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『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』韓ドラなのに昭和を思う

1988年、初のオリンピック開催に沸き立つソウルが物語の舞台。
そこで暮らす5つの家族の人間模様と5人の幼なじみの恋模様が描かれる。

韓国でのTV放送は2015年11月〜2016年1月まで。
全20話、1話90分の物語。
8年前の放送となる。


①懐かしい暮らし

韓国で初めてオリンピックが開催される1988年のソウル。
その暮らしぶりが、
日本で初めてオリンピックが開催された、私の生まれ年1964年頃とそっくりなことに驚いた。

私が子供の頃の日本は高度経済成長期で、
生活が一変していく途上だった。
子供心にも日々暮らしが進化していく様を
不思議に思いながらもワクワクした心持ちで見ていたものだ。

白黒テレビがカラーテレビになり、
電話はダイヤル式の黒電話が各家庭に設置された。
ガス器具もガス栓を開いてマッチで火をつける式のガスコンロが普及し始めた。

そんな様子がそのままドラマの中で展開される。

その国で初のオリンピックが開催される年というのは、
そうした暮らしの変貌を遂げる時なのかもしれない。

ドクソン家の食卓はお座敷スタイル


②自然と助け合える関係

そうした進化途上の暮らしぶりは、
貧富の差も目に見えやすい。
隣の家はカラーテレビなのに、
うちは未だ白黒テレビ。
あの家にはガスコンロがあるが、
うちはまだ豆炭で火を起こす。
などなど。

双門洞の幼なじみの5つの家庭も、
それぞれに貧富の差が生まれていく。
そうした各家庭での足りない物や困りごとを自然と補い合って助け合いながら暮らしていくのが、
現代とは異なるところだ。

時にはちょっとおせっかいが過ぎるところもあるけれど、
母親達は夕食のおかずをお裾分けし合ったり、
調味料の貸し借りをしたり。
そんな細々としたおせっかいのおかげで、
本当にピンチの時には、
自然と助け合いができる関係性が築けている。

幼なじみの5人


③みんな優しくて温かい

ドクソンとボラの場合

主人公ドクソンは姉のボラとは犬猿の仲。
成績優秀で名門ソウル大学に1発合格した姉のボラと
高校で学年999番の劣等生ドクソンは、姉妹と言えど性格は真逆だった。
些細なことですぐに取っ組み合いのケンカになる。
ケンカしながらも貧しいドクソン家は、姉妹の部屋は2人でひとつ。
毎晩布団を並べて寝ていた。

優秀なボラは司法試験を目指し、合宿所へ入所することになった。ある日ドクソンは母親の言いつけで、姉の合宿所へ食事を届けることになる。
なぜ自分が?と不満を口にしていたドクソンだったが、
姉の部屋の扉を開けた瞬間、
勉強机だけが置かれた2畳ほどの寒々とした狭い部屋を見て、
不覚にも泣いてしまうのだ。

いつもはケンカばかりしていた2人が抱き合って大泣きする姿は、
貧しくても温かい家庭に育った
心優しい姉妹だからこそ。

テクとジョンファンの場合

幼なじみ同士の恋模様も。
幼なじみのテクはプロの天才囲碁棋士。
テクはドクソンのことが好きだった。
囲碁のことしか知らないテクは純粋で、自分の思いを素直にドクソン伝えようと思っている。
しかし、ある時、幼なじみの親友のジョンファンもドクソンのことが好きなことに気づく。
ジョンファンへの遠慮からドクソンへの告白をためらう心優しいテクがなんとも愛おしい。

満員の通学バスでさりげなくドクソンを守るジョンファン
囲碁のことしかわからないテク
パク・ボゴムとは思えない!


④右肩上がりの時代

やがてそれぞれの家族が双門洞の町を巣立つ時がやって来る。
ひとつ、また一つと家の明かりが消えていく。

これも私の子供の頃と同じ光景だった。
近所の友達がひとり、また一人と引っ越しをして行った。

高度経済成長期は各家庭の所得も上昇し、
それに合わせて大きな家に買い替えていく、
右肩上がりの時代だった。

ドクソン、ジョンファン、ソヌの母親たち



毎回、心温まるエピソードが展開される韓国ドラマを見ながら、
日本の昭和の高度経済成長期を垣間見れる、
とてもおもしろいドラマだった。

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