キッズ・マネー・ステーション認定講師 ■2児ボーイズの育児ブログ:http://sayokoshirai.com/
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。