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CS(カスタマーサクセス)とは何か?

#読書感想文  著書:『カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』

個人的に「買ってくれたお客さまへ成功を届けるカスタマーサクセス」という仕事が本当に大好き。改めて、CSがなぜ必要なのか根本から理解しようと思って、赤本を読んでみました!📕

■目的
・CSの必要性や目的、役割を再度理解する

■目次
0. はじめに
1. LTVの最大化
2. 買ってもらってからが勝負
3. 手放せない・外せないプロダクト
4. データからカスタマーの未来を創る
5. スケーラビリティ構造力
6. さいごに

0.はじめに
大前提、デジタル時代を生き抜くあらゆる企業(ソフトだけでなくハード、サービス全て)において、カスタマーサクセスというある種の概念が事業成長に欠かすことができない。

リテンションモデルでは、プロダクトはカスタマーへ成功を届ける手段の一つでしかない。利用者であるユーザーはモノを購入する時代から、自らの成功/成果が期待できる手段としてプロダクトを購入する。

1-5はリテンションモデルの成功要因から紐解くCSの本質に焦点を当てて整理しました〜

▼リテンションモデル定義
・利用者が、日常的・継続的にそのプロダクトを利用し、モノの所有に対してではなく成果に対して対価を払う
・利用者が、いつでも利用を止める選択権を持ち、かつ初期費用が非常に少なくてすむ
・利用者が、それ無しでは生活や仕事ができない・使い続けたいと断言できるほどプロダクトが常に最新状態に更新・最適化され続ける
・利用者が、自分にとって嬉しい成果を得られるならば、自分の個人データをプロバイダーが取得することを許す

『カスタマーサクセスとは何か―日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」』より

1.LTVの最大化
関係の長さ×深さ

■究極の姿
・プロダクトの価値を超えて「これが無くなったら仕事/生活が成り立たない」状態。
・カスタマーをファンにして「この素晴らしさを広めたい!」という理屈を超えた愛着感情に基づく行動(口コミや紹介など)を引き出すこと。

1-1 カスタマーの「成功」を正しく理解する
成功=カスタマーの事業へ実際にもたされた成果・業績

⭕️カスタマーの事業が成長することに直結する現実の成果

🔺プロダクトが利用し尽くされている状態/プロダクトがもたらす直接的な結果
→「成功」は基本的にプロダクトの先にあったり、売り手が完全にコントロールすることができなかったりすることが多いが、カスタマーにとっては「成功」を期待してプロダクトに対価を払う。

1-2 成功を届けられない相手に売らない覚悟と仕組みをもつ
リテンションモデルはCACが当初の収益に対し相対的に割高な一方、リレーションが続くほど成長スピードや収益性が上がる。そのため、限りあるリソースは成功を届けられるカスタマーに絞って使うことが、経済合理性から重要。

1-3 成功を届けるまで責任を持って行動する
①成功が届いたか確認
・ソリューションを導入しただけでは成功を届けられない。
・成功を届ける企業は、導入した後にカスタマーと定期的にやり取りし、成功を届けられたかを必ず確認する。

②チェンジマネジメントをカスタマーに任せない
・チェンジマネジメントは売り手の仕事
・カスタマーが成功できなければ、プロダクトを導入した提供価値はゼロにい等しく、チャーンになる可能性が高くなる。

③他社サービスと乗り入れてデータ共有する仕組みがある
・他社サービスと乗り入れてデータを共有する仕組みがなければ、届ける成功の価値は限定的。
・パートナー企業やエコシステムを構築することでカスタマーへ提供できる価値全体が大幅に広がる。

2. 買ってもらってからが勝負
育成・支援の有効性
■勝負どころ
カスタマーの成功につながる効率的な育成や支援を行うOnb/Sup/Adpフェーズ

2-1 Onbで「WOW!」を素早く届ける
・Time to Value(カスタマーが価値を実感するまでに要する時間(速さ))が大事。
・価値は小さくても◯、the WOW! momentsを1秒でも早く届けることが最優先。価値に感動し、買ってよかったと感情的な愛着を引き出すことでチャーン防止の意味を超えてプロダクトのファン形成までに波及する。

⭕️カスタマーがプロダクトから価値や成果を得たか

🔺プロダクトの利用率

2-2 カスタマーがイライラする負荷をなくす
*プロダクトに初めて触れるオンボーディングはワクワクする時間だが、同時に不慣れな新しいことを学ぶためイライラもする。それを少しでも排除することが重要。

・インパクト:エフォートレスの追求によるロイヤリティ消滅を防止>期待値を上回るサービスで顧客を感動・満足させてロイヤリティ向上。
・従来、サポートの良し悪しを図る2大指標は、問題解決に要した「時間」と「コスト」だったが、エフォートレスな体験を届けれた時点で改善できたという考え方が主流に。

2-3 漏れなく確実に成功を届ける
step1. 成功が届いたか確認/測定する
測定結果を踏まえて、

step2. 基準値に基づき成否を判断する
 ∟ 「これを下回るとマズイ」という基準値を会社が定義し、それに則して判断(判断の質を担当者個人の裁量に委ねない)
 ∟ 成功の具体的な定義はカスタマーごとに異なるため、基準値も基本的にはカスタマーと議論して決めることが理想

step3. 成否に応じて取るべき打ち手・行動をあらかじめ決めておき、誰が担当しても確実に成功を届ける
 ∟ Playbook(≠マニュアル本)を用意して組織全体で共有し常に判断や行動の拠り所にする

