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しりしり

「絶対無いと思います」「聞いたこと有りませんね~」
心底、有るわけないじゃん!!っていう勢いで、隣のお土産やさんの女の子が観光客に接客していた。

聞いていると、どうもお客さんが思い違いをしているのに、その思い違いを完全に通しきっている様子。

ニンジンを細く千切りにカットする、すりおろし器みたいな道具を沖縄ではしりしりと呼ぶ。

「これのもっと、こーんな長いのがあったと思うんだけど…」と、50センチ以上両手を広げて表現する男性観光客。「有りませんね。」と、店員さんは勿論、沖縄の女の子。

内地の人だと、、もしかしたら何処かのお店に有るかも知れませんが、ウチには有りません。と、答えるだろうな。


でも無いんだもん。
そんな大きいサイズのしりしり、絶対無いと、私も思う。
お客さん頭の中で沖縄への期待と共に、サイズが大きく膨れ上がっただけではないのか?

そもそも、そんな大きさじゃ扱い辛いし、洗うの、仕まうの大変そう。

二人がお互い最後まで我を通す姿を、私は花を束ねながら見ていた。

ニンジンしりしりはたぶん沖縄にしか存在しない。
千切り器という名で、もしかしたら有るかも知れないが、しりしりとはきっと呼ばないはずだ。
スリスリ??でもなく、しりしりってニンジンを磨る時、聞こえる? 

思い込めば、聞こえて来る様な気もしたりして。

加えて、しりしりの表記は大抵ひらがなだ。

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