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[小児科医ママが解説] 「うつぶせ寝してもOK」な条件とは?

寝ている間に、うつぶせになっちゃいます。
毎回、あおむけに戻さないとダメでしょうか…?

うつぶせ寝で、窒息しちゃわないか心配で、
全然寝られません…!

今日はこんなご相談に、お答えしていきます。

「寝返り返り」までできたら、うつぶせ寝も許容。by 米国小児科学会


あおむけ→うつぶせ
うつぶせ→あおむけ

この両方の寝返りができるなら、
子どもの好きな姿勢で寝かせても良いでしょう

というのが、米国小児科学会の見解です。
Pediatrics (2022) 150 (1): e2022057990.

そもそも「うつぶせ寝」が良くない、という背景には「乳幼児突然死症候群(SIDS)」があります。

うつぶせ寝をすると、どうしてSIDSにつながるのか?

という点は、医学的に明確にはなっていませんが、

うつぶせのまま動かなくなることで、赤ちゃんの体温が過剰に上昇してしまうことや、呼吸が抑制されうることなどが、報告されています。
詳しくは、過去noteを参照ください。


…ということで、もしお子さんが「寝返り返り」ができているようであれば、「寝返るたびに、あおむけに戻さなきゃ!」と思わなくてもOK、ということです。

まだ「うつぶせ→あおむけ」には寝返りできない場合は…?


あおむけ→うつぶせ は できるけど、
うつぶせ→あおむけ は まだできない…

という場合も、あると思います。

このように「寝返り返り」ではないけど、「寝返り」までならできる。という場合には、米国小児科学会には正式にはステートメントを出していません。

ただし医療者向けのコメントとして

「生後4カ月以後からは、SIDSのリスクは、一般的に下がる」
ということも、保護者に伝えることも大事。

というものがあります。

もちろん油断はできないのですが、SIDSを恐れすぎるあまり、保護者が十分に寝られないことを危惧しての、米国小児科学会のコメントです。

上記を踏まえて、
特に生後4カ月以上のお子さんであれば、

「寝返り返り」までできていなくても、
安全な睡眠環境が整っていれば、
うつぶせ寝も許容できうるでしょう

という形で、外来ではお話ししています。

うつぶせ寝するなら、絶対に「安全な睡眠環境」で。


上記にもある通、「うつぶせ寝してもOK」と言うには、「安全な睡眠環境がととのっていること」が絶対条件になります。

大きく3つにわけて、見ていきましょう。

①固い寝具を使う。 
②布団ではなく、スリーパーを使う。 
③バンパー・ベッドガードは、使わない。

①固い寝具を使う。 


これは「月齢・年齢に応じた、子ども用の寝具」ということです。

これは、子ども用ではない、やわらかい・沈みこんでしまうような寝具は、SIDSをのリスクをあげることが報告されているからです。

  • ソファ

  • リクライニングチェア

  • エアマットレス

  • 「形状記憶」のような寝具

これらはすべて、お子さんの睡眠環境としてはNGです。

またお子さん用のベッドについても、米国小児科学会が推奨している条件があります。

【安全なベッドの数値目標】
●ベッド柵の、棒の間隔が、6cm 以下。
(これ以上の間隔があいていると、赤ちゃんの頭がはさまる可能性。)
●マットとベッドとの間に、すき間がない。
●柵の高さが66cm 以上。

②布団ではなく、スリーパーを使う。 


布団やまくらなどを含めて「ベッドには何も入れない」というのが、大事なSIDS対策
です。
体温を過剰に上昇させない、というSIDSの観点のほかにも、単純に窒息の対策という点でも大事ですね。

寝袋のような形で、手足を出せるもの、夏用のものなど、様々な種類が売っています。「布団かけたのに、いつの間にか脱出してる!」という対策にも、もってこいです。


③バンパー・ベッドガードは、使わない。


大人用のベッドに寝かせたいときに、ベッドの横につける、柵のようなものですね。これは絶対にNGです。

ベッドと、柵(バンパー・ベッドガード)との間にはさまって、死亡した事故も報告されています。


いかがでしょうか。

寝ている間も、赤ちゃんの様子は気になるもの。
少しでも安心して親御さんが休めるような、お守りの情報になれば幸いです。


うつぶせ寝について、もっと知りたいかたは、こちら。

安全な睡眠環境についてもっと知りたい方は、こちらもご覧ください。


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