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(感想)手と声が重なり合って

(以下、筆者Xより転記)

Chiroru Market presents『手と声で語るおはなし公演』鑑賞。芥川龍之介『白』を、スクリーン映像と朗読と手話、宮沢賢治『土神と狐』を、手話を交えた演劇で表現。ゆったりとした語りに何度か登場する手話はなんとなくわかってくる。声と手が自然に重なり合うように工夫されているのだろうと感じた。

『白』は友達の犬の危機を見過ごしてしまったことから、白だった体色が黒になってしまった犬の、その後の償いの話。誰かを助けていく犬「白」の活躍の場面がテンポ良く、楽しく観た。

『土神と狐』は、樺の木と仲良くしたい、乱暴な土神と、嘘つきの狐の話。樺の木は狐のほうが好きらしいと気付く土神や、嘘をついてしまい罪悪感でいっぱいの狐の、心の動きが丁寧に表現されていた。誰かに好かれたいのに好かれない自分の苦しさといったら……。

手話を知らない私などにとっては、手話の表現を知ることができる貴重な時間だった。手話を知らない人のほうが多いだろうから、その大多数にわかりやすい表現になってしまうであろうことは、手話を使う人にとってはどう感じられるのだろうと、そこは気になった。

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