こんにちは!人類に理解してもらいにくい悩みは、ジピちゃん(ChatGPT)に相談してヨチヨチしてもらっている、ネクラな ChatGPT 飼育員 Sayah (@ sayah_media ) です。
OpenAI の追放劇の発端について、さまざまな噂や憶測が飛び交う中、先日、OpenAI の元従業員が取締役会に宛てた投書が流出 しました。
この投書では、主に以下のようなことが述べられています。
🔸 OpenAI の内部事情(社内環境やガバナンス) 🔸 サム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏の不正疑惑
本記事では、AI プロンプトエンジニアの私 Sayah が、この投書の全文を和訳し、全貌について解説します 。
💣💥 イーロン・マスクがOpenAI元従業員の投書をXに投下 11月21日(火)14:48(現地時間)、実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏が、自身の X(旧・Twitter)上で、OpenAI の元従業員たちが取締役会に宛てたとされる投書 のリンクを公開しました。
This letter about OpenAI was just sent to me. These seem like concerns worth investigating. OpenAI に関する投書が送られてきた。これらの懸念事項は調査する価値がありそうだ。 (筆者訳)
(Musk, 2023) イーロン・マスク氏は OpenAI の共同創業者の 1人ですが、現在はビジネス上の意見や個人的な信念の相違、利害関係の衝突などから、サム・アルトマン氏との間に不仲説が流れています 。
さらに、今年イーロン・マスク氏が、OpenAI の競合企業にあたる AI 企業「xAI」を設立したことから、2人のライバル関係は悪化したといわれており、同氏が今回この投書を X でシェアしたことで、火に油を注ぐ形となりました (Knight, 2023)。
当初、同 Post(旧・Tweet)には、投書がアップロードされていたとされる、開発プラットフォーム「GitHub Gist」の リンクが掲載されていました。
渾身のギャグをドヤ顔で披露するSayah しかし、イーロン・マスク氏が上記の投稿をしてから 1 時間も経たない内に、そのページは削除されてしまったため、現在はアクセスできない状態です 。
📜 元従業員たちがOpenAIの内情について吐露 ところが、筆者が調査🔍を続けたところ、アメリカ版「ウェブ魚拓」のアーカイブサービス「Wayback Machine」上で、同投書の原文が掲載されているアーカイブを発見 しました👏
✅「Wayback Machine」 とは、「Internet Archive」という非営利団体が運営するWebページアーカイブサービス「Web Archive」のコア機能の1つです。このツールを使うことで、Web Archive に保存された過去の Webページを閲覧でき、特定の日付に公開されていた Webページのバージョンを確認できます。
同投書に書かれていた内容については、次の項で詳しく解説します。
📮【和訳】OpenAIの元従業員が取締役会に宛てた投書の全文 (Xe, 2023) 上の画像の投書は、OpenAI の元従業員を名乗る人たちが、OpenAI の取締役会宛てに送った とされるものです(取締役会は11月21日時点)。
ここでは、投書に書かれていた内容を和訳し、掲載します。
📨 OpenAIへの懸念と疑問を表明する元従業員 2023 年 11 月 21 日 OpenAI 取締役会の皆さまへ 私たちは、OpenAI における最近の騒動、特にサム・アルトマンの不正疑惑に関する強い懸念 を表明するために連絡しています。 私たちは、深刻な混乱と激動の時期に OpenAI を辞職した元従業員 です。 なぜ、これまで私たちの多くが報復を恐れて沈黙を守ってきたのか、サム・アルトマンに立ち向かうことによる影響を目の当たりにした今なら、理解していただけるのではないでしょうか。 しかし、もう黙って見ているわけにはいきません。
(Xe, 2023) 📨 元従業員たちは取締役会に調査と措置を要求 私たちは、取締役会がこれらの疑惑を徹底的に調査し、適切な措置を講じる義務がある と考えています。 よって、私たちはあなた方に以下を強く求めます: 🔸 エメット・シアー氏の調査範囲を拡大し、OpenAI が非営利団体から営利団体に移行し始めた 2018 年 8 月以降の、サム・アルトマンの行動を調査すること 🔸 この期間中に退職、病気休暇、解雇された元 OpenAI 従業員から、個人的な意見を公に募ること 🔸 報復やその他の被害を受けないよう、名乗り出た人の身元を保護すること 私たちは、多くの OpenAI 従業員が、営利モデルへの移行を促進するために追い出されたと考えています。 これは、2018 年 1 月から 2020 年 7 月までの従業員の離職率が約 50% という事実が証明しています。
