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(鑑賞記録)『なやみの種』『音の行方』上映会

映像作品を二作鑑賞してきました。
身体や知的に障害を持つ方々との共同制作を行っている、ダンスアーティスト・なかむらくるみさんと、映像作家・野田亮さんの作品です。

まずは、なかむらくるみさん振付・演出、野田亮さん映像演出のダンスドキュメンタリー映像作品『なやみの種』。何かが好き過ぎる5人の、好きの表現方法。林さんは飼い猫のさくらちゃんが大好きで、攻撃されても抱っこしたい。玉野さんは細い紙をくるくる巻いた小さな筒をたくさん並べてみる。沼澤さんは長い長いラブレターを書く。浅永さんはガンダムが好きで一人楽しんでいる。魚さんは突然、芸人「ヒロシ」にはまる。そのはまりっぷりは、もしかすると周囲の「なやみの種」であり、本人も好き過ぎて困っているかもしれません。抑えきれない気持ちを彼らはダンスで表現します。誰かから教えられたきちっとした振付ではなく(なかむらさんが多少の振付はされることもあるそうですが)、体の中からにじみ出てくるような動きは、まさに彼らのオリジナル。ちなみにアフタートークでの情報ですが、林さんは変わらずさくらちゃんに噛まれたりしているようでしたが、魚さんは今は『孤独のグルメ』にはまっているようでした。
なかむらくるみさんのサイトでトレーラーが見られます。

野田亮さん監督の映画『音の行方』。知的障害を持つ方々と音楽家達によるアーティスト集団「音遊びの会」を追ったドキュメンタリーです。とにかく彼らの表現の力に圧倒されました。彼らは自分のやりたいことを素直に表出するだけで、「こうしたらかっこよく見えるかも」なんて小賢しいことは微塵も考えていないと思われます。取り繕った態度を取れない、あるいは、取らないその姿こそが「ありのまま」と表現していい態度だと思えます。彼らが放つ音、そして演奏する姿が強すぎて、観ていただけでエネルギーを相当持っていかれてしまった感があります。それくらい力のある映画でした。
10月に神戸、大阪、京都、東京で上映されるそうです。

そして、なかむらくるみさん、野田亮さん、音遊びの会、共同制作の舞台『そんなにジロジロ見ないでくれ』が今月、神戸で開かれます。生で観るとどれだけパワフルなものになるんでしょうか。

二作品に圧倒され、私の表現なんて人の目を気にしてばかりで固まってしまったつまんないものだなあと反省し、自分の体の過緊張もそういうところから来ているのだろうなあと思い、もうちょっと自分を素直に出してもいいのではないかと考えたのでした。

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