3. 手放せない・外せないプロダクト
(Tech+成功ブリッジ)×UX=プロダクトの価値

・買ってもらうにはプロダクトが優れていることが前提条件。
・リテンションモデルでは、買い手の初期費用や買った後に競合プロダクトに乗り換えるハードルが低いので、買われやすく、使い続けてもらうことがハードルが高い。
・買ってもらった後に手放せない、外せないプロダクトであり続ける必要がある。
・プロダクト以外の活用状況や期待に値する成果まで、売り手の問題として取り組むべき。(カスタマーはプロダクトを購入しているのではくて、成功に向けた手段としてプロダクトを購入しているため、プロダクトの先の成功ができていなければチャーンレイトは上がる。)

3-1 プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導でつくる
・カスタマーサクセスが「カスタマーの目利き」(削る・止める判断)を行いVoCをすることで、本当に必要なものだけがシンプルにプロダクトに反映されることが大事。

3-2 カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームへ渡す
・セグメントを絞り込んでデータ分析を行い、深い洞察を得る。

▼用いるデータ
①カスタマー調査データ:特定のカスタマーを定点観測、特定局面(オンボ/サポート終了時、新機能に初めて触れた時、つまずきやすい機能を使った時)
②プロダクト利用状況データ:カスタマーの行動履歴

3-3 理想的なカスタマーの「人物像」と「成功への道のり」を一緒につくる
・プロダクトチームは「テクノロジー精通者のレンズ」、カスタマーサクセスチームは「カスタマー精通者のレンズ」で、ズレが生じているため、一緒に議論しながら理想的なカスタマー人物像と成功への道のりを共同で一つ作り上げる。

3-4 共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う
・共有ゴールに設定することが大切である理由を両チームが時間をかけて話し合い、互いに腑に落ちて設定し、一緒に進捗を確認し合うことが大事。

4. データからカスタマーの未来を創る
フォーキャスト重視

・カスタマーサクセスの武器はCSMではなく、データからカスタマー一人ひとりを知り尽くすこと。
・どんな人・どんな状態かをデータから理解して一人ひとりに最適なタイミングと手段でアプローチし、「テストして学ぶ」を繰り返して精度を上げたフォーキャストモデルに基づき、CSMが直接話す時間をどのカスタマーに割くべきかを継続的に改善を行う。

■リテンション成長方程式はプレディクティブ対応が可能
成功したカスタマー数
CSMの人数×CSM1人当たりのサクセス生産性 [✖️]
= カスタマー数×オンボーディング率(the WOW! moments)×アダプション率(プロダクトを使って期待した成果や成功を出したカスタマー)[⭕️]

4-1 データの統合・分析に投資する
・CS OpsがデータドリブンでCSMに指示を出すことでCSMは顧客接点に集中して効率を上げることが可能。
・やることは下記3つ
 ①使えるデータを使える状態にする
 ②分析レベルを上げる
 ③データ活用の専任者を置く

4-2 組織全体でデータをフル活用する
・カスタマーの育成や支援は、カスタマーサクセスという名の部門だけのしいごとではない。顧客接点を持つあらゆる部門の総力戦。
・組織全体がデータを活かしてカスタマーへ予測的に対応する必要がある。

5. スケーラビリティ構造力
セルフサービス×Peer to Peer

・「再現性」×「急伸性」の高い組織づくりが事業のスケーラビリティと連動する

5-1 セルフサービス×Peer to Peerが促進される基盤を丁寧に育む
▼基盤の主な目的3つ
①カスタマーの教育/問題解決
・顕在したニーズに応える効果的な基盤
②Onb/Adpの意識付け
・活用したいという気持ちを抱かせる基盤
③買いあがりの機会深耕
・プロダクトを使って期待した成果を出しているカスタマーに対し、クロスセルやアップセルなどの買いあがりを刺激する基盤

▼基盤プログラム構築
FBのループが正しく回るプログラムを作り、基盤を丁寧に育む
・基盤の運用プロセス
・活用するテクノロジー
・担当者の役割と責任

5-2 マーケティング機能をバージョンアップする
・カスタマーのリテンション率とカスタマー企業単位の収益成長率の向上を図る

①カスタマーマーケティングの目的と目標値/成果指標を決める
・関与する部門やチームへその目標を分解する
②カスタマーマーケティングの役割と責任を決める
・業務の重複や既存ナレッジの未活用を防ぐ
③カスタマーマーケティングへの予算配分を見直す
・リテンションモデルの事業では通常、2度目ないし2年目以降の更新から受け取る収益が全体の過半数を占めるため、CACへかける予算よりもカスタマーマーケティングへ予算を割く必要がある

6.さいごに
総合して、究極は「カスタマーセントリックな企業文化、あるいはそれが根付いた企業活動」を行うことが重要だと思った。

とはいえ、あらゆる職種の中でも、カスタマーサクセスは一番お客様と接点を持つことができるところが面白い点の一つだからこそ、お客様からの定性的なデータはもちろん、定量的なデータを使いながら、他のチーム/部門を巻き込むことができるCSになりたい。

お客様の成功の定義から考えて、成功に向けて伴走して、お客様も気づいていない潜在的な課題解決、末長く自社サービスをご利用いただけるようなファンを作りなど、できることが沢山あるCSのはやっぱり面白いな〜😌

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