(Xe, 2023) 📨 AGI実現の追求に駆り立てられた2人に対する疑念 OpenAI に在籍中、私たちは、汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)の実現に対する飽くなき追求に駆り立てられた、サム・アルトマンとグレッグ・ブロックマンによる、不穏な欺瞞と策略の数々を目の当たりにしました 。 しかし、彼らのやり方は、彼らの真意や、彼らが本当に全人類の利益を優先しているのか について、深刻な疑念を抱かせるものでした。 私たちの多くは、当初 OpenAI のミッションに期待していましたが、サムとグレッグに疑いの目を向けることを余儀なくされました。 しかし、彼らの行動が次第に問題視されるようになるにつれ、あえて懸念を表明した人々は、口を封じられるか、排除されました 。 この体系的な異論の封殺は、恐怖と脅威の環境を生み出し、OpenAI の活動における倫理的な問題に関する有意義な議論を、事実上封じたのです。
(Xe, 2023) 📨 サムとグレッグの不誠実さと策略の具体例 サムとグレッグの不誠実さと策略の具体例 を、以下に示します。 1️⃣ サムは、研究者たちに特定の「秘密」プロジェクトに関する進捗報告を遅らせるよう指示した にも関わらず、後にこれらのプロジェクトは「十分な成果が迅速に得られなかった」という矛盾した理由で中止されました 。 この慣習に疑問を投げかけた従業員は「企業文化に合わない」という理由で解雇 され、中には 2019 年の Thanksgiving Day(感謝祭)前に解雇された人もいました。 2️⃣ グレッグは、性転換中のチームメンバーに対して、差別的な言葉を使用しました 。 この問題への対処について何度も約束したにも関わらず、グレッグは該当人物とのコミュニケーションを避け、職場の空気を悪くしただけで、適切な行動を取りませんでした。 このチームメンバーは、最終的に「パフォーマンスの低さ」を理由に解雇されています 。 3️⃣ サムは、知識や経営陣の同意なしで、IT チームの従業員とオペレーションチームの従業員に、イリヤを含む従業員に対する調査を指示 しました。 4️⃣ サムは OpenAI の非営利リソースを、個人的な目標達成のため(特にイーロン・マスクへの恨みを晴らすため)に日常的に悪用 しています。 5️⃣ オペレーションチームは、グレッグに関する特別扱いや例外的なルールを黙認 し、ブラックリスト入りを避けるべく、これらの複雑なルールに従うことを強いられてきました 。 6️⃣ ブラッド・ライトキャップが約束した「OpenAI の利益制限構造と各投資家の利益上限を詳述した文書の公開」が守られることはありませんでした 。 7️⃣ Compute Quota(計算リソースの上限・割り当て)のための研究プロジェクトに対する、サムの矛盾した約束は、社内に不信感や対立をもたらしました 。
(Xe, 2023) 📨 違反に対する責任追及や処罰がされない実情 サムとグレッグの違反の証拠がこれだけ山積みであるにも関わらず、OpenAI に残っている人々は、大きな犠牲を払ってでも、盲目的に彼らのリーダーシップに従い続けています。 この揺るぎない忠誠心は、「報復への恐怖」と、「OpenAI の利益分配ユニットを通じた潜在的な金銭的利益に対する魅力」によって生じている ものです。 サムとグレッグによって特別に設計された OpenAI のガバナンス構造は、まさに利益相反の本質的な問題から、営利事業の監督から従業員を意図的に隔離しています 。 この不透明な構造によって、サムとグレッグは責任を逃れ、罰を受けることもなく、堂々と活動できている のです。
(Xe, 2023) 📨 非倫理的な行為に対する調査の実施を要請 私たちは、OpenAI の取締役会に対し、これらの非倫理的な行為に対して断固とした態度で臨み、サムとグレッグの行為について、第三者機関による調査を実施することを強く求めます 。 私たちは、OpenAI のミッションが、少数の人々による個人的な目的によって損なわれることは、非常に深刻かつ重大な課題であると考えています。 取締役会の皆さまには、利益主導の圧力に屈することなく、OpenAI の「本来のミッション」を堅持していただくこと を望みます。 AI の未来と人類の幸福は、皆さまの倫理的なリーダーシップと透明性に対する揺るぎない取り組みにかかっています 。 敬具 懸念を抱いている OpenAI の元従業員一同より
(Xe, 2023) 米『WIRED』誌によると、OpenAI の現・取締役会やサム・アルトマン本人は、同投書に関してコメントをしていません (Knight, 2023)。
🕵️♂️ OpenAI元従業員による投書の信ぴょう性は? 投書は匿名で送られており、その真実性は定かではありません 。
投書が投稿された「GitHub」のプロフィールには、投稿者のEメールアドレスが含まれており、そのEメールアドレス宛に米『WIRED』誌が連絡したところ、メールに返信した人物は「初めてこの投書を見つけたのは『Hacker News』上のディスカッションです」 と述べています(Knight, 2023)。
✅「Hacker News」 とは、テクノロジー関連のニュース、コンピュータサイエンス、スタートアップに関するディスカッションや記事を共有するWebサイトです。サム・アルトマン氏が 2014年から 2019年まで社長を務めていた「Y Combinator」が運営しており、プログラマーやエンジニア、起業家たちの間で人気があります。ユーザーは、記事を投稿したり、他のユーザーが共有したコンテンツにコメントしたりすることが可能です。
投稿者と思われるメールの返信者いわく、その人物はオンラインプラットフォーム「Board.net」で見つけたオリジナルの文章をコピーし、GitHub に再投稿した とのことです。
また、投書のコピーを削除した理由については、プライバシーを守るためだと語っています(Knight, 2023)。
✅「board.net」 とは、匿名投稿が可能な、コラボレーションと情報共有を目的としたオンラインプラットフォームです。
実際に、同投書が保存されている Wayback Machine のページ上部にある注記でも、board.net に投書が掲載されていた元ページが削除されてしまったために、アーカイブとして保存された旨が記載されています。
また、投稿者は『WIRED』誌に対し、「手紙の内容の信ぴょう性については全く分からない」 と述べました(Knight, 2023)。
この説明から、この投書は書かれている内容の真偽や、OpenAI の内情について詳しく知らない第三者によって再投稿された ことが伺えます。
✍️ OpenAIの元従業員が取締役会に宛てた投書まとめ 本記事では、元従業員から取締役会宛に送られたとされる投書 をもとに、OpenAI の内部事情に関する彼らの主張 について探求しました。
投書を書いたとされる匿名の元従業員たちは、OpenAI の運営や取締役会、特に汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)の開発における倫理的問題や企業文化に疑問を投げかけています 。
元従業員たちの声を集約すると、以下のとおりです。
🔸 OpenAI 内部の、AGI 実現に向けた強い推進力によって生じている、倫理的かつ組織的な問題 🔸 特定の幹部に対する不信感や、非倫理的な行動への疑念と具体例 🔸 元従業員たちは、これらの問題に関する事実関係の調査と適切な措置の要求
しかし、この投書は匿名で送られており、その真実性や正確性については検証の余地が残ります 。投書の内容が事実であるかどうかを確認することは難しく、あくまでもそれらの真偽については推測の域を出ません 。
一方で、前向きに考えれば、OpenAI に関するこれらの懸念は、AI 技術の進展とともに、社会的な関心が高まっていることの反映 ともいえるでしょう。
公式の発表なしに、同投書の内容をすべて鵜呑みにするのは良くありませんが、AI の倫理性や透明性、そして人間の福祉に対する影響は、業界全体において深刻な議題です。
このような議論は、AI 技術の健全な発展と応用に向けた一歩であると同時に、私たち人類が「AI とどう向き合うか」 を考えるための重要な機会ともいえるのではないでしょうか。
📚 References Knight, W. (2023, November 22). Elon Musk trolls his way into the OpenAI drama. WIRED. https://www.wired.com/story/elon-musk-troll-openai-drama/
Musk, E. [@elonmusk]. (2023, November 21). This letter about OpenAI was just sent to me. These seem like concerns worth investigating [Post]. X. https://x.com/elonmusk/status/1727096607752282485?s=20
Xe. (2023, November 21). openai-message-to-board.md [GitHub Gist]. Web Archive. https://web.archive.org/web/20231121225252/https://gist.github.com/Xe/32d7bc436e401f3323ae77e7e242